第16話 3万回、5万回。でも、増えたのは収益ではなく漫画でした
第15話では、最初からAIへ記事を丸投げするのではなく、疑問や相談を重ね、自分の考えがまとまった最後に文章化していることを書きました。
今回は、その対話が記事だけでなく、短編漫画と長編漫画にまで広がった話です。
動画が何万回も再生された一方で、収益は増えていません。
それでも、残しておいた数字と失敗は、別のコンテンツへ変わり始めました。
「三万回……?」
俺はYouTubeの画面を見たまま、しばらく動かなかった。
以前に投稿した、エレベーターのショート動画。
閉まりかけた扉へ向かって、人が走ってくる。
中にいた男性は、相手を待つためにボタンを押す。
ところが、なぜか扉はそのまま閉まってしまう。
ただそれだけの短いコメディ動画が、約三万回再生されていた。
「これは……始まったのでは?」
何が始まったのかは分からない。
だが、二桁や三桁の再生数を眺めることに慣れていた俺には、三万という数字が妙に大きく見えた。
さらに、その後に投稿した別の動画は、約五万回再生された。
三万。
五万。
数字だけを並べると、無職のおっさんの動画人生が、突然上向き始めたようにも見える。
「似た動画を作れば、また伸びるんじゃないか?」
俺は同じような構造の動画を作った。
短い時間。
最初に分かりやすい出来事。
最後に予想外の展開。
だが、結果は二桁や三桁だった。
「……戻ったな」
一度伸びたからといって、同じ結果を再現できるわけではない。
内容がよかったのか。
最初の一秒が強かったのか。
投稿した時間がよかったのか。
偶然おすすめへ表示されたのか。
正確な理由は分からなかった。
そして、もっと重要な数字がある。
俺は収益画面を確認した。
「ゼロ円」
三万回再生。
五万回再生。
YouTube収益、ゼロ円。
まだ収益化の条件を満たしていないため、動画が何万回再生されても広告収益は発生しない。
noteの売上は、最初に有料記事が一件売れた四百円のままだった。(note)
「数字だけなら成功者っぽいのに、財布の中身は何も変わっていないな」
俺は椅子にもたれた。
三万回や五万回という数字を見た瞬間は、少し期待した。
登録者が急増するのではないか。
ほかの動画も見られるのではないか。
ここから収益化へ近づくのではないか。
だが、似た動画を投稿しても再生数は続かなかった。
バズった理由も分からない。
収益もゼロ。
成功したとは言いにくい。
「せめて、この出来事を何かに使えないか?」
俺はChatGPTへ相談した。
そこで返ってきたのが、
「短編漫画にしてはどうか」
という提案だった。
「漫画?」
俺は漫画を描けない。
コマ割りも、吹き出しの配置も、人物の描き分けも分からない。
だが、材料ならあった。
三万回再生された。
少し調子に乗った。
似た動画を作った。
再生数は伸びなかった。
収益はゼロ円だった。
事実だけを並べても、一応の起承転結がある。
「少し大げさにすれば、漫画になるのか?」
ChatGPTは、短い構成を作った。
漫画の中の俺は、三万回再生された数字を見て叫ぶ。
「とうとう始まってしまったか……俺の成功物語が!」
次の場面では、派手な衣装を着ていた。
白い猫にまで王冠をかぶせ、動画王になったつもりで椅子に座っている。
「そこまではしていないけどな」
だが、漫画なのだから、事実をそのまま並べる必要はない。
三万回再生。
収益ゼロ円。
note売上四百円。
この三つを事実として残し、その間を少し大げさな演出でつなぐ。
最後に収益画面を確認する。
ゼロ円。
そして、土下座する。
「誠に申し訳ございませんでした!」
「誰に謝っているんだ、俺は」
自分でも分からなかった。
だが、短編漫画としては分かりやすい。
現実では静かに落ち込んだだけの出来事が、漫画では成功者になりかけたおっさんが、一瞬で現実へ引き戻される話になった。(note)
「これ、ほかの記事でもできるんじゃないか?」
過去のnote記事には、小さな失敗がいくつも残っている。
Threadsのアカウントが突然停止された。
商品を作ったが売れなかった。
フォロワーは増えたが、読者が増えたか分からない。
動画を自動で作れるようになったが、投稿は手動のまま。
Amazonの審査には通ったが、売れたわけではない。
記事の内容を短くまとめる。
少し大げさな展開を加える。
最後にオチを付ける。
現代版なら、土下座して謝る。
江戸版なら、
「もはやこれまで、詫びるしかあるまい」
と言って頭を下げる。
「記事から動画を作って、今度は記事から漫画か」
すでに自動生成動画には、短いストーリー、セリフ、キャプション、静止画像がある。
動画用の字幕ファイルにも、必要な言葉は残っている。
それを漫画向けに並べ直せば、短編漫画へ再利用できる。
そこで、漫画用のキャラクターシートも作った。
現代版の無職のおっさん。
江戸浪人版の無職のおっさん。
そして、長毛の白い猫。
顔や服装を固定しておけば、毎回まったく別人になる可能性を減らせる。
ただし、実際に作ってみると、完全自動とはいかなかった。
同じ人物のはずなのに、途中で顔が変わる。
服装が変わる。
猫の大きさが変わる。
コマの読み順が分かりにくくなる。
セリフが別の人物の吹き出しへ入る。
「やっぱり、確認は必要か」
AIへ頼めば、漫画らしい画像は出てくる。
しかし、物語として読める形にするには、人間がページを見なければならない。
それでも、以前なら、
「漫画は描けないから無理だ」
で終わっていた。
