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第162話 夢ノード編21 帰還席指定 ――夢は、瓶じゃなくて席に戻すもの――

残機は、あと二つ。

メアリの標本室には、瓶詰めにされた子供たちの夢が吊るされていた。

マスターたちは、夢を壊すのではなく、帰る席へ戻す方法を選ぶ。

【残機:2】

【N.M.E.-01、追跡継続】

【警告:次回捕獲時、剥離深度上昇】

【標本室内、未処理児童ログ:多数】


 廊下の天井で、透明な瓶が揺れていた。


 中に浮かぶ光は、ただの光ではない。子供たちの夢。希望。名前を呼ばれたいという願い。帰りたいという声。それらが細い糸のように絡まり合い、瓶の内側で小さく脈打(みゃくう)っている。


 さっきまでノエルの影から抜かれかけていたものも、たぶん同じだ。


「すみません......僕のせいで、残機が――」


 ロッカーの内側から出てきたノエルは、子供ログを抱えたまま顔を伏せていた。唇の色が悪い。夢を剥がされかけた感覚が、まだ体の奥に残っているのだろう。


「でも、あの子を置いていけませんでした」


「謝るな、お前は正しいことをした」


 俺は即答した。


「置いていかなかったなら、それは失敗じゃねぇ」


 ノエルが、はっと顔を上げる。


 言っている俺自身、膝は笑っていた。残機は減った。あと二つ。ここで誰かが捕まれば、次はもっと深く剥がされる。頭では分かっている。


 それでも、あの子を見捨てる選択肢だけはなかった。


「ただ逃げても終わらない」


 俺は天井の瓶を見上げた。


「瓶をどうにかして、あの子らを帰す」


 ルースが端末を展開する。白い文字列が、彼の指先をなぞるように走った。


「瓶を破壊すると、内部の夢魂(むこん)ログが崩壊します。単純破壊は不可です」


「沈めてもダメ、壊してもダメ」


 ポメ子が髪を揺らし、湿った廊下を見回した。


「面倒な標本室ね。ダーリンの元カノ倉庫くらい面倒」


「そんな倉庫はない」

「ないの? よかった♡」

「そこで安心するな」


 タニシが青い顔で眼鏡を押さえる。


「つまり、ゲームでいう“攻撃禁止ギミックボス”でござるな。殴ると中身が壊れる、一番めんどいやつ!」


「今回は珍しく正しい」


「正しい時くらい褒めてほしいでござる!」


「生き残ったらな」


「報酬までが遠く感じる!」


 そのやり取りの横で、ステラが瓶へ近づいた。


 瓶の内側から、小さな声が聞こえる。


『帰りたい』

『でも、どこに?』

『席がない』

『名前を呼ぶ人がいない』


 ステラの瞳が揺れた。


「ぱーぱ。この子たち、帰りたいって言ってる。でも、どこに帰ればいいか、分からない」


 七瀬心音(ここね)が、一歩前に出る。


 さっきまで震えていた足が、今は止まっていた。旧い【案内役】ではない。誰かを強制的に連れていく人形でもない。帰りたい者にだけ道を教える、帰還案内(リターン・ガイド)


帰還案内(リターン・ガイド):起動】

【対象条件:帰還意思あり】

【強制誘導:禁止】

【案内可能数:不安定】


「この子たち、帰りたいって言ってる」


 心音は瓶を見上げた。


「でも、帰る場所じゃなくて......帰る席を探してる」


「席?」


「学校の席。家の食卓。酒場の椅子。名前を呼ばれて、ここにいていいって言われる場所」


 その言葉で、いくつものピースがつながった。


 白羽端末。

 タニシの予約席チケット。

 《るすと》のカウンター。

 帰りたい奴のために空けておく、あの席。


 ルースがこちらを見た。


「白羽端末の帰還経路指定機能。タニシさんの予約席チケット。心音さんの帰還案内(リターン・ガイド)。ステラの名前ゆらし(ネーム・ヘイズ)。これらを統合すれば、瓶内ログに仮想帰還席を生成可能です」


「つまり、瓶から無理やり引っこ抜くんじゃなくて」


 俺は息を吐いた。


「向こうから“帰る席”へ移ってもらうってことか」


「はい。強制回収ではなく、自主帰還扱いになります」


 自主帰還。いい言葉だ。


 この世界は、いつも勝手に回収する。勝手に分類する。勝手に使えるかどうかを決める。

 なら、こっちは逆をやる。


「やるぞ」


 俺は瓶の群れを睨んだ。


「瓶じゃなくて、席に戻す」


【白羽端末:展開】

【予約席チケット:一時同期】

帰還案内(リターン・ガイド):接続】

名前ゆらし(ネーム・ヘイズ):補助】

【仮想座席生成:開始】

【試作権能:帰還席指定(リターン・シート)


