第10話 初めての人殺し
風探知によって森の奥底に複数の人影を探知。気配操作にて気配を薄くして向かう。
先導する気配が薄い蒼士の背中をローグは追いかける。
「(魔法を扱えて気力も扱える。これだけでもあり得ねえのに魔法は風魔法と回復魔法まで持って隠密にも長けてやがる。本当になにもんなんだこいつ)」
出来ることが多すぎる蒼士に得体の知れなさを感じるローグ。すると蒼士がローグに手で制止させる。
「どうし」
ローグが言葉を最後まで言うに蒼士が黙るようにジェスチャー。蒼士は木の上にいる気配を殺している人を発見した。その人物は洞窟に近づく人物の監視をしているように見えなくもない。
「 (奥に洞窟が見える。あの岩山をくりぬいたような洞窟に複数の気配……まだ山賊って決まったわけじゃない……悪い奴って決まってないけど……判断の遅れは子供たちの死に直結する……躊躇している暇は、ない!) 」
蒼士は出来る限り近づいて影縛りで口を封じて地面にたたき落とす。
「ゔゔ……!?」
うめき声をあげる男。瞬時に蒼士は男の首筋を切り初めて人を殺した。
「……人、殺し……」
目の前で倒れこむ男を数秒見つめた後はローグを呼び寄せる。
「蒼士?一体急にどう……死体?」
「……こいつは見張りだ。そして複数の気配があの洞窟の中にある……」
蒼士は端的にローグに伝える。するとローグは蒼士の震えている手に注目する。
「……殺しは初めてか?」
「……」
「それには慣れるしかねえ……冒険者をやるならいつかは通る道だ……」
「わかってる」
蒼士はゴブリンという人型の魔物を殺している影響と子供の命がかかっているという状態で保てていた。
「今は子供たちの救出が最優先だ……あの中に弱い気配が固まってる場所がある。それが子供たちだと思う」
「了解。それじゃあ俺が表で暴れてやる。その間に子供たちを救い出してくれ」
「……危険だぞ?大丈夫なのか?……」
「問題ねえよ。これでもランクも冒険者歴も上だぞ?そこそこの修羅場は潜ってきてんだよ」
こうして作戦が決まり子供たちの救出作戦が決行された。
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一方で山賊たちは・・・
「くそっ……!?あの商人!怖気づきやがったか!」
「2日待ってやってるってのに来ないところを見るとそういうことっすね」
どうやら山賊たちは攫った子供たちを売る予定の商人を待っていたらしいが予定の期日を2日過ぎても来ないらしい。
「エルゴのやつを派遣しやすか?あいつなら商人のひとりやふたり、軽く暗殺してきやすよ」
エルゴとは蒼士が殺した気配を殺していた人物の名前。
「エルゴを向かわせるのは確定だがいつまでもここにいたんじゃあいつかは冒険者が来ちまう。早くずらかるぞ」
「攫ってきた子供たちはどうするんすか?一緒に連れていきますか?」
「いらねえよあんなガキども。いつでもよそで手に入るじゃねえか。念のために殺しておけ」
「了解っす」
ひとりの山賊が子供たちのもとへと向かう。すると大慌てで山賊の仲間が入ってくる。
「大変です頭領!冒険者が来ました!」
「なにっ……!人数は何人だ!」
「一人ですがこいつが中々強くて!何人も仲間がやられちまってます!」
「ひとり相手に何やってんだ!おい!お前らもいけ!」
「「「へい!」」」
こうして洞窟の中にいた多くの山賊たちが洞窟の外へと向かっていき中を手薄とした。これが誘われているとも知らずに。
/////
「瞬錬!」
シュン!
「ぐわっ……!」
洞窟の外。ひとりの山賊を突き殺したローグ。地面にはすでに3体の死体が転がっている。
「よし!4人目!こいつら大したことないぞ!」
しかし中から山賊たちの増援が到着。
「そんな新人たちを倒したぐらいで随分と調子に乗ってんな~」
ゾロゾロと20人近くの山賊たちが押し寄せたことに冷や汗をかくローグ。
「本隊の登場ってか?」
はたしてローグは蒼士が子供たちを救出するまで持ちこたえることができるのか?
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