今は、修正しながらなら作れるところまで来ている。
短編漫画が作れるなら、長編漫画も作れないだろうか。
今度は、連載しているライトノベルを漫画にできるか相談した。
一話を一度に漫画へ変えるのではない。
物語を短い場面へ分ける。
その場面を数ページにする。
ページごとのコマとセリフを決める。
キャラクターと設定を管理しながら、順番に積み上げる。
「一気に作ろうとするから難しいのか」
長編漫画と聞くと、何百ページもの完成品を想像してしまう。
だが、一度に作るのは一ページだけでもいい。
一ページができれば、次のページを作る。
その繰り返しなら、漫画を描けない俺でも進められる。
さらに、漫画や動画へ使う画像についても、別の実験をした。
普通の二次元イラストをChatGPTへ渡し、
「もっと美麗にできる?」
「背景を幻想的にできる?」
「少し立体感を出せる?」
と相談する。
一度で完璧にはならない。
顔だけ平面的になる。
背景だけ豪華になる。
服装が変わりすぎる。
別人のようになる。
そのたびに、
「顔は元の雰囲気を残して」
「服装を変えないで」
「前景、中景、後景を分けて」
と修正する。
最終的には、元のイラストから、幻想的な2.5D風の画像を作ることができた。
さらに元画像と変換後の画像を左右へ並べ、Before/Afterの比較画像も作った。(note)
「画像編集ソフトを覚えるより、相談した方が早い場合もあるんだな」
Photoshopは持っている。
Canvaもある。
CapCutもある。
だが、どの機能を使えばいいのか探しているうちに時間が過ぎる。
それなら、
「この二枚を左右へ並べて、Before/Afterと入れて」
と頼んだ方が早いこともある。
画像を作る。
美麗化する。
比較画像を作る。
記事にする。
漫画や動画に使う。
一枚の画像からも、また別のコンテンツが増えていく。
俺は、note収益化実験十九日目の数字を開いた。
全体ビュー、一四六一。
スキ、四三八。
コメント、ゼロ。
フォロワー、一五四人。
売上、四百円。
前回から、ビューもスキもフォロワーも増えていた。
だが、売上だけは最初の一件から動いていない。(note)
「漫画は増えた」
「動画も増えた」
「画像も豪華になった」
「長編漫画まで始まりそうだ」
それで、売上は?
「四百円」
十九日目になっても、その数字だけは見慣れた場所から動かなかった。
noteで収益化するために始めたはずだった。
ところが今は、ラノベを書き、動画を作り、音楽を作り、教材を作り、短編漫画と長編漫画まで作ろうとしている。
「俺はいったい、何をしているんだろうな」
ChatGPTへ相談すると、作れるものは増える。
だが、作れるものが増えることと、売るものが増えることは同じではない。
短編漫画を作れるようになっても、読まれるとは限らない。
長編漫画を始めても、最後まで読まれるとは限らない。
美麗な画像を作っても、商品が売れるとは限らない。
それでも、三万回や五万回という再生数が収益にならなかった話は、記事になった。
その記事は、短編漫画になった。
短編漫画を作った経験は、また新しい記事になった。
長編漫画の作り方も見えてきた。
バズを再現する方法は、まだ分からない。
売上を増やす方法も、まだ分からない。
だが、失敗した出来事を別の形へ変える方法だけは、少しずつ分かってきた。
「収益化には失敗しているのに、素材だけは無駄にならないな」
俺は完成した漫画を見直した。
派手な衣装を着た無職のおっさん。
王冠をかぶった白い猫。
最後には、収益ゼロ円の画面を前に土下座している。
現実の俺は、そこまで大げさなことはしていない。
ただ、少し期待して、数字を確認して、静かにがっかりしただけだ。
その小さな出来事が、漫画の中では一つの物語になっている。
「売れなくても、作ったものが次の材料にはなる」
それでいいのかは、まだ分からない。
収益化のために始めた企画が、趣味の制作環境へ変わりつつあるだけかもしれない。
だが、作りたいものが作れるようになったことまで、失敗と呼ぶ必要はないだろう。
俺は次のライトノベル原稿を開いた。
その隣には、漫画用に分割されたページ構成が並んでいる。
売上は四百円。
YouTube収益はゼロ円。
それでも、無職のおっさんの世界だけは、また少し広がっていた。
第16話では、約三万回、約五万回再生されたショート動画が収益にはつながらなかったことと、その出来事を短編漫画へ変えた経緯を書きました。
一度伸びた動画と似たものを作っても、同じ再生数を再現することはできませんでした。
しかし、再生数、収益ゼロ円、note売上四百円という事実を残していたため、後から少し大げさな短編漫画へ変換できました。
さらに、ショート動画に使っているセリフやキャプションの再利用、漫画用キャラクターシートの作成、ライトノベルを場面ごとに分けた長編漫画制作も始めています。
画像についても、生成したイラストをChatGPTへ渡し、相談と修正を重ねながら美麗化し、Before/After画像へ加工できることが分かりました。
作れるコンテンツは増えています。
ただし、それが売上や収益へつながるかは別の問題です。
今後は、作る仕組みだけでなく、作ったものをどう見せ、どこへつなげるかも観測していきます。
著者
無職のおっさん
協力AI
ChatGPT(企画判断・漫画構成・画像制作・物語構成・本文作成・文体調整)
Claude Code(note記事からの動画変換・自動生成処理)




