第十一旅 面白い出会いが有りました
街の端にほど近い辺りの裏通りにその店は有るらしい。
既に暗くなっている中、サーチをしつつ余計な情報はカットするよう練習がてら進んで行くと、先から怒鳴り声が聞こえて来た。
「ふざけるなっ!!とっとと出ていかんかっ!!お主達に作ってやる物なんぞ何も無いわい。」
声を聴いてとても不思議な感じがした。
セリフ自体は爺さん口調と言うかよくあるドワーフ口調なんだが、声自体はとても通った綺麗な女性の声をしていた。
「後悔しても知らんぞ。わざわざエンゾ子爵の使いとして私が足を運んでやったものを、恩を仇で返で返しおって。」
「店まで来るだけの事の何が恩じゃ、阿呆か。とっとと帰れ!・・・ん?なんじゃ、客か?」
明らかに貴族の使いっぽいのを追い返した後、俺に気付いたのか手を上げて挨拶して来た。
「どーも。アードロ武具店のリーンに話を聞いて来た冒険者のユウってんだけど。」
一応普通に話しているが、心中はかなり吃驚していた。
身長は俺よりかなり低く140cm弱位の女性のドワーフだった。
茶の髪に童顔で、スタイルも身長にしてはメリハリの効いた感じで全体的に可愛らしいと言って良いと思うんだが、喋りが全てを台無しにしている気がする。
ドワーフとしては普通なのかもしれないが。
鍛冶師なのでドワーフかもとは思っていたけど、女性とは、しかも爺喋りとは思わなかった。
「おおっ、リーンは元気じゃったか?あやつは儂みたいな変わりモンに、多少思う所は有ろうが普通に接してくれる奴でな。」
「ああ、いつも通りだったよ。話好き、説明好きで優しい店員だ。そこまで優良な客じゃない俺に此処の事を教えてくれるくらいだからな。」
二カッと二人で笑い合った。
「客なんじゃろ?中で話を聞くから、入った入った。」
中に入ると一階は二間で、奥に作業場で手前にカウンター+見本置き場みたいな感じだった。
もっと雑然としてるかと思えばかなりキッチリしていて、武器や防具もそれぞれちゃんと分けて仕分けて置いて有った。
「ほれ、あんまりれでぃの家をジロジロと見るでないわ。改めて、儂は鍛冶師のイルメラじゃ。儂に会いに来たって事は、何か作って欲しい物が有るんじゃろ?」
「ふむ・・そうなんだが、此処で解体とかって出来るか?近くでもいいけど、出来ればバレない所が良いんだが。」
「ん?何か見つかっちゃ拙い物でも有るのかのう?」
「見つかっちゃ拙いと言うか、ギルドに知られたくないと言うか。・・そうだな、直感でしかないけどイルメラは信用出来そうだし(面白そうだし)話すが、先にこれは言ってあるからいいけど空間魔法でアイテムボックス持ちなんだよ。その上で俺達は修行でレニの森に籠ってたんだが、実は魔の森にも出て行ったりでランク2の冒険者では確実に無理無謀なモンスターもかなり狩ってるんだよ。だが、それを知られるとギルドマスターや貴族に目を付けられる事は確実だから、ギルドで出せずにボックス内はモンスターで一杯なんだよね。」
「マジかの?どんなのが居るんじゃ?」
「マジだよ。サーベルタイガー、トロール、ガルーダはちょいちょい使ったし羽根は余り無いが、ええーっと・・・ああ、後、レッドオーガ、レッドベア、長手猿に変異種の剛長手猿って所だな、確か。他にもあるが、大体はそんなとこだな。」
一体ずつ思い出しながら喋っていたら、イルメラの顔がどんどん怖い顔になって行った。
ちょっと変わり身の不安も有ったが、聞いた通りの変人なら大丈夫だろうとも思う。
少し待っていると何か変化が有ったのか、ニヤッと笑い聞いて来た。
「精々アースボアや強くてオークナイト程度と思ったんじゃが、そこまでか。・・その目的なら当然、この町の誰にも言ってはおるまい。お主、何者じゃ?今聞いたモンスターだと、お主は既にランク7を超えている事になるぞ?」
