第11話 救出
「……よし、いまだ……」
ローグの活躍もありほとんどの山賊たちが洞窟の外へと出ていく。その隙に蒼士が洞窟へと潜入し子供たち救出に向かう。
「(おそらくあそこが子供たちの場所。そこに山賊のひとりが到着した。急いだほうがいいか)」
気配を殺しながら慎重に近づいていた蒼士だったが山賊の一人が子供たちの場所に近づいていることに気が付きバレるのを承知で移動することにした。
「疾風!」
部屋の中では3人いる子供たちが部屋の片隅へと追い込まれていた。
「く、来るな……!」
唯一の男の子が2人の女の子を守るように立ちはだかる。
「残念だったな。商人が裏切らなけりゃあここで死ぬこともなかったんだがな?」
山賊が無情にも男の子に剣を振り下ろそうとする。
「お兄ちゃん!」
「ケイエス!」
2人の悲痛な叫び声。次の瞬間にはケイエスと呼ばれた男の子の死体が出来上がると思われたその時に蒼士がたどり着いた。
「剛力!」
ドゴッ!
疾風で全力で駆けながらそのまま山賊を剛力で高めたパワーで無防備な背中をぶん殴る。
「がっ……!」
ドガン!
その一撃で山賊は気絶。蒼士は間一髪間に合った。
「ふう。 もう大丈夫、助けに来たよ」
子供たちと共に洞窟の外へと歩いて出る。もう少しで出口というときに立ち止まる蒼士。
「この先には多くの山賊がいるから俺から離れないで。指示に従ってね」
「「「わかった!」」」
子供たちと共に洞窟の外へ。そこではいまだに10以上の山賊たちとローグが戦闘中。
「チッ!中途半端な実力をしやがって。めんどくせえ!」
「はっ!山賊を舐めたのがてめえの死因だ!」
やり合うローグと山賊たち。そこに蒼士が叫ぶ。
「ローグ!」
その言葉でローグは蒼士の存在に気が付く。その背後に子供たちがいることにも。
「俺も魔術で加勢する!一気に終わらせるぞ!」
しかしその背後から山賊の頭領が近づいておりローグが叫ぶ。
「ソウシ!あぶねえ!」
「どりゃあ!!」
振り下ろされる金棒。しかし蒼士は気配操作は継続して発動させていた。そのため蒼士に奇襲は通用しない。
「問題ない!」
振り下ろされる金棒を剣で受け流す。
「剛力!」
そのまま剛力を発動させ山賊の頭領を一刀両断させようとする。
「ふん!」
ドバン!
しかし剛力を使用した剣の斬撃を山賊の頭領は気力を使用し気合いで斬られず吹き飛ばされるだけにとどめた。
「なっ……!くそっ!土弾丸!」
土を固めた弾丸を放ち山賊たちを撃退する。
「「「ぎゃああ……!?」」」
それによって多くの山賊が死亡したり怪我をし立てなかったり。その数を減らした。
「ローグ!子供たちを頼んだ!」
「任せろ!みんな!こっちに来るんだ!」
蒼士とローグの言葉に子供たちは従う。
「こ、こんなのやってらんねえよ!」
生き残った数人の山賊たち。その中からひとりが逃げ出した。するとそのあとを追うように全員が逃げていく。
「待てよ!置いてくなよ!」
「俺も逃げるぞ!」
無事だった山賊たちの中に頭領に味方しようとするものは現れなかった。
「随分と慕われてるな」
「はっ……あんなやつらはどうでもいい……てめえなにもんだ……」
「ただのアイアン級の冒険者だよ」
「逆ランク詐欺してんじゃねえよ!」
ダッ!
重い金棒を持っているとは思えない速さで蒼士に急接近する山賊の頭領。
「魔力弾!」
無属魔術の魔力弾を連射。
ドドドドドドドドド!
「効かねえなあ!!」
「くそっ……!」
振り下ろされる金棒。
ブン!
回避して反撃に移ろうとするも金棒をまるで短剣のように連撃。
ブンブンブンブン!
「おらおらおらおら!」
「ぐっ!がっ!ぐあっ……!」
ドガン!
一撃を喰らい吹き飛ばされる。
「か、回復」
瞬時に回復を使用して立ち上がる。しかしすでに目の前には山賊の頭領が接近していた。
「死ねよ!!」
「影縛り!魔力壁!土壁!」
しかしそれらは敵の攻撃の速度を多少遅くすることしかできなかった。
「だらああああ!」
ドシン!!
そのまま地面に金棒が振り下ろされる。舞う土煙。しかしそんな中を蒼士は接近し全力の剛力を発動。それは気力を剣にほぼすべて集めての一撃。蒼士が現状でできる最強の一撃。
「はああああ!!」
「なっ……!」
ザクッ!
先ほどとは違って剣が敵の身体を切り裂く。倒せると感じた蒼士は最後は力を目いっぱいに込めて全力で剣を振りぬく。
「はああああ!!」
パリン
しかしその蒼士の全力に剣の耐久力が耐えられず折れた。
「は、ははは……はっはっはっは!残念だったな!そんな鈍らじゃなかったら俺は死んでたかもな!」
「くそっ……!」
やられると思ったその時に敵の腹から槍の切っ先が生えてくる。
ズブリ!
「がはっ……!」
それは当然ローグの一撃だった。
「大丈夫か!蒼士!」
「……ローグ……」
結局はその一撃によって山賊の頭領は死亡。結果的に子供の救出は叶ったものの剣が壊れ自身の弱さを知った蒼士だった。
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