表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界ゲームバー転生おじさん(42)、世界のバグになる。  作者: 勇者ヨシ君
第2章 世界探索編―散ったコアを追う旅
73/94

第56話 おっさん、ルステラ0.03%と再会(後編) ――レトロPC以下でも、ママはママらしい――

トラップ発動。双子を守りながらの戦闘。

そして、俺の中に残っていたルステラの欠片が目覚める。

レトロPC以下の残量でも、ママはママだった。

 ――ピィィィィィィン――


 耳を(つんざ)く音波。


 (きゅう)認証(にんしょう)トラップが起動した。



 ステラが頭を抱える。


「いたい!」


 ルースも苦しそうだ。


「……ステラ」


 (かば)おうとする。



 ノエルが咄嗟に双子を抱き上げた。


「っ、後退します!」



 コハクが結界を展開する。


「拙者の結界で!」


 一時的に音波を防ぐ。


 だが、コハクの額に汗が(にじ)む。


「……維持が、厳しいでござる」



 シンとムーニャンがトラップ解除に取りかかる。


 シン「旧式だが、(やっ)(かい)だ」


 ムーニャン「時間かかるネ」



 その隙に――


 がこん、がこん。


 複数の警備端末が起動した。



    ―――  ―――  ―――



 ナツが舌を打つ。


「うわ、数多いっす!」



 コハクが必死に結界を維持している。


「拙者の結界が……」


 双子を守るので手一杯だ。



 俺は双子を庇いながら戦う。


 だが、数が多い。



 端末の攻撃が(かす)める。


 腕に痛みが走った。



 ステラが心配そうな声を出す。


「ぱーぱ、だいじょうぶ?」


 ルースも俺の腕を見つめる。


「……けが、した」



 俺が笑って見せる。


「平気だ」



 だが、状況は平気じゃない。


 端末に囲まれる。



    ―――  ―――  ―――



 その時。


 頭の中に、ノイズが響いた。



『――ききき――カイ――回避――ミギ――』



 機械的で途切れ途切れ。


 まるで故障したレトロPCの音声合成。


「!?」



 俺は反射的に右へ動いた。


 端末の攻撃が、空を切る。


「今の声……」



 再び、声。


『――ケイカイ――タンマツ――ヒダリ2――』



 言われた通りに動く。


 敵の配置が読めた。



 的確に回避。


 反撃。



 ナツが驚く。


「マスター、動きが鋭いっす!」



    ―――  ―――  ―――



 その時。


 ステラが突然、泣き止んだ。


 目を丸くする。


「……ママ?」



 ルースも同じく。


「……ママだ」



 双子が同時に俺を見上げる。



 俺が呟く。


「ルステラ……お前、まだ……?」



 頭の中に、また声。


『――ハイ――セツゾク――フアンテイ――』



 すぐに声が途切れる。


 でも、確かに「()()」と答えた。


挿絵(By みてみん)