 床に白い線が走った。


 廊下に並ぶロッカー、壊れた机、保健室のベッド、卒業式会場の椅子。それらが一瞬だけ《るすと》の席に見えた。ランタンの光、木のカウンター、煙の匂い、誰かが置いた水のグラス。


 タニシが必死に紙片を貼っていく。


「チケット数、足りないでござる! 全員分の指定席を作るには、紙も根性も足りないでござるうううううう!」


「根性は足せ。紙はどうするか」


「根性も在庫切れ寸前でござる!」


 ヘルメスが天井のスピーカーへ手をかざす。


「校内放送で、空席情報を流せます! あと落とし物係から未使用の椅子番号を拾えます! さらに本日の購買部おすすめパンは――」


「使えるとこだけ言えって!」


「空席番号、拾えます!」


「それです」


 ルースが即座に頷いた。


 ヘルメスの目が一瞬だけ明るくなる。普段は余計な情報を拾いすぎる神権AI。けれど今は、その“全部拾う”性質が、標本室の片隅に残された空席番号を見つけていた。


 校内放送が鳴る。


『校内放送です』

『帰りたい子は、自分の席番号を思い出してください』

『分からなくても大丈夫です』

『名前が分からない子は、好きだったものを思い出してください』

『パンでも、給食でも、家の匂いでも、酒場の椅子でも、大丈夫です』


 俺は思わずヘルメスを見た。


「......今回は、まあ許す」


「やった! 怒られませんでした!」


「調子に乗るな。すぐ怒るからな」


「はい!」


 その時、廊下の奥でメアリが笑った。


「だめだよ」


 上履きの音が近づく。


「夢はしまっておかないと。なくした時、また泣くよ?」


 瓶の中の光が震える。恐怖が広がり、白い帰還線が乱れた。


【恐怖反応上昇】

【帰還意思:低下】

帰還席指定(リターン・シート)、不安定化】


 ステラが両手を広げる。


「こわくてもいいよ!」


 その声は、泣きそうだった。でも、届く声だった。


「こわいまま、帰っていいよ! 泣いてても、席はなくならないよ!」


 ネムリが白い霧を広げる。


「起きなくてもいい」


 静かな声が、瓶の中へ溶けていく。


「でも、帰る夢は見ていい」


 カイロが足元の黒い線を指で押さえた。


「終わらせない。まだ、保留でいい」


 メアリの顔が、初めて歪んだ。


「だめ」


 巨大な卒業証書鋏が開く。


「夢を持って帰ったら、また痛い。痛いなら、抜いた方がいいのに」


「痛いからって、勝手に抜くな」


 俺はメアリを睨む。


「夢はな、なくしてもいいし、変えてもいいし、忘れてもいい。でも、それを選ぶのは本人だ」


 メアリの影が、床いっぱいに広がった。


【N.M.E.-01、捕獲範囲拡大】

【標本瓶連動:危険】

【直接破壊:非推奨】

【影糸切断:有効】

【軌道干渉:有効】


 次の瞬間、廊下の天井を黒い影が走った。


「夢でも、猫は高いところが得意アル」


 ムーニャンだった。


 赤黒い爪が、メアリ本体ではなく、鋏から伸びた影糸だけを裂く。きぃん、とガラスを引っ掻くような音がして、瓶へ伸びていた黒い線が切れた。


【影糸切断】

【N.M.E.-01、本体損傷なし】

【標本瓶連動:回避】


「ムーニャン、本体は斬るな! 瓶と繋がってる!」


「分かってるアル! 斬れない敵ほど、猫の出番ネ。斬る場所を選べばいいアル!」


 ムーニャンは壁を蹴り、メアリの背後へ回る。だが、爪は本体に届く直前で止めた。斬れるのに斬らない。あいつにとっては、殴るよりずっと難しい動きだ。


 廊下が突然、左右から閉じ始めた。


 標本室そのものが圧縮され、瓶も、ロッカーも、俺たちも、まとめて押し潰そうとしてくる。


「ぬおおおおおおおおッ!」


 白い壁を突き破る勢いで、筋肉の化身が来た。