「まあ、細かい事は気にしないで貰いたい。一言だけ教えるので、それで納得してくれ。当然他言無用で、だ。」
「?なんじゃ?他言無用は無論じゃ。と言うかさっきのも含め、易々と他人になんぞ話せる内容じゃないわい。」
「そうだな。・・俺は転生者だ。」
童顔の可愛い顔が驚愕に染まっていくのは・・うん、ちょっと微妙だ。
「ふぅ~~っ!余り驚かすでないわ・・全く。そこまで話す以上、他言無用は当然じゃな。この世界に転生者はたまにおったが、話に上る大体が民に貢献するか周り全てを蹂躙するかじゃからのう。当然、場所によっては崇められていたりか、大罪人だったりじゃ。」
「そんな訳で、早い内に事情を知っている協力者が欲しくてね。特に鍛冶師か魔具師が良かったんだが、丁度良かったと言って良いだろ。イルメラを見て話して最初の印象も含めてで、おもし・・<ん゛っ!>信用していいと思ったんだ。で、そろそろ仕事の話をしようか。」
「おおっ!色々吃驚し過ぎて、完全に忘れておったわ。何か言い掛けていた気もするがの。鍛冶師を探しておった訳じゃし、何の作成依頼じゃ?」
「リーンも微妙な顔をしていたんだが、棍って分かるか?」
「ゴブリンとかオークがよく使ってる・・先端部分が大きい棍棒の事かの。」
「あー、それとはちょっと違うんだよ。一番簡単に言うと、槍の先端の刃の部分が無い物だな。ま、要するに木か鉄の棒だな。それを武器に使いたいんだよ。」
「??何故じゃ?武器なら、それこそ刃の有る物でないと意味が無かろう?」
「幾つか理由は有るが、基本は対人戦の訓練の為だな。今、俺には相棒の女性が居るんだが・・・あ~~聞いた事あるかも知れないけど、転生者ってそれぞれでかなり独自の価値観なんだよ。細かい事は省くけど俺にも色々在って、うち一つは女性に本気で打ち込むのがちょっとな。なので、先ず慣れる為の相棒との訓練用。と、多分理由が有れば大丈夫だと思うけど、念の為あやふやな時に迷う事の無いように殺す事の無いような武器が予め欲しいって訳だ。」
「なるほど。確かにその考えで中途半端な状況なら、不覚の可能性が出るのう。それで、棒、と言うかそちらの世界で言うと、棍なのじゃな。」
「そう言う事。いや、呼び方はどっちでもいいんだけど。無意識って怖いからな。敵の女性がこっちを殺す為に剣を振り上げている前でいきなり手が止まって棒立ち、なんて考えたくないね。」
やっと理解できたのか、頷きながらもう棒の事を考えている様だった。
「ふぅむ・・・素材は・・トレン・・赤鋼、魔・・・一m五・・八・」
うーん、集中してるのは分かるが目の前に俺が居るのも忘れてんじゃないかって感じだ。
悪戯でもしたろうか、と思わんでもないが実際そんなことしたらせっかく多少なりとも気に入ってくれていた臭いのにすべて台無しになりかねんし、大人しく待つか。
ついでなので近くに有る剣や斧を見て時間を潰す事に。
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蒼光剣
蒼鋼で造られた魔剣
アンデッドを浄化する信仰魔法を込められた剣
アンデッドの核を攻撃しないでも当たった所から30cm程浄化できる
赤光剣
赤鋼で造られた魔剣
アンデッドを浄化する信仰魔法を込められた剣
アンデッドの核を攻撃しないでも当たった所から30cm程浄化できる
魔鋼斧(黒)
魔鋼で造られた鋭く丈夫な斧
様々な鋼に直接魔力を込め魔鋼と化した鋼を使って造られた
魔鋼となる前の鋼の特性を引き継いでいて黒は重く頑丈になっている
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パッと見、対アンデットの武器が多い気がする。
蒼鋼とか赤鋼とか、俺が以前聞いただけの鋼で出来ている様だ。
