第8話 ポエムを頼んだら、歌と物語と動画が増えました
第7話では、フォロワーが増えても、それが読者の増加とは限らないことに気づきました。
今回は、これまでの十日間を振り返るために、ChatGPTへ「まとめ的なポエムを作って」と頼んだところから始まります。
一つのポエムが、歌詞、音楽、物語、画像、動画、そして新しい記事へ変わっていく回です。
「これまでのまとめ的な、無職のおっさんのポエムを作って」
俺がChatGPTへ送ったのは、それだけだった。
もっと細かく言えば、このスレッドの始めから今までを振り返る内容にしてほしい、という意味だった。
けれど、構成も文字数も指定していない。
感動的にしてほしいとも、笑える内容にしてほしいとも言っていない。
ただ、まとめ的なポエム。
それだけだ。
送信してから、少し待つ。
画面の中に、文字が現れ始めた。
『無職のおっさんの十日間』
タイトルからして、そのままだった。
売上ゼロから始まり、減っていく貯金があり、画面の向こうにはAIがいる。
何を書けばいいのか分からず、何を売ればいいのかも分からない。
だから、ただ聞いた。
――どうすればいい?
そこから、記事ができた。
歌ができた。
画像ができた。
動画ができた。
ラノベができた。
最初の売上は四百円。
フォロワーは増えたが、読者が増えたとは限らなかった。
エレベーターの動画は三万回、四万回と再生されたが、収益はゼロだった。
新しい商品を作ろうとして、二十四時間以上を失った。
Threadsという導線も消えた。
予約投稿を試しても、急に読まれることはなかった。
そのすべてが、一つの長いポエムになっていた。
「ずいぶん長いな」
俺は画面を下へ送りながら言った。
長い。
かなり長い。
だが、不思議と途中で読むのをやめる気にはならなかった。
書かれているのは、俺が実際にやったことだった。
成功談ではない。
むしろ、ほとんどが失敗と停滞だった。
売上は、今も四百円。
フォロワーが増えたところで、新しい記事のスキは大きく増えなかった。
動画が伸びても、生活は変わらなかった。
派手な結果など、どこにもない。
それでも、文章として並ぶと、十日間に何も起きていなかったわけではないことが分かる。
結果は小さい。
だが、試したことは多い。
「これ、歌にできるんじゃないか?」
そう思った。
思ったので、そのまま頼んだ。
「歌詞の形式と音楽スタイルにして」
細かな作曲理論は分からない。
Aメロが何小節で、サビのコード進行をどうするかなど、俺には説明できない。
そもそも楽器も弾けない。
音楽制作ソフトも使えない。
だが、ChatGPTはポエムを、Verse、Pre-Chorus、Chorus、Bridgeへ分けた。
そして、売上四百円をサビにした。
『売上四百円
たった四百円
暮らしを変えるには 小さすぎるけど』
「四百円を、こんなに何度も歌う曲があるのか」
ある。
今、できた。
内容としては正しい。
生活を変えるには小さすぎる。
しかし、ゼロではない。
むしろ、今の俺を象徴する数字としては、四百円以上に正確なものはなかった。
フォロワー九十六人でもない。
再生数四万回でもない。
今、本当に得た金額は四百円。
だから歌の中心になるのも、四百円だった。
俺は歌詞をSunoへ入れた。
ところが、生成された曲は八分を超えた。
そして、途中で切れた。
「長すぎたか」
元になったポエムが長い。
それを歌詞にしたのだから、当然だった。
そこで、またChatGPTへ戻る。
「半分くらいに縮められる?」
これだけで、短縮版ができた。
一度で完成させる必要はなかった。
長ければ短くする。
違えば直す。
使いにくければ、使いやすい形へ変える。
これまで何度もやってきたことだった。
短くした歌詞をSunoへ入れる。
今度は一曲として最後まで完成した。
再生ボタンを押す。
少し疲れたような男性の声が、静かに歌い始めた。
『売上ゼロから 始まった
減っていく貯金を 横目で見ながら』
「……本当に歌になったな」
俺が書いたわけではない。
正確には、俺が体験した内容を、ChatGPTが歌詞へ変え、Sunoが曲にした。
しかし、歌われているのは俺の十日間だった。
売上四百円。
フォロワーは増えた。
動画は伸びた。
それでも、成功したとは言えない。
その中途半端さが、妙に曲に合っていた。
成功者が過去を振り返る歌ではない。
いまだに途中にいる人間が、途中のまま歌っている。
「これ、物語にもできるんじゃないか?」
また思った。
そして、またそのまま頼んだ。
「歌詞とこれまでの経緯をもとに、短い物語を作って」
完成したのは、『四百円から始まった実験』という短い物語だった。
五十代、無職。
減っていく貯金を眺めながら、パソコンの前に座る男。
何を書けばいいかも、何を売ればいいかも分からない。
だからAIに聞く。
どうすればいい?
