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無職のおっさん、ラノベを書く  作者: 無職のおっさん


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12/17

第12話 コンテンツは自動で増えた。でも、投稿ボタンはまだ俺が押している

 動画を一本作るのに、約十二円。


 最初にその数字を見たとき、俺は画面を二度見した。


「……十二円?」


 動画生成AIでキャラクターを何秒も動かせば、一本作るだけでそれなりの金が消える。


 失敗すれば、さらに消える。


 手や顔が崩れた。


 別人になった。


 頼んでいない動きを始めた。


 そういう失敗まで含めて金を払うのが、動画生成AIの世界だった。


 だが、俺が今作っているのは、静止画像とAI音声と字幕を組み合わせたスライド動画だ。


 画像を用意する。


 文章を入れる。


 あとは仕組みが音声を作り、字幕を付け、動画にまとめてくれる。


 計算上、一日三本作っても、それほど大きな金額にはならない。


 現代版。


 江戸の浪人風版。


 そして、新しく始めた『無職のおっさんの異世界AI生活』。


 三本を毎日作ったとしても、月額は千円を少し超える程度だった。


「これなら、まだ続けられるな」


 無職のおっさんにとって、毎月千円は決して無視できる金額ではない。


 だが、動画生成AIで毎日三本作ることを考えれば、かなり安い。


 しかも、完成するのは動画だけではなかった。


 投稿用タイトル。


 説明文。


 ハッシュタグ。


 半角カンマで区切られた検索用タグ。


 動画と一緒に、それらが入ったテキストファイルまで作られる。


 以前なら、動画を一本作ったあと、投稿文を考えるところでもう一度止まっていた。


「タイトルはどうする?」


「説明文は?」


「タグは何個だ?」


「YouTubeとTikTokで文章を変えるべきか?」


 動画を作り終えたのに、投稿するまでにもう一仕事残っている。


 それだけで面倒になり、翌日に回すこともあった。


 今は違う。


 フォルダを開けば、動画と投稿文が並んでいる。


 あとは俺が内容を確認して、投稿ボタンを押すだけだ。


「……完全自動じゃないけど、ほとんど自動ではあるな」


 投稿そのものは、まだ自動化していない。


 調べれば、複数のSNSへ予約投稿できる外部サービスもあるらしい。


 たしかBufferという名前だった気がする。


 ただし、当然ながら有料機能もある。


 俺は少し考えてから、そのページを閉じた。


「まだ、いらないな」


 動画は始めたばかりだ。


 投稿数も少ない。


 収益化もされていない。


 毎日数十本を投稿するわけでもない。


 今の段階で、自動投稿のためにさらに固定費を増やす意味は薄い。


 投稿ボタンくらい、自分で押せばいい。


 収益が生まれ、投稿先や本数が増え、本当に手作業が負担になったときに考えればいいことだ。


 自動化できるからといって、すべてを自動化する必要はない。


 必要になる前に仕組みを増やすと、今度は仕組みを管理する仕事が増える。


 無職なのに、誰にも頼まれていないシステム管理者になるつもりはなかった。


 俺は完成した動画を再生した。


 画面の中では、五十代のおっさんが見知らぬ森で目を覚ましていた。


 圏外のスマートフォン。


 減らないバッテリー。


 なぜか動くAI。


 俺がAIと相談しながら考えた物語が、画像になり、音声になり、動画になっている。


「こうして見ると、本当にアニメっぽいな」


 本格的に動くアニメではない。


 静止画像を使った紙芝居に近い。


 それでも、登場人物がいて、声があり、音楽があり、物語が進む。


 オープニング曲もある。


 エンディング曲もある。


 十分に、一つの作品だった。


 そして、その隣には『無職のおっさん、ラノベを書く』の原稿がある。


 こちらも、俺が一から物語を考えて書いているわけではない。


 前回から何をしたか。


 何に気づいたか。


 何が失敗したか。


 それをAIへ話し、