そう言えば、来た時に貴族の使いっぽいのを追い返していたけど大丈夫なのかね。
せっかく信用出来そうな(面白そうな)鍛冶師を見つけたんだし、次来たらいきなり貴族に攫われていたなんて面倒は嫌だな。
「そう言えば、イルメラ。さっきの客は大丈夫か?あれ貴族の使いだろ。面倒な事になるんじゃないか?」
「ああ、あれは良いんじゃよ。何を思ったのかあれの主人とか言うエンゾ子爵とやらが、儂の事を召し抱えるとか言って来たんじゃ。それは良いんじゃが、まあよくある貴族の言い分で召し抱えてやるから喜べ、とか言い出しおっての、そもそも何故なのか理由がよく分からんのじゃ。儂の作品として世に出ている物は気に入った連中にしか渡しておらんから、儂の事を多少なりとも知っている奴らが見せたとは思えんし。物を見たからって事は無い筈じゃからの。」
「んー、どうだろうかね。あの手の貴族は気まぐれでそのまま忘れてくれる事も有るが、ただ平民が自分の誘いを断ったと言うだけでいきなり無礼だ、と配下に襲わせたりとかあるかもしれんからな。気を付けるに越したことはないと思うぞ?」
「あ~~~っ!面倒じゃのう。じゃからそもそも、あ~いう奴等と関わり合うのは嫌なんじゃ。流れて来てまだたった三年じゃぞまったく。・・・そうじゃ、お主の依頼を受けてやるから、こっちのお願いも聞いてくれんか?」
イルメラが嫌な感じでニヤ~っと笑っていた。
「嫌な予感がしないではないが、頼みって何だ?」
「うむ。そちらの依頼の物が出来るまで護衛を頼みたいのじゃ。お主さっき女性の相棒がおると言っておったろう?確認してからじゃが、二人で交代制でとかどうじゃろう?今日はお主に頼むことになるが。」
「いやいや、一目で信用して色々話した俺が言う事では無いとは思うが、流石に女性の一人暮らしに護衛とは言え今日会ったばかりの男性に頼む事か?」
一応突っ込んでみると、自分の体を見下ろしながら微妙な表情で聞いて来た。
「お主、この体に欲情するんか?同じドワーフならともかく、人族で儂にそんな目を向けて来るんはなかなかおらんぞ?この身長じゃ人族じゃとほぼ子供じゃろ?」
「??確かに子供相手にそんな事は考えもしないが、イルメラは違うだろ?そこは本来精神性を問うべきで、見た目だけを気にして何の意味が有るんだ?・・確かに肉体年齢も気にするべきとは思うし、当然まだ初潮も来ていない子供相手ならどう思い合っていようが問題有るだろうと思うよ。・・そもそも、少し聞きにくいがイルメラって幾つなんだ?問題が有る年齢とは思えないんだが。」
「ん?儂か?儂は今確か・・・118歳じゃったかな。そうじゃな、人族の約五倍の寿命がドワーフにはあるでな、人族換算じゃと大体23歳位じゃな。」
「じゃあ問題は無いな。・・・?何の話だったっけ?いやいや、今の話の纏めだと俺がイルメラに手を出すって話にならんか?」
「・・結論はそうなっておったぞ?」
言いながらちょっと赤くなった顔を俯けつつ椅子から立ち上がり、スススッと後ろに下がってカウンターの裏へと移動していった。
「ちょおっと待った。流石に今の話の流れで、そこまで危機感を感じられる覚えは無いぞ。」
「ま、そうじゃな。」
あっさりと言いながら椅子に戻って来たイルメラにちょっと睨みつける。
「まだ若いんだから、余り揶揄うんじゃないよ。俺はまだ14だよ?そんな事してると、暴走しても知らんからな?」
「お主、本当に14か?今のセリフは若いのの横におる年寄りが突っ込む時の物じゃろ。転生者は以前の世界の知識を引き継ぐと言うし、そこはどうなんじゃ?」
「ふむ、それは良くある勘違いだな。例えば俺が前世で50まで生きていたとしても、記憶を引き継いだ今の俺は14だが、簡単に足して64って事にはならんだろ。精神年齢で言うならそもそも年齢相応なんて余り居ないと思うし。」
