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女神たちは今日もエリクサーをあおる。  作者: 猫大。
第3章

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第19話

……おかしい。

人間たちの様子がおかしい。

明らかに見張の人数が増えている。

普段より武装した集団が警戒に当たっている。


日が傾き始めた頃、息子たちを街道へと向かわせた。念のため集落に向かう馬車の一団を一掃せよと命じた。

終わり次第、こちらに合流するだろう。

 

いつもなら今頃、人間たちは住まいに閉じこもり始める。

それを確かめるため、孫息子たちを連れて集落が一望できる場所まで来ていた。

この場で夜中まで待つつもりだったのだ。


……こちらの動向がバレたのか?

ありえない。

我らは細心の注意を払ってきた。人間との接触は極力避け、巣穴の場所も知られていないはずだ。


他に何かあったのか?

わからぬ。


今は観察し、様子を見ることにしよう。

月が真上に来る頃には、街道の馬車を襲った息子たちが合流するはずだ。

まだ時間はある。


それまで武装した人間どもを見て興奮する若い戦士たちを抑えなければならぬ。これは骨が入りそうだ。

まったく、孫までもが「まだか」と急かすばかりだ。

若い連中は待つことを知らぬ。

夜になるまで宥めておかねば。



……おかしい。

息子たちが帰らない。

月はとうに真上に来ている。

何かあったのかもしれぬ。

それに、人間どもの警戒も解けぬ。

松明が煌々と燃えており、篝火さえも焚かれている。

警戒はむしろ先ほどより厳しくなっていた。


ぬぅ……

これは……今日はやめて息子たちを迎えに行った方がいいかも知れぬ。


だが、血走った目で集落の灯りを見つめる孫息子たちを説得するのは難しかろう。


孫息子に状況を話す。

だが、孫は鼻で笑ってのけた。

「怖気付いたのかジジイ。

 年寄りはこれだからいけない」

と言われる始末。


なんとも情けないことか。

状況をわからぬアホに育ってしまった。

そこらの若い戦士なら構わぬ。力だけあれば生きていける。

だが、お前は違う。

いずれこの群れを率いる者だというのに。


どうしたものかと悩んでいる最中だった。

孫息子が、愚かにも手にした槍を一番大きな建物へ向けて投げ入れた。

 

「待て――」


悲しくも制止は間に合わなかった。

 

「ジジイは耄碌した。

 戦士たちよ我に続け!

 我が一番槍に続け!」


戦士たちが戦いの咆哮を上げたと同時に、槍が建物に轟音を立てて突き刺さった。

まるで城門破りの丸太が叩き込まれたかのように、建物が揺れた。

土煙が引いた後、屋根に大穴が現れた。

ガラガラと音を立てながら崩れる。

土煙の向こうから悲鳴が響く。

人間どもが雪崩を打つように建物から飛び出した。

逃げ惑う人間どもの様は、なんとも滑稽なことか。

少なくとも、人間どもは混乱しているらしい。

 

気づけば、若い戦士たちはすでに集落の柵に迫っていた。

愚かにも人間どもが迎え撃とうとしている。

最早止められぬ。

 

「心配性なジジイはそこで待っていても構わねぇ。

 俺が皆殺しにしてくる」


 戯けたことを抜かして駆けていく。

 どうしてそう生意気なのだ。

 若さとは恐ろしいものだ。

 ……仕方のないことなのかも知れぬ。

 願わくば、我孫が一番の戦果を取ることを。

 そう思いながら後に続いた。


 


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