カシュマール病
私、いつからこうなったんだっけ....
小中高とずっと生徒会長で、首席で、頑張って、それでも陰でずっといじめられてて、両親はすごく仲が悪くて、お姉ちゃんが膵臓癌で亡くなった時でさえ喧嘩になっていた。終いには母親に「お前が死ねばよかった」とすら言われたくらいには、私の居場所は現実になかった。
18歳になってから、カシュマール病を発病した私は逃げるように東京へ出た。
カシュマール病の初期症状は寝れなくなることや幻視、幻聴などだ。
色んな治療を受けたけど、何一つ効果はなかった。色んな病院にたらい回しされる日々。
ハタチになって、病が進行して私は歩けなくなった。
一緒に東京に出た幼馴染の陽向葵に助けを求め生活を共にすることにした。
あらゆる生活の自由が制限される、そんな生活が嫌になって、私はネットで居場所を作ることにした。配信者として、みんなを楽しませられるような。それはとても楽しい日々。
それも長くはなかった。21歳の夏、私の誕生日を迎える寸前に陽向葵が自殺し、私は陽向葵の葬式の最中に意識を無くした。
気が付いたら病院にいた。
今私が入院している病院はこの国でも一番を誇る病院らしい。
入院中でも楽しいことはあった。大好きな小説を読んだり、作業療法の一環でハンドメイド作品を作ったり。またそれも長くはなかった。
指先が痛み、震えて作業療法すらままならなくなった。
今でもたまに陽向葵が見舞いに来てくれる。けれど、視界にノイズが走って陽向葵を次第に認識できなくなっている自分がいる。
この病気の怖いところは、ちゃんと私の意識があって、幻視や幻聴に苛まれるところ。
そしてそれが現実になってしまうこと。
何が現実で何が幻覚なのか分からない状態にはなるけど、鎮静剤を打たれたら私の意識は現実に戻る。そして幻覚に苛まれていた私の記憶もしっかりと残っている。手が痛んで震える幻視を見たら、実際に手が痛んで震えるようになるし、ノイズが走る幻視を見たらそのまま視界にノイズが走るようになる。
罵声の幻聴が聞こえたらそのまま私はずっと罵声を聞き続けることになる。
もうこんな生活嫌だ、普通の22歳の女の子として生活したかった────