「特に前世の世界は下手に平和だった所為か、精神年齢の成長はかなり遅かったと思うよ。必要が有るから成長する訳で、上から押さえつけられ出る杭は打つなんて政治をしている所で成長なんかしようが無かったしな。なので多分だが、今の俺の精神年齢は体相応に近いと思う。自分の体を客観的に見て影響もするだろうし。経験によって少しは知識は有るし、いろんな考えが有るのは分かるがそれだけで、精神年齢は少し高い位でいってて20歳位じゃないかな。」
「ふむ、そんなもんかのう?」
「多分な。これは俺の考えだし、自分の考えが100%合ってるなんて余程分かり易い事でも無ければ、狂人じゃない限り思わないだろ。まあ、元々深く考えるタイプじゃないってのも有るが。」
「ああ、それは思うのう。この世界では、よく貴族に居る感じじゃな。不可思議に自分達は偉く絶対だ、と思っている輩の多い事多い事。」
「って、話がずれてる。結局、今日の所は俺が護衛で良いんだな?」
「何も問題は無いのう。ただ、状況次第では夜逃げに付き合って貰うかもしれんが。まあ出来れば手を出すのは儂を惚れさせてからにしておくれ。お主は面白いとは思うが、まだそんな気分に・・」
「そっちに話を戻すな。対象になると言っただけで、どれだけ揶揄う気だ。」
慌てて話を遮ると、クスクスと笑いながら謝る可愛らしいイルメラが居た。
「そうじゃな、すまん、すまん。」
『ご主人様。アル達の村の着きました。こちらは何も問題は無いようです。』
話していたら、飛んで行ったのかかなり早くレティからパスを通して連絡が有った。
『おう、こっちは面白い女性だったので、色々話してるところだよ。ただ、リーンが言っていた通り問題も有ったみたいで、来た時行き成り貴族の使いと揉めていたからな。聞いていた感じ彼女の所為では無く、相手の問題だったようだがな。』
「どうしたのじゃ?いきなり上の空で・・。」
不思議そうに聞いてくるイルメラに反射的に苦笑しながらレティを待たせて説明する。
「さっき言っていた相棒から連絡があってな。目的地に着いたと。・・そう言えば、確認し忘れていた事が有ったんだけど、一つ聞いていいか?」
「連絡じゃと?魔道具でも持っておるのか?・・儂に答えられる事であれば構わんが。」
連絡と言うか短距離の電話的な魔道具が有るのは知っていたが、面倒だし誤解は解かないで話を進める。
「うん。テイマーとしての質問なんだが、コボルドってどういう扱いなんだ?」
「ん?コボルドか?色々便利使いされとるの。人族に奴隷とされている事が有るんじゃが、大体は無理矢理小間使いみたいな事をさせられとる様じゃ。昔に聞いた話じゃと、テイマーとしてもそうじゃが、主人として認められれば裏切るよりは死をって感じらしいがの。その上でかなり器用と言う話じゃが、それをちゃんと生かしてやっとるのを儂は見た事が無いのう。」
「そんな感じなのか?」
「そうじゃの・・。儂は118年の生で今の所きちんとコボルドを使えている、もしくは主人として認められているという話は聞いた事が無いのじゃ。そんな事を聞いてくるって事は、どっかにコボルドでも見つけたんか?」
「ま、これも他言無用で頼むし、細かい場所自体は言わんがレニの森の奥にコボルドの集落が有ってな、長手猿の群れに襲われているのを助けてやったら、一匹付いてくるって話になった。話を聞くに助けたからってだけじゃ無い様だったが。」
「・・・驚きすぎて、もう何と言ったらいいのやらじゃ。」
話しが終わり、結局は護衛で泊まる事にした。
泊まっている間に、ここに来た時に見た男の主の貴族の話も少し詳しく聞いておいたが、やはり碌でも無い話だった。
来たのは二回目らしいが、一回目来た時もお貴族様が誘ってやっているんだから当然受けるよなって感じの使いで、まともに対応するのが馬鹿馬鹿しくなる阿呆な人しか来ない様だ。