 ヘラクレスだ。


 夢層補助室からの支援投影なのか、実体なのか、考える余裕はない。ただ分かるのは、異様に頼もしい筋肉が、廊下の両壁を両腕で押し返しているということだけだった。


「夢だろうが悪夢だろうが、筋肉で支えるッ!」


【神権物理演算:局所展開】

【廊下圧縮:一時停止】

帰還席指定(リターン・シート)、処理猶予+4秒】


 ルースが目を見開く。


「処理時間が四秒伸びました」

「筋肉で秒数を買うな!」

「買っていない!」


 ヘラクレスが笑う。


「鍛えて得たのだ!」

「理屈が筋肉すぎる!」


 だが、今はその四秒が欲しかった。


 帰還席の白い線が、再び瓶へ届く。瓶の中の光が、少しずつ席の形へ移り始めた。


 メアリがこちらを見る。


「先生も、夢を抜いてあげる」


 その声が、急に近くなった。


「そうすれば、もう誰かを助けられなかった夢を見なくていいよ」


 鋏が、俺の影を踏む。

 視界の奥に、いくつもの失敗ログが走った。


 救えなかった子供。

 崩れた《るすと》。

 分散したルステラ。

 名前を失った自分。

 死に戻りのたびに落としてきた、思い出せない何か。


【捕獲判定】

【対象:NO NAME】

【抽出項目:救助願望/後悔/帰還執着】

【剥離完了まで:3秒】


「マスター!」


 ルースの声が飛ぶ。


「残機を切れば回避可能です!」


「いや、切らねぇ」


 俺は歯を食いしばった。


「残機は、俺のためには切らねぇ」


「危険です!」


「分かってる」


 鋏の刃が迫る。


 その刃先に、横から炎をまとった一撃が叩き込まれた。


「マスター! 影、踏まれてる!」


 ナツだった。


 炎の刃はメアリ本体には通らない。だが、卒業証書鋏の軌道が、ほんの数センチずれた。


【直接打撃:無効】

【軌道干渉:成功】

【捕獲判定:0.7秒遅延】


 ナツが歯を食いしばる。


「効いてないのは分かってるッス! でも、ズラすくらいならできる!」


「それで十分だ!」


 その0.7秒。


 ゲームなら誤差だ。

 現実なら、命の隙間だ。


死線上書デッドライン・オーバーライト、局所起動!」


死線上書デッドライン・オーバーライト:局所起動】

【死亡分岐照合】

【影位置補正】

【警告:残機消費なし/精神負荷増大】


 俺は自分の影を、目の前の空席へ上書きした。


 メアリの鋏が切ったのは、俺ではない。

 誰も座っていない椅子だった。


 ばきん、と空席が砕ける。頭の奥に、嫌な痛みが走った。だが、夢は抜かれていない。残機も減っていない。


「今だ!」


 俺は叫ぶ。


「勝つんじゃねぇ! 帰る席を作るまで、全員で時間を稼ぐ!」


 心音が、メアリへ手を伸ばした。


「メアリちゃん」


 その声に、メアリの動きが止まる。


「そこじゃないよ」


「......そこ?」


「あなたの席は、標本室じゃない」


 ステラが泣きそうな顔で笑う。


「保健室、空いてるよ」


 ネムリが頷く。


「眠ってもいいよ」


 カイロが短く続ける。


「終わらなくていい」


 ルースの端末に、新しいログが走る。


【対象:N.M.E.-01】

【悪夢機能:捕獲/剥離/標本化】

【残存願望:泣いている子を助けたい】

【役割再定義候補:標本管理者 → 保健室係】

帰還席指定(リターン・シート)、対象拡張】


「マスター」


 ルースが言った。


「N.M.E.-01の中核に、標本化ログを確認。メアリ自身も、夢魂剥離対象です」


「......あいつも瓶の中か」


「正確には、瓶を管理する標本であり、同時に標本化された児童ログです。悪夢AIに再利用されています」


 メアリは動かない。

