相川夢芽
「相川さん、今日はお話があって来ました。」
「先生、私はこれからどうなるんですか」
私は食い気味に聞く。
「落ち着いて聞いてくださいね。」
そんな私を宥める様に先生は言う。
「カシュマール病が進行した貴方の身体は、持ってあと2ヶ月ほどです。」
落ち着いて、私の目を見て喋る先生。
「そんな...何か、私、まだ、やりたいこと沢山あって....」
だってまだ私22歳なのに、なんでこんな目に...
「...実は、最近『脳科学研究所』というものが出来たのです。話によっては、人の意識そのものをバーチャル空間に移すことができるとか。」
先生が呟くように言った。
「それの話と私の身体に何の関係があるんですか...?」
「単刀直入に言います。脳科学研究所に相川夢芽さん、貴方の意識を提供しませんか。」
一瞬、脳がフリーズした。
「え...?そうしたら、どうなるんですか....?」
「貴方の身体はなくなりますが、意識だけはバーチャル空間に存在することができて、自由に動けるようになります。仮想空間内ですが...」
「どうせ、私、このまま苦しんで死ぬんですよね...」
だとしたら....
「はい...一応、安楽死という手段もありますが...」
それはない。まだやりたいことが私にはある。だって22歳ってみんな遊んでる時期じゃないの。
「じゃあ、せめて、仮想空間でもいいので生きていたいです。」
「分かりました。脳科学研究所から送られてきた書類を持ってきますね....」
「こちらにサインをお願いします」
長ったらしい文章が書いてあった。でも私にはそんなものを読むほどの余裕はない。
「書きました。」
「お身体もつらいでしょうから、研究所と取り合って早めに貴方を仮想空間へ送れるよう、準備いたしますね。それまでは安静に過ごしてくださいね。何かあったらナースコールを押してください。」
「わかりました...」