その癖実際に仕えた後どうするかって内容は全く無く、使いの人間は何故そんな事を聞くんだ貴族に仕える事が出来るんだから即答だろうと不思議がるくらいだった。
嫌な予感がするので今日はイルメラには二階の寝室で大人しくしていて貰い、久し振りに徹夜で周囲の気配をサーチしながら起きておく事に。
本当だったら、こういう状況で何か起こる前に何とかするために色々鍛えたりしていたんだが、今はまだ途上なので足りない今の実力と、まだ手を増やしていないので自分の手で何とかするしかない。
『そんな訳で明日は早めにこっちに来てくれ、レティ。一人で常に護衛に付くのは無理が有るからな。』
『分かりました。その状況ですと今日中に事が動く可能性は有りますが、ご主人様が居れば何も問題は無いでしょう。』
『ご主人様ー。アルですー。僕は村の復興を頑張ってるのです。ご主人様が落ち着いてこちらに戻られる前に、裁縫スキルを得られるように頑張るですよ。』
『いや、アルちょっと待て。その内で良いからな?無理はしない様に。』
なんか睡眠時間を削っていそうな気配が有ったので注意はしておく。
『ありがとうございますです。心配して貰っちゃいましたです。ご主人様は優しいですね、レティシア様。』
『??何か言いましたか、アル?・・声が遠いですね。魔力の流れも何か・・!?ご主人様少し宜しいですか?』
『?何か有ったのか?』
『今こちらでは私とアルが並んでご主人様と魔力パスで話していますが、話している途中で変えるのも面倒なのでアルともパスを通して話そうとしたらですね、話したアルの声がかなり遠く小さいのです。魔力の流れを見て見たら、アルの声を通している筈のパスの魔力はご主人様へと向かってから私に届いている様で、それが影響しているのではないかと思われます。』
『なるほど。複数でパスを使った事はまだ無かったから気付かなかったが、実際そうだったのなら可能性は高そうだな。ただ、眷属として俺と繋がっている訳だし、眷属同士も繋がって良いと思うんだが・・俺の魔力量か精密操作が足りないのか、テイマーのレベルが足りないのか・・。もしくは逆にテイムの数が足りないのかもしれん。まあ、そこの数の多い少ないで何が変わるかは分からんが。』
『はっ!?ご主人様、中々強いであろう魔物が近づいています。』
『!?そっちもか。こっちはあまり強くはなさそうだが、明らかに面倒事が近づいているな。・・ふぅー、レティそっちは任せた。アル達の為にも手早く始末してやってくれ。素材は欲しいから、余り傷付けない様にな。』
『畏まりました、ご主人様。そちらもお気を付けて。』
面倒事が一気に近づいて来たが、まとめて終わらせる事が出来ると喜んだらいいのか、タイミングが悪いと嘆いたらいいのやら。
向こうはレティに任せておけば大丈夫だろうが、こっちは本当に面倒だが複数人来ているので一々お話の様にピンチを演出しない為の行動をして置こう。
その為に先に寝て貰っていたイルメラを起こしに行かんといけないんだが、また揶揄われそうでちょっと微妙。
即そこは諦めて起こしに二階へと行き、結構着崩れた格好で寝ている彼女を叩き起こし一緒に一階の陰になる所で待たせる。
顔を隠すため、薪用で持っていた木材を剣で扁平な仮面に仕立ててみて、風魔法でごみを散らした。
もうそのまま夜逃げになりそうな気がして二つ作ったので、他のに顔バレしない様イルメラにも渡しておく。
手を出させないで終わらせるつもりだが、念の為イルメラの周囲に障壁を張り安全を確保する。
もう近かったのもあって、数分と待たずに家の前に到着した。
スピード重視でとっとと攫うなりするつもりなのか音は余り立てないようしていたが、気配を消したり様子を見たり分散して奇襲をしたりなんかはしない様だ。