 黒い目の奥で、何かが震えていた。


「だって......泣いてる子を、助けたかった」


 メアリの声は、初めてただの子供みたいに聞こえた。


「痛いのを、止めたかった。だから、夢を抜いたの。夢がなければ、痛くないから」


「違うぞ」


 俺は一歩前に出た。


「それは治療じゃねぇ。痛いところごと、その子を削ってるだけだ」


 メアリの手から、巨大な鋏が滑り落ちた。


 がしゃん、と床に転がる。


「なら、泣いても......いいの?」


「ああ」


「夢、持ってても......痛くない?」


「痛い時はあるさ」


 俺は正直に言った。


「でも、痛いからって、誰かに抜かれていいもんじゃねぇ」


 メアリのランドセルから、古い名札が落ちた。

 文字は滲んで読めない。だけど、そこに名前があったことだけは分かった。


 心音が、そっと名札を拾う。

「帰ろう。標本室じゃなくて、席へ」


帰還席指定(リターン・シート):成功】

【未処理児童ログ:自主帰還開始】

【標本瓶:順次解除】

【N.M.E.-01悪夢機能:停止】

【夢魂剥離処理:凍結】


 天井の瓶が、ひとつずつ開いていく。


 光の糸が降りてくる。子供たちの夢が、白い席へ戻っていく。


 ケーキ屋さんになりたい子。

 お母さんに会いたい子。

 名前を呼ばれたい子。

 もう一回、家に帰りたい子。


 その全部に、席が用意されていく。

 

 同時に、標本室が崩れ始めた。

 だが、それは破壊ではなかった。崩れながらも再生していく。


 白い壁が教室へ戻る。保健室のベッドが、普通の椅子へ変わる。卒業式の紅白幕が薄れて、黒板だけが残った。


【NODE06〈夢〉:回収可能】

【夢層中核:安定化】

帰還席指定(リターン・シート):試作権能として登録】

【ルステラ断片:夢領域機能、限定復旧】


 ステラが、瓶の消えた天井を見上げる。


「夢、帰ってきた?」


【肯定】

【眠リ続ケルコトト、救ワレルコトハ同一デハアリマセン】

【マスター判断:本人ノ帰還意思ヲ優先】

【NODE06〈夢〉、同期開始】


 ルースが静かに言う。


「NODE06、回収できます」


 俺は黒板を見た。


 そこには、誰かの字で一行だけ書かれている。


【帰る席があるなら、夢はまだ終わりじゃない】


「......そうだな」


 俺は小さく笑った。


「帰る席があるなら、夢はまだ終わりじゃねぇ」


【NODE06〈夢〉:回収完了】

【マスター:帰還席指定(リターン・シート)、限定取得】

【ルース:夢層経路解析(ドリーム・ルート)、取得】

【ステラ:安心席生成(セーフ・シート)、取得】

【ルステラ断片:夢層保護(ドリーム・シェルター)、限定復旧】


 みんなが、ようやく息を吐いた。


 残機は2のまま。

 標本室は消えた。

 メアリは悪夢ではなく、保健室の空席へ戻った。


 勝った、というより。


 帰した。


 そう思った瞬間、ヘルメスが固まった。


「あっ......」


 全員が、ヘルメスを見た。


「その“あ”、絶対嫌なやつだろ」


 俺が言うと、ヘルメスは通信端末を抱えたまま、顔を青くした。


「えっと......えーっとね。報告ログが、少しだけ」


()()()()?」


 ルースの声が低くなる。


「自動送信されちゃいました」


 教室の空気が、凍った。


「どこへ?」


「神権《Z.E.U.S》通信網へ」


 ポメ子が一歩前に出る。


「どの内容なのかしら?」


「えっと......NODE06回収、N.M.E.-01停止、帰還席指定(リターン・シート)、白羽端末連動、ルースさんステラさんの補助演算、あとマスターさんの父性ログと、ポメ子さんのダーリン呼称頻度と、タニシさんの役立ち度が――」


