第二部 第10話 お引っ越し②
「おはよう」
引っ越しの朝、最初に目覚めたのは真人だった。
「おはようございます」
新凪も目を覚ます。
「んーおはよう」
最後に目覚めたのは結子だった。
「……えへへ」
結子は少し照れくさそうにしている。
「さあ、起きて朝食を食べてしまおう」
真人はさっさと身支度を整え、コンビニにサンドイッチとドリンクを買いに行った。
今日は9時に引っ越し屋さんがやってくる。
それまでに準備をしておかないと。
「ごちそうさま」
三人が手を合わせて一段落した頃。
インターホンが鳴った。
「おはようございます、引っ越しセンターです」
スタッフは三人だった。
男性二人と女性一人。
女性がキッチンの食器類を手際よく緩衝材で包み段ボールに詰めていく。
これらの食器も新凪と結子が暮らし始めて買ったものだ。
段ボールに詰められた荷物は男性二人が手際よく運び出しトラックに積んでいく。
キッチンの次は新凪と結子の部屋。
衣類は前日に梱包が終わっていたので、ダンボールと三人分の布団を積み込んでいく。
真人の寝室。
衣類の入った段ボールを運び出す。
続いて家具と家電製品。
基本的には使えるものは全て持っていくことになっている。
冷蔵庫、電子レンジ、電気ケトルなど、キッチン家電も運び出されていく。
三人で囲んだ食卓。
新凪のお気に入りのソファ。
タンスは新凪と結子のために買ったものだ。
真人のベッド。
これは新居では結子のベッドになる予定のもの。
真人と新凪の寝室は和室だからベッドは要らない。
最後に真人の仕事機材。
精密機械なので最後に積み込まれた。
手際の良さは流石にプロの仕事。
積み込みは午前中に終わってしまった。
三人で暮らした期間は2年足らず。
それなのに、4トンワイドの荷台は荷物でいっぱいだった。
「なんか、あっけなかったね」
「2年間があっという間に片付けられちゃった」
がらんとした部屋を眺めて結子が寂しそうに呟く。
新凪が結子を抱き寄せ、真人が二人に寄り添う。
「それじゃ、新居の方に移動をお願いします」
「搬入は13時半から始めますんで」
三人には感傷に浸る暇さえなかった。