こっちは意図的に気配を消していないので、一応連中の中で実力のあるであろう先頭の二人はこっちに気付いた様だった。
先に空間把握で見ているが、周りに別動隊も居なさそうなので纏めてやる為にこっちから扉を開け、先制で地面に魔力を流し魔法の発動準備をする。
「不審者の諸君、初めまして、そしてさようなら。」
一応声を掛けつつ、声を出す前から相手の足元に這わせておいた魔力で土魔法を発動。
一瞬で落とし穴を作り足元を無くしながら、その分の土で飛んで逃げられない様周りからドーム状に覆ってやると、ちょっと強いかなと思っていた二人のうち一人が跳躍していた。
しかし、周りから覆っておいた上で足場にされない様内側に針付きにしたので、飛ぶにしても斜めには飛べず真上だった為、蓋をするのを待ち結局そのまま落ちて行った。
とっさだった為か飛んだといってもあまり高くは無かったし、落ちて行くのを見ながら手を振ってやる。
何とか計算通りにいったので後ろを向き、奥の見えない所に居るイルメラに始末をどうするか聞いてみる。
「さて、来た連中はあれで全員だったみたいだし、どう始末する?一応地面の下に埋めたけど、まだ空間が顔の周りに有って生きてはいるから話をするでもどうとでも出来るけど。窒息も出来るし、潰すのも出来る、話がしたいなら抜けられない様横に穴開けてやるからやろうと思えば出来るよ。」
「あの貴族も手持ちの兵はもう少ししか居ないじゃろうが、雇えば裏の傭兵やら暗殺者やらがまた来る事になるじゃろうし、もう潮時かのう。儂はただ好きな物を作れる時に作り気に入った奴に売ってやり、たまにギルドからの仕事をするこの生活が気に入っているだけなんじゃがな。毎度毎度貴族が邪魔をしよる。たまに違うのもおらんではないが。」
「まあ一応言い分は聞いておくか?何か違う事を言う可能性が無いではない・・かも知れないし。・多分。もしかしたら。」
「・・そうじゃの、頼めるか?」
「おう、一応顔を出して話を聞くか。ちょっと待ってな。んー・・・!」
苦い物を含んだような顔をしているイルメラに頼まれたので、土魔法を変化させ連中全員の首だけを土から出してやった。
「さて、今の状況は分かるな?こち・」
「貴様ら!エンゾ子爵の使いである我々にこんな事をして、タダで済むと思っているのか?今すぐにここから出してこちらの言う事を聞けば、死罪は避けられる様子爵に口添えしてやっても良いぞ?」
一番後ろで何も出来ないで落ちて行った、身なりは良い中年がギャーギャーと怒鳴っていたがちょっと体を土の圧力で絞めてやると「ううっっ」と唸って黙ってしまった。
「状況を見て喋れよ、阿呆。そもそも、明らかに護衛じゃない襲撃目的の連中を連れて来て、家の前でも気配を多少消していた奴等が賊以外の何だと言うんだ?・・まあいい、貴族関係の人間に何も期待はしていないからな。他の奴等で俺達に何か話す事が有る奴は居るか?このままだと、最悪そのまま地下深くに埋めて何も無かったことになるが。」
全員で八人居たが、四人の顔色が変わり内一人が考える顔になり、貴族の関係者臭い四人は二人は諦めたように俯き、二人はまた喚き出した。
貴族に手を出すのかとか、正々堂々と戦えないのかとか、意味の通らない同じ様な事しか言わないので貴族の関係者臭いのは一旦五月蠅いのでまた埋めて置く。
「俺が話す。」
思いっきりシリアスな顔をした残りの四人のリーダーっぽいおっさんが重い感じで話し出した。
今の体勢を突っ込んで茶化したら駄目だろうか。
渋いおっさんがシリアスに喋り出しそうなので好きにさせて置く事に。
冒険者とかでは無く、そこらに居るチンピラでも小金持たせて連れて来たと思ったのに、鑑定してみると面倒な方向で面白い結果が出た。
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アダーモ 人族 男性 33歳