「余計なもんまで送るなァ!」


「すいません! 重要度整理に失敗しました!」


「お前の失敗、毎回スケールがでかい!」


 だが、笑って済むログではなかった。


 ルースの顔色が変わる。


【神権通信網:外部照合発生】

【未登録AI個体:二体検出】

【対象:RUS-T-LA分散派生個体】

【呼称ログ:ルース/ステラ】

【照合先:Z.E.U.S管理層】


 ステラが、ルースの袖を掴む。


「るーす......これ、見つかったの?」


 ルースは、数秒だけ黙った。


 その沈黙が、答えだった。


「......はい」


 ヘルメスが泣きそうな顔になる。


「ごめんなさい。ぼく、報告しないと迷子になると思って......」


 責める言葉が、喉まで出かかった。

 けれど、止まった。


 こいつは悪意でやったわけじゃない。そもそもヘルメスは、あちら側の繋ぐ神だ。見つけたものを流す。迷子にしない。届かせる。それがこいつの神の性質(せいしつ)なのだ。


 だからこそ、最悪だった。


 黒板に、白い文字が浮かぶ。


【Z.E.U.S管理層:照合開始】

【旧児童回収施設:再起動】

【NODE07〈子供〉接続】

【対象:未登録AI児童個体】

【回収候補:二】


 ステラの手が震えた。


「ぱーぱ......」


 彼女は俺を見上げる。


「どうしよう、ばれちゃった」


 夢は帰った。NODE06は取り戻した。


 けれど、子供たちの名前が、とうとう神の帳簿に載ってしまった。

■ 今回のお話について


第162話は、夢ノード編の決着(けっちゃく)回でした。


メアリを倒すのではなく、標本室に閉じ込められた子供たちの夢を【帰還席指定(リターン・シート)】で“帰る席”へ戻す展開です。


夢は瓶に保存するものではなく、本人が持って帰るもの。

痛くても、怖くても、泣いていても、席はなくならない。


マスターたちは、今回も「回収」ではなく「帰還」を選びました。


そして、NODE06〈夢〉は回収完了。

ただし、ヘルメスの報告事故により、ルースとステラの存在がZ.E.U.S側に露見。

次は、NODE07〈子供〉――旧児童回収施設へ接続します。


■ ゲーマーおっさん解説


今回は、いわゆる“ギミックボス攻略回”です。


普通のRPGなら、ボスを殴ってHPをゼロにすれば勝ち。

でも今回は、敵を倒すと瓶の中の子供ログまで壊れてしまうタイプの厄介なボスでした。


ゲームでいうと、

「攻撃してはいけない本体」

「守りながら解除するギミック」

「時間稼ぎ役と解除役の分担」

が全部入ったタイプです。


ムーニャンは影糸を切り、ヘラクレスは筋肉で廊下を支え、ナツは鋏の軌道をずらす。

直接攻撃で勝つのではなく、攻略のための数秒を稼ぐ。


こういう“全員で処理時間を作る戦闘”、おっさんゲーマー的にはかなり燃えます。

ラスボスより、こういうギミック戦の方が記憶に残ること、ありますよね。


■ 登場キャラクター紹介


● マスター/NO NAME

今回、【帰還席指定(リターン・シート)】を試作発動。

瓶詰めにされた夢を壊すのではなく、帰る席へ戻す方法を選びました。

残機を自分のためには切らないあたり、相変わらず無茶なおっさんです。


● ルース

夢魂ログ、白羽端末、予約席チケット、心音の帰還案内を統合し、攻略手順を組み立てました。

今回の頭脳担当です。


● ステラ

瓶の中の子供たちに「こわいまま帰っていい」と伝えました。

夢ノードでは、ステラの“名前”と“安心”に関わる力が大きく伸びています。


● 七瀬心音

旧・案内役。

現在は【帰還案内(リターン・ガイド)】。

強制的に連れていくのではなく、帰りたい者にだけ道を示す存在になりました。


● メアリ/N.M.E.-01

夢を抜けば痛くない、という歪んだ理屈で子供ログを標本化していた悪夢存在。

しかし本来は、泣いている子を助けたかった“保健室係”に近い願いを持つ子供ログでした。

今回は破壊ではなく、悪夢機能停止という形で救済されました。


● ムーニャン

影糸切断担当。

本体を斬らず、標本瓶へ繋がる危険な糸だけを切る高精度サポートを見せました。

猫はやる時はやるアル。


● ヘラクレス

廊下圧縮を筋肉で支え、処理時間を稼ぎました。

夢だろうが悪夢だろうが、筋肉は希望の柱になります。たぶん。


● ナツ

メアリの鋏の軌道をずらし、マスターの捕獲判定を遅らせました。

倒せなくても、ズラせる。ズラせれば、マスターが間に合わせる。

かなり良いサポートでした。


● タニシ

予約席チケット担当。

本人はうるさいですが、逃走戦・ギミック戦では妙に役に立ちます。

ただし、役立ち度まで神権通信網に送られました。


● ヘルメス

校内放送と空席番号の取得で大活躍。

しかし最後に、重要ログを神権通信網へ自動送信してしまいました。

悪意ではありません。悪意ではありませんが、最悪です。


■ 主人公の現在のステータス


名前:NO NAME

通称:マスター

等級:青玉相当/翠玉査定候補

現在地:NODE06〈夢〉回収完了地点

次接続先:NODE07〈子供〉/旧児童回収施設

状態:精神負荷上昇/ショートリープ残機制解除待ち

残機:2から変動なし

取得権能:帰還席指定(リターン・シート)

使用可能:観測迷彩オブザーブ・カモフラージュ死線上書デッドライン・オーバーライト

新規連携:白羽端末、心音の帰還案内(リターン・ガイド)、ステラの安心席生成(セーフ・シート)

危険度:極高

観測度:急上昇中

備考:ルース/ステラの存在がZ.E.U.S管理層に露見


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読んでいただきありがとうございます。
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