そこから始まり、記事、歌、動画、ラノベ、最初の売上へつながる。
元は同じ材料だ。
だが、ポエムとは印象が違った。
歌詞とも違う。
ポエムは感情を並べる。
歌詞は繰り返しで記憶に残す。
物語は、一人の人間が時間の中を進む。
形式が変わるだけで、同じ出来事の見え方も変わった。
俺はその物語を、Sunoのエディタで歌詞欄の後ろへ追加した。
曲が終わったあとに、物語を読める形だ。
正しい使い方なのかは分からない。
だが、できるのでやってみた。
次は画像だった。
俺はすでに、「無職のおっさん」として使っているキャラクター画像を持っていた。
五十代くらいの男性。
灰色の髪。
少しくたびれたセーター。
本棚のある部屋。
その画像を使い、
「無職のおっさん、ポエムを書く、という文字の入った画像を作って」
と頼んだ。
縦長の画像ができた。
机に向かい、ノートへ何かを書いている無職のおっさん。
右側には縦書きで、
『無職のおっさん、ポエムを書く』
と入っている。
次に、NOTE用の横長ヘッダーも作った。
同じキャラクター。
同じ部屋。
今度は、左側に大きな文字が入っている。
文章ができた。
歌ができた。
物語ができた。
画像もできた。
「これ、もう動画にできるな」
CapCutを開く。
Sunoから曲をダウンロードする。
作った画像を置く。
曲を入れる。
歌詞を表示させる。
複雑な映像はない。
カメラが動くわけでもない。
派手な演出もない。
一枚の画像と、歌と、歌詞。
それだけだ。
それでも一本の動画になった。
YouTubeへ投稿する。
最初にやったのは、ポエムを一つ頼んだことだった。
そこから歌詞ができ、曲ができ、物語ができ、画像ができ、動画ができた。
そして今度は、その制作過程そのものをNOTEの記事にできる。
「一つ頼んだら、ずいぶん増えたな」
俺は完成した動画を見ながら言った。
一つの材料から、複数のコンテンツが生まれた。
だが、AIが勝手に全部考えて、全部完成させたわけではない。
最初のポエムが長かったから、短くした。
歌詞をSunoへ入れた。
曲をダウンロードした。
画像を作るために、キャラクターを指定した。
CapCutへ素材を入れた。
YouTubeへ投稿した。
人間が何もしなくていいわけではない。
ただ、今までなら一つずつ別の技能が必要だった。
詩を書く。
歌詞を書く。
曲を作る。
物語を書く。
画像を作る。
動画を編集する。
そのすべてを、一人で専門的に学ぼうとすれば、俺には始める前から無理だった。
だが今は、分からない部分をAIへ頼める。
完成しなければ、もう一度頼める。
そして、一つできたものを、別の形式へ変えられる。
「これが、会話を積み重ねる意味なのかもしれないな」
最初から、ポエム、歌詞、楽曲、短編、画像、動画、記事を作る計画などなかった。
ただ、十日間をまとめたくなった。
だからポエムを頼んだ。
ポエムができたら、歌にしたくなった。
曲ができたら、物語にもしたくなった。
画像があれば、動画にできると思った。
完成した過程は、記事にできると思った。
次の作業は、前の結果を見てから決まった。
完璧な計画ではない。
完璧なプロンプトでもない。
その場で思いついたことを、短く頼んだだけだ。
「歌詞にして」
「短くして」
「物語にして」
「画像を作って」
それだけで、次の形が生まれていった。
俺はYouTubeに投稿した動画を、もう一度再生した。
画面には、本棚の前でノートへ何かを書いている男がいる。
歌の中では、四百円を何度も繰り返している。
大成功の歌ではない。
まだ何も終わっていない人間の歌だ。
『無職のおっさん
実験は続く』
曲の最後に、その言葉が流れる。
そのとおりだった。
売上は、まだ四百円。
動画を作ったからといって、急に収益が増えるわけではない。
記事を書いたからといって、急に読者が増えるわけでもない。
それでも、一つの会話が、七つの形へ変わった。
ポエム。
歌詞。
曲。
物語。
画像。
動画。
記事。
俺は新しい記事の編集画面を開いた。
タイトル欄には、こう入力した。
『ChatGPTに相談、お願いするだけでコンテンツが複数生まれる』
そして、少し考えてから本文を書き始めた。
一つ作れば、終わりではない。
別の形へ変えれば、もう一度使える。
売れるかどうかは、まだ分からない。
読まれるかどうかも、分からない。
それでも、何もないところから、一つずつ増えている。
俺はキーボードへ手を置き、いつものように画面へ問いかけた。
「さて、この次は何にできる?」
今回は、一つのポエムが、歌詞、Sunoの楽曲、短い物語、画像、YouTube動画、そしてNOTE記事へ展開していく流れを物語にしました。
最初から複数のコンテンツを作る計画があったわけではありません。
一つ完成するたびに、
「歌詞にできるかもしれない」
「物語にもできるかもしれない」
「画像と組み合わせれば動画になるかもしれない」
と、次の形が見えてきました。
AIを使う意味は、一度の指示で完璧な完成品を出すことだけではありません。
会話を重ねながら、一つの材料を何度も別の形へ変えられることにもあります。
売上は、まだ四百円。
それでも、実験から生まれるものは少しずつ増えています。
原案・構想
無職のおっさん、noteで稼げるのか実験中
物語構成・本文作成・文体調整
ChatGPT