「これを第十二話のラノベにして」


 と頼む。


 それだけで、俺がしてきたことが物語になる。


 自動動画の方は、さらに進んでいた。


 過去にnoteへ投稿した文章を読み、そこから出来事を拾い、勝手に短いストーリーへ組み直す。


 元の記事も、特別な取材をしたものではない。


 俺がAIに相談したこと。


 返ってきた答え。


 実際に試した結果。


 そこから感じたこと。


 ほとんど、それだけだ。


 AIと話す。


 その会話が記事になる。


 記事がラノベになる。


 ラノベや記事から画像が作られる。


 画像と文章から動画が作られる。


 動画用のタイトルや説明文まで作られる。


 一つの会話から、形の違うコンテンツが枝分かれしていく。


「……俺は、何を作ったんだろうな」


 記事制作の仕組みなのか。


 動画制作の仕組みなのか。


 小説生成の仕組みなのか。


 たぶん、どれでもない。


 俺が作ったのは、AIと話し続ける限り、会話が何らかの作品へ変わっていく流れだった。


 難しいプロンプトを組んだわけではない。


 最初から設計図があったわけでもない。


「こういうことはできるか?」


「ここを自動にできないか?」


「今度は動画にできないか?」


 そうやってAIへ相談し、提案されたものを試し、失敗した部分を直した。


 その繰り返しで、気がつけば一つの制作システムになっていた。


 普通なら、コンテンツを増やすたびにネタを考えなければならない。


 俺の場合は、AIと相談して何かを試せば、その過程自体が次のコンテンツになる。


 失敗しても記事になる。


 成功すれば商品や動画になる。


 迷えばラノベになる。


 つまり俺は、何かを完成させなくても、相談を続けているだけで材料が増えていく。


「コンテンツ不足には、たぶんならないな」


 問題は、別の場所にある。


 作ったものを、誰が見るのか。


 どこから人が来るのか。


 増え続ける作品を、どうやって読者へ届けるのか。


 制作は、かなり自動化できた。


 だが、閲覧者は自動では増えない。


 投稿ボタンを押しても、必ず誰かが見てくれるわけではない。


 それでも、今は作るしかない。


 何が見られるか分からないなら、いくつか試す。


 現代版。


 江戸版。


 異世界AI生活。


 記事。


 ラノベ。


 音楽。


 それぞれ公開し、数字を見る。


 伸びたものがあれば、その理由をAIと相談する。


 伸びなくても、それも次の記事になる。


 無駄になるものは、意外と少ない。


 俺は三本の動画ファイルと、三つの投稿文を確認した。


 自動投稿は、まだ必要ない。


 今の俺に必要なのは、高価で完璧な仕組みではない。


 低い費用で作り続け、反応を観測できる仕組みだ。


 そして今日も、最後の作業だけは自分で行う。


 動画を選ぶ。


 文章を貼る。


 公開設定を確認する。


 投稿ボタンへカーソルを合わせる。


「ここだけは、まだ俺の仕事か」


 クリックする。


 動画が一本、インターネットの海へ流れていった。


 誰かが見るかは分からない。


 収益になるかも分からない。


 だが、明日になれば、また次のコンテンツができている。


 俺がAIと話すことをやめない限り。


 制作システムは、静かに動き続ける。


 そして無職のおっさんは、今日も投稿ボタンを押した。

第12話では、静止画像・AI音声・字幕を使った動画自動生成と、一つの対話から複数のコンテンツが生まれていく現在の制作状況を書きました。


動画一本あたりの費用を抑え、投稿用の文章まで同時に作れるようになりましたが、投稿自体はまだ手動です。


自動化できることをすべて自動化するのではなく、必要になった段階で追加する。


現在は、収益化よりも、低い負担で作品を増やし、何が見られるのかを観測する段階です。


次回も、実際に起きたことをもとに物語を続けます。


原案・構想

無職のおっさん、noteで稼げるのか実験中


物語構成・本文作成・文体調整

ChatGPT

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