三話 光の糸
蔵の中は依然と同様
静かなものだった。
古い木の匂い。
古い本の匂い。
窓から指す光はあるが、
薄暗い。
その小さな光の中に
小さな埃が舞っていた。
シャラン……
胸元の鈴がかたりと
小さく動いた。
「今の……」
ハクにも聞こえていたらしい。
透子は驚いて、
胸元の木箱を取り出した。
淡く光が箱から漏れている。
透子は箱を開けた。
「……雅さん。」
鈴が淡く光を帯びている。
それは次第に細くなり、
一本の糸のようにどこかへ
伸びていた。
「その光、辿れるかい?」
「はい。」
透子は光の糸が指す方へ
歩いていく。
ハクも黙って後を追う。
光の糸は
蔵の奥を指していた。
どんどん奥へと続いていく。
ハクは足を止めた。
「こんな場所、あったのか?」
「えっ?」
透子も立ち止まった。
何故前回来た時には気づかなかったのか。
さらに光の指す方へ進むと、
そこには隠れるようにして、
一つの木箱が置かれてあった。
シャラン……
鈴が優しく音をたてた。
透子は胸が高鳴るのを抑えつつ、
その木箱を手に取った。
「ハクさん。
これ……」
透子の隣に立って
ハクはその箱を眺めた。
「これは……!」
箱の蓋には、
掠れた文字でこう刻まれていた。
『雅』
二人は息を呑んだ。
「開けます。」
透子は緊張しつつ、
そっと箱を開けた。
その中には、
一通の手紙が入っていた。
三話 光の糸 [完]




