第9話 行方不明の子供たち
翌日となり冒険者ギルドへ。蒼士はローグと共に依頼を選ぶ。
「どのランクを選ぶ?ソウシとならブロンズ以上でもいい気がするけどな」
「う〜ん……だったらこれは?」
蒼士はひとつの依頼書を手にする。それは推奨ランクはブロンズ級ながらも緊急性が読み取れる依頼内容。
「行方不明の子どもの捜索か……」
渋い表情となるローグ。それが気になる蒼士。
「何か引っ掛かるのか?」
「この依頼の達成がどこかによって難易度が変わってくるんだよ。ただの調査ならある程度の日数や範囲を調べればそれで済むけど、捜索って書いてあるから依頼者によっては見つけないと依頼達成にならない可能性もある」
「そうなのか」
ブロンズ級なのは依頼料の関係上でありこういう依頼は報酬が少なければなおさら冒険者からも嫌煙されがちのようだ。
「だけど俺にも妹がいる。その不安は痛いほどにわかる」
「……ローグ……」
というわけでその依頼を受けることにした蒼士とローグ。数時間を歩き村に到着。早速話を聞く。
「行方がわからなくなったのは私たちの子どもたち3人です」
村長の家で行方不明となった子供達のふた家族から話を聞く。
「アズーを!アズーをどうかお願いします!」
「ケイエスとリリーがいなくては私たちは生きていけません!お願いします!助けてください!」
両者の家族より懇願される蒼士とローグ。感情的になっている母親たちは父親たちに連れられて村長宅を出る。
「私からもどうかお願いいたします。捜索するには依頼料が少ないことはわかっております。ですがこれが村で出せるギリギリなのです。みんなが生活を切り詰めながら出しました。あの子らは村みんなの子供達でもあるのです。どうか我ら村の子らをお救いください」
村長からも頭を下げられた蒼士とローグ。その後も数度話を聞いて村長の家を出て近くの森へ。
「子供たちがいなくなったのは2日前。昼に森の中に入っていく姿を見た人がいた」
村長から聞いた話をおさらいがてら口にする蒼士。
「2日前……もし誰かに連れ去られたんだとしたらもう探し出すのは難しいかもな……」
「だがゼロじゃない。もしかしたらまだこのあたりに潜伏してるかもしれない」
「……さすがにあそこまで言われたら助け出してやりてえな……」
「出来る限りのことをやろう」
そう言って蒼士は風魔術を使用する。
「風探知」
風を展開することで周囲をレーダーのように調べる風魔術。
「いま風を広げてる。とりあえず森の奥に行ってみよう」
「あれだけ近接でも強いってのに魔術まですげえなんて冗談だろ?」
ローグの愚痴が出てから十数分。なおも森を歩くが一向に風探知に怪しげな反応はない。
「仮に子供たちの行方不明に山賊が関わってるんなら2日経ってる以上とっくに売り払ってる可能性が高い。よほどの自信家か馬鹿じゃなけりゃあ一度仕事を起こした場所からは離脱したいはずだ。こうして俺らみたいなやつらが来る可能性がたけえからな」
「確かに……奇跡を信じるしかないか……」
「引き際は考えておいたほうがいいかもな……いつ捜索をやめるか……」
一見ローグが冷たいように感じるがこの世界で生まれた人間ならばこう言ったことを聞くのは初めてではない。そして一度誘拐されれば冒険者や国であろうともなかなかその手掛かりを掴むのすら難しい。優秀な山賊となればなおさら。
しかし今回子供たちを連れ去った山賊たちはよほどの自信家か馬鹿だったらしい。
「ローグ……向こうのあたりに複数の人の気配がある」
それは十数分歩いてきた場所よりもなお深く岩山があるだけの場所。
「そんな場所に複数の人影……怪しさ満点じゃねえか……」
「近くまで行ってみよう。ローグは隠密は?」
「得意ってわけじゃないって感じだな」
「わかった。なら俺が先導する。俺の指示に従ってくれ」
そうして蒼士はスキル"気配操作"にて自身の気配を薄くする。あくまで完全に遮断しないのはローグが感じ取れるように。
「……そんなこともできたのか……」
「いこう……子供たちがいるかもしれない……」
蒼士はローグと共に子供たちの救出のため歩き出す。
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