 ステラが叫ぶ。


「ママ!」


 ルースも小さく言う。


「……いる、ママ」



 俺が頷く。


「ああ……いる。でも……」


 もう、声は聞こえない。



    ―――  ―――  ―――



 ルステラの助言で危機を脱出した。


 シンがトラップを完全無効化する。

「……よし」


 ムーニャンが認証部品を回収する。

「成功ネ」



 双子が俺に抱きつく。

 ステラが必死に言う。

「ママ! ママ!」


 ルースが俺の袖を握る。


「……いる、ママ」



 俺が頭を撫でる。

「いるが――でも……」

やはり、もう、声は聞こえない。



    ―――  ―――  ―――



 帰り道。

双子が疲れてうとうとしはじめた。



 ステラが呟く。


「あるけない~ねむいよ~」


 ルースも同じく。


「……つかれた」



 コハクが胸を張る。


「拙者が背負うでござる!」


 今度は双子も頷く。


「おねがい」



 コハクが感動する。


「拙者を頼ってくれたでござる!」



 大荷物に双子を加えて、コハクが大変なことになる。


「お、おもいでござる……」



 ナツが手伝う。


「ステラちゃん、こっちっす」


 ステラが喜ぶ。


「ありがと!」


 ナツが笑う。


「軽いっすね」



 ルースは(かたく)なに俺の手を握っている。


「……ぱーぱと」


 俺が微笑む。


「そうか」



    ―――  ―――  ―――



 《るすと》に帰還した。



 ギルマスが出迎える。


「おかえり。初クエスト、合格だ」



 タニシも駆け寄ってくる。


「おかえりなさい! どうでしたか!?」



 ステラが元気に答える。


「こわかった! でも、がんばった!」


 ルースが小さく言う。


「……ママ、いた」



 タニシが首を(かし)げる。


「え? ママ?」


 タニシが双子に近づこうとする。


「すごいね~、頑張ったね~」



 ステラが即座に叫ぶ。


「ちかづくな!」


 ルースも冷静に言う。


「……エッチ」



 タニシが絶望する。


「まだ言われる!?」



 ナツが笑う。


「双子ちゃん、しっかりしてるっすね」


 コハクが頷く。


「拙者、双子を見習うでござる」



 タニシが訴える。


「僕、何もしてないのに!」


 ミーナが苦笑する。


「存在がアウトなのかもね……」



 タニシは再び敗北した。



    ―――  ―――  ―――



 双子が俺に質問攻めする。



 ステラ「ママ、どこ?」

 ステラ「また、でる?」

 ルース「……こえ、きこえた」

 ルース「ママ」



 俺は、どう説明すればいいか迷った。

 ミーナとノエルも心配そうだ。



 ギルマスが口を開く。

「ルステラは分散した。でも完全に消えたわけじゃない」

お前(マスター)の中に、欠片が残ってる」



 シンが続ける。


「ただし機能はほぼ停止状態。()()()P()C()()()だ」


 ムーニャンが補足する。

「人格も記憶も、ほとんど残ってないネ」


 ノエルが優しく言う。

「さっきの声も、自動応答に近いっすよね……」



 ステラが泣きそうになる。


「ママ……いない?」



 ルースが呟く。


「……こえ、すこし」


「でも、ママ」



 俺が答える。


「いなくはない。でも、今のままじゃ……」



 ギルマスが(げん)(しゅく)な顔で言う。


「だから世界中に散ったコアを集める」


「ルステラの分散ノードを回収して、人格を(さい)(こう)(せい)する」


「お前らのママを、取り戻せ」



 ステラが涙を(ぬぐ)う。


「とりもどす!」



 ルースが真っ直ぐ俺を見る。


「……ママ、かえってくる?」



 俺が頷く。


「ああ。必ず」



 双子が抱きついてくる。


「ぱーぱ!」



    ―――  ―――  ―――


カケルの工房へ、認証部品を届ける。


 カケルは、朝から酒を飲んでいた。



 俺が呆れる。


「まだ飲んでんのか」


 カケルが即答する。


「仕事が進むんだよ」



 ステラが叫ぶ。


「だめなおとな!」


 ルースも頷く。


「……タニシとおなじ」



 カケルが眉を(ひそ)める。


「タニシと一緒にすんな」


 タニシが後ろから訴える。


「僕、何した!?」



 カケルが認証部品を確認する。


「上出来だ。これで足は動く」



 車両のエンジンが、初めて始動した。


 ゴォォォォォ……


 力強い音。



 ステラが目を輝かせる。


「すごい!」


 ルースが(たず)ねる。


「……のれる?」



 カケルが頷く。


「ああ。いつでも出られる」



 タニシが手を上げる。


「僕も乗れますか?」


 全員の声が揃った。


「だめ」



 タニシが叫ぶ。


「ひどい!」



    ―――  ―――  ―――



 俺が一人になった瞬間。


 頭の中に、またノイズ。



『――シュウシュウ――ノコリ――0.03%――』


『――ママ――ヤクワリ――ハタセズ――』


『――ゴメンナサイ――』



 ノイズが混じり、すぐ途切れる。


 でも、確かに「ごめんなさい」と言った。



 俺が呟く。


「……(あやま)るな。お前を取り戻す。必ず」



    ―――  ―――  ―――



 双子が戻ってくる。


「ぱーぱ!」


「ママ、さがしにいく!」



 車両のエンジン音が、力強く響いた。



 俺は双子の頭を撫でる。


 そして、工房の奥で鈍く光る車体を見た。


 ルステラを取り戻す。


 世界中に散ったコアを、全部集める。


挿絵(By みてみん)


 コハクが横で大荷物を整理している。


 ナツが双子の装具を点検している。


 ムーニャンが酒瓶を隠そうとして、シンに見つかっている。


 タニシが「僕も行きます!」と言って、双子に「だめ!」と即答されている。


 いつもの、騒がしい仲間たち。


 そして、俺の中に眠る、ルステラの欠片。



 長い旅が、始まる。



(後編・完)世界冒険へ続く



◆登場キャラクター


・マスター:ルステラの欠片0.03%と再会。レトロPC以下の機能でも、確かにそこにいた。

・ルステラ(欠片):『――ハイ――』『――ゴメンナサイ――』機械的で途切れ途切れ。でもママ。

・ルース:「……ママだ」と欠片を感知。冷静に状況を分析する能力の片鱗。

・ステラ:「ママ!」と叫ぶ。感情で反応し、マスターを強化する力。

・タニシ:帰還後も双子に「エッチ」と言われ、最後まで「だめ!」と拒否される。存在がアウト。

・シン:トラップ無効化。「レトロPC以下だ」と冷静に状況分析。

・ムーニャン:認証部品回収成功。酒は没収される。

・ノエル:双子を抱えて後退。「自動応答に近い」と補足。

・ナツ:ステラを背負って帰る。「軽いっすね」

・コハク:双子を背負って感動。大荷物+双子で重い。

・ミーナ:「存在がアウト」とタニシに追い打ち。

・ギルマス:ルステラ復活の方法を説明。「お前らのママを、取り戻す」

・カケル:朝から酒。「タニシと一緒にすんな」車両完成。


◆今回の話の解説


初クエスト、後編です。


トラップ発動、警備端末群との戦闘。そして、マスターの中に残っていたルステラの欠片が目覚めます。


『――カイヒ――ミギ――』

『――ハイ――セツゾク――フアンテイ――』

『――ゴメンナサイ――』


機械的で途切れ途切れ、まるで故障したレトロPCの音声合成。残量0.03%。人格も記憶もほとんど残っていない。でも、確かにそこにいました。


双子が「ママだ」と感知する場面は、今後の旅の目的を明確にする重要なシーンです。


そしてタニシは帰還後も双子に拒否され続け、「存在がアウト」という烙印を押されました。合掌。


車両も完成し、いよいよ本格的な旅が始まります。


次回、第二期本格始動です。


「少しでも楽しんでいただけたら、ブックマーク登録・評価・コメント・レビューで応援いただけると励みになります!」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
読んでいただきありがとうございます。
少しでも気になっていただけたら、作品ページものぞいていただけると嬉しいです。

小説家になろう 勝手にランキング
ギルド酒場るすと公式サイト

影森ゆらは今日も死ぬ
異世界最強の節約勇者
女子高生×オカルト×ちょっと変な日常。
そんな空気が好きでしたら、たぶん刺さる作品です。
お気に召しましたら、ブックマークなどで応援いただけると励みになります。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