第6話 情報収集?
「影縛り!」
「グギャッ……!?」
1体のゴブリンの動きを自身の影を操作して体を縛り拘束する蒼士。
「グギャギャ!」
ゴブリンマジシャンが火の玉を放つ。しかしそれには魔力感知によって見ずとも察していた蒼士。
「魔力壁!」
無属魔術の魔力壁によって火の玉は防げた。しかし1体のゴブリンが剣を蒼士に振りかぶる。
「グギャっ……!」
「剛力!ハア!」
バキっ!ザン!
力を増幅させて剣ごと1体のゴブリンを真っ二つに。しかし蒼士は意識をそのゴブリンに割いていたため、ゴブリンアサシンの感知が遅れた。
「しまっ……!?」
「グギャ」
寸前で危険感知が発動し身をよじることで肩に負傷はしたものの致命傷は回避。
「くっ……!鎌風!」
剣を振り飛ぶ斬撃のように斬る風を放つ。それによって近くにいたゴブリンアサシンを討伐。
「回復!解毒!」
1番厄介なゴブリンアサシを討伐し残ったのは4体のゴブリン。
「治療師は本当にありがたいな」
ゴブリンアサシンが消えた結果だいぶ楽になった蒼士。魔術も使用しながら残り4体のゴブリンも討伐した。
〈下級:ゴブリン×3、中級:ゴブリンアサシン・ゴブリンマジシャン・ゴブリンリーダーの討伐を確認。SP:303を獲得しました〉
こうして蒼士は傷を負いつつもなんとかゴブリンの群れの討伐に成功した。
「ふう……なんとか勝ててよかった……あとは魔石を取り出すだけか。 一番苦痛かも……」
最初こそ死体を斬るという行為に抵抗があったものの今更だと思い出し、そこからは比較的楽にゴブリンから魔石を取り出した。
「へ~……これが魔石か……」
魔石は紫色をした丸い石であり下級と中級では大きさが違った。
「これで依頼達成っと」
6つの魔石を持ち冒険者ギルドへと帰る。
「依頼達成しました」
「かしこまりました。まずはギルドカードの提出をお願いいたします。魔石などほかに換金したいものがあればこちらにお願いします」
ギルドカードでスタッフが依頼内容を確認。
「フジミネさんですね。依頼内容はゴブリンの討伐とありますが……これって中級も混ざってます?」
「はい。なんか群れでいたのでまとめて倒しました」
「そうなんですね。では倒した魔物の名前などはわかりますか?」
「ええっと確か……ゴブリンマジシャンとゴブリンアサシンとゴブリンリーダーだったような?」
記憶を頼りにそう報告すると最後のゴブリンリーダーの部分で顔が険しくなるスタッフ。
「……ゴブリンリーダー……これって……。 少々お待ちください」
そう言って魔石をもって奥に行く。
「なんかまずかったか?まさか中級のゴブリンは倒したらダメとかないよな?ストーン級だからダメとか?」
少しの不安を抱えながらスタッフを待っていると数分で帰ってきた。
「解析が完了いたしました。フジミネさんの言葉通りの魔物の魔石でした。それではこちらが報酬となります」
そこには大銅貨3枚・銅貨8枚で合計3.600ゼニーがあった。
「(この世界で初めての給料だ。なに買おうかな?)」
蒼士が内心でお金の使い道を考えていた時にスタッフが険しい表情で蒼士に質問をした。
「フジミネさんはどこでそのゴブリンの群れを確認しましたか?」
「どこって……教えてもらった森に普通にいましたよ?入ってすぐに」
「……そうですか……貴重なご意見ありがとございます」
なぜか感謝された蒼士。理由は不明ながらも後ろに列ができているためにとりあえず移動。
「そういえばお金の使い道よりも魔物の情報とか知りたいかも。どっかに図書館とかないのかな?」
蒼士は魔物については何も知らない状態。討伐して初めて名前を知る。ゆえに軽く勉強したいと感じていた。
「魔物の勉強ですか?」
蒼士は歩いているギルドスタッフに聞いてみた。
「でしたら冒険者ギルドの2階に図書室がございますのでご自由にご使用ください」
「ありがとうございます」
というわけで蒼士はそこで魔物についての勉強を開始。
「まさかこの年で勉強をしようと思うとは。まあ本を読むだけなんだけど」
そうして夜になるまで数時間、蒼士は魔物についてやサバイバルの基本だったりこの世界についての本も読んで基礎的な知識を手に入れた。
「情報って偉大だな。この世界の種族も判明したし。 しばらくは情報収集とかしてみてもいいかもな」
結局その日の夜は格安のほかの冒険者もいる大部屋で寝ることになった。
「ぐごおおおおお!!!」
「ばああああああ!!!」
鼓膜を破壊しにくる大きないびきが2つ。睡眠妨害を受けて蒼士はなかなか寝付けなかった。
「(さっさとお金を貯めて個室で寝たい)」
その外れの大部屋ではその2人以外はみんなが寝不足となった。
/////
翌日となり今度は薬草の採取依頼を受ける。
「結構難しいか」
結果的には10個採取した中で完璧に取れたのは0個。比較的マシだったのが最後のほうでコツを掴んできていた2個だった。
「よし!情報収集といえばここだろ!」
この世界のことをもっと知るために情報収集の重要性を自覚した蒼士。情報収集といえばの場所で思いついたのが酒場だった。
「昼から酒を飲むってのも贅沢な気がするけど……この世界の酒も気になるしな!」
酒場に入りみんなが飲んでいるビールっぽい飲み物を注文。
「はいよ。エールね」
「……ありがとうマスター……」
ハードボイルドに渋く返答して耳をそばだてる。
「おい聞いたか?またアロンバキア帝国が戦争を仕掛けたらしいぜ」
「知ってるよ。今度はシェントレーニア共和国だろ?さすがは軍事大国だよな~。世界征服でも目指してるのかね?」
「なあ?噂を耳にしたんだけどさ?絶対誰にも言うなよ?」
「言わねえよ。なんだよ噂って?」
「なんとナーチオ商会とラグナファミリアが繋がってるって話なんだよ!」
「マジかよ!?あのナーチオ商会がラグナファミリアと!?」
「バッカ!声が大きいんだよ!しーっ!しーっ!」
確かにいろいろな言葉が飛び交っているものの蒼士はそれよりもお酒に夢中であんまり聞いてなかった。
「(意外とこの世界のお酒も上手いな!エールは完全にビールだし!)おっちゃん!エールおかわり!」
こうして情報収集が自身には向かないことを理解した蒼士だった。
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