戦士 レベル37
スキル
剣術3 投擲術1 身体能力強化2 (殺人術2)
ブロル 人族 男性 28歳
探索者 レベル33
スキル
短剣術2 投擲術3 罠術3 危険感知2 (拷問術3)
チーロ 人族 男性 35歳
盗賊 レベル38
スキル
短剣術4 投擲術2 状態異常耐性1 (毒術3)
バルトロメイ 人族 男性 30歳
弓術士 レベル29
スキル
弓術3 気配感知2 感情感知1 (殺人術3)
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ふむ・・なんか色々情報が有るな。
中身からして裏の盗賊ギルドか、暗殺ギルド辺りから雇って来たんだろう。
正式に雇われているとちょっと厄介だがどうするかね。
面倒そうなステータスを確認しつつ話し始めるのを待った。
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( )
隠蔽されたスキル
特殊な魔道具やスキルで一人につき一つスキルを隠蔽できる
通常の鑑定では見つかる事は無い
殺人術 拷問術 毒術
重犯罪を犯した者に付く特化したスキル
状況を調査してみるとスキルの付く判断が丁度良い事が分かり犯罪者か判断するのに使用している
他にもそこまで特化せずとも愚者やお調子者流される者など軽犯罪者に意味不明なスキルとして付く事もある
感情感知
自身で感じる感情を色で把握することが出来る
レベルでどれだけ把握できるか変わる特殊スキル
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スキルの隠蔽をしているって事は表立って動く事も有る面子なんだろうし、冒険者ギルドにも所属している可能性はあるな、と思っていたら向こうから情報が来た。
「俺達は冒険者ランク3の沈黙の刃だ。こうやって夜に来たのにも理由が有ってな。出来れば此処から出して普通に話させてもらえないだろうか?」
「え?やだ。おっさんらどう考えても不審者だろ。」
意味不明だったので即断ると、一瞬吃驚したおっさんが嫌らしい笑いを浮かべつつ説得と言う名の脅迫をし始めた。
「先程もそこの男性が言っていたが、貴族の使いとして我々は来ている。当然、来ている事をその貴族は知っていて報告を待っているし、関係者である我らにも其処の四人にも何かあったら面倒な事になるぞ。」
「何言ってんだ。お前らみたいのが来てすでに面倒になっているこの状況で、面倒な事になるって言葉に意味なんかないだろ。何か勘違いをしている様だが、俺がここに居るのは偶然なんだよ。どちらかと言えば、このままあんたらを埋めてイルメラを逃がしてしまった方が俺的には面倒が少なくなるんだ。」
そのまま見ていなかった、居なかったとして埋めてやろうと思っていたが、女性も居るし貴族の使いの方を一応確認する為にちょっとだけ頭を出してやる事に。
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アルナウト 人族 男性 47歳
執事 レベル39
スキル
体術3 威圧弱 交渉術4 礼儀作法 (傲慢な者)
カスペル・リーツ
人族 男性 24歳
騎士 レベル42
スキル
剣術3 盾術3 馬術2 礼儀作法(視野狭窄な者)
オルガ・マルククセラ 人族 女性 21歳
騎士 レベル40
スキル
剣術4 槍術3 馬術3 気配感知3 礼儀作法 (魔力眼)
セルファース 牛人族 男性 26歳
戦士(アルナウトの奴隷) レベル22
スキル
斧術2 身体能力強化2
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色々隠蔽されていて更に面倒な事はよく分かった。
次回11月18日0時投稿予定




