第4話 街へ
--数日後--
転生から早数日が経過。やっと蒼士は森の脱出に成功した。
「森を抜けたぞー!!」
両手を上げて大きく喜びを表現する蒼士。転生した初日は緊張・恐怖から寝ることすら出来ず川で身体や髪を洗うだけ。
「ああ……早くお風呂に入りたい……髪を洗いたい……」
蒼士はこの数日でいかに自身がお風呂が好きなのかを改めて実感した。
「それにしても……スキルツリーが……」
蒼士は中級:オークを討伐したことによりなんとSP:100を獲得した。そのSPを使用してランクⅠとなるスキルをアンロックして森の脱出速度を早めた。
「ランクⅠのスキルをアンロックするのに必要なSPが5だったから全部をアンロックしても60で済む。まだ46もあるし……意外と簡単なスキルツリーなのかなって思ってたら……」
戦士や魔法使いなどの系統の始まりはランク0でありそこから派生したスキルがランクⅠ。すでに12個あるすべてのランクⅠのスキルをアンロックした。このままランクⅡのスキルも簡単にアンロックできるのでは?と思ってたら次に必要なSPは1つなんと500だった。
「ランクⅡで必要SPが全部で6.000か……先は長そうだな……」
ちなみに蒼士が獲得したスキルは次の通り。
剛力:腕力が上がる。
疾風:速力が上がる。
身体操作:思い描く通りに動ける。
基礎魔術:火水風土の魔術を放てる。
無属魔術:魔力壁と魔力弾を繰り出せる。
魔力感知:魔力を感知しやすくなる。
気配操作:気配を察知したり遮断したりが可能。
影縛り:影を操作して対象を縛る。
危険感知:危険を直前で感知する。
回復:傷を治す。
解毒:毒を治す。
光矢:光の矢を放つ。アンデッドに効果あり。
*魔力壁は魔力で壁を作る防御用で魔力弾は魔力を銃弾のような形態にして放つ攻撃用。
「一気に増えすぎたな……ちゃんと把握していかないと……」
12個もあるランクⅠのスキルの中で蒼士が一番うれしかったのはやはり基礎魔術だった。これは最初に魔法使いをアンロックした時の残念さがあったためその振れ幅で中二病心がくすぐられた蒼士。
「ハッ!?そうか!?もしかして!?」
そこで蒼士は突如気が付く。自身の願いが叶えられるかもしれないと。
「水魔術と火魔術でお湯にしてシャワーの要領で浴びればいいのか!シャンプーとか何もないからお湯で流すだけになるけど……川の水で流すだけだった今までを思えばだいぶ快適なんじゃないのか?それに土魔術をうまく使えば簡易的なお風呂も作れるかもしれないし……よし!試してみるか!」
これが森を脱出した蒼士が初めにやったこと。街を目指すわけでもなく人を探すわけでもなくお湯で身体を流しお風呂で癒される。
中々の苦戦の蒼士。まず水魔術と火魔術の同時使用が困難を極め、できたと思ったらぬるすぎたりかと思ったらやけどするほどに熱かったり。しかし苦難困難を乗り越えて数時間をかけ空も夕焼けが見え始めてようやく今シャワーを浴びて湯船につかっている。
「ふう~……石風呂ってのもいいな……」
ゆったりとしているが本当はこんなことをしている場合ではない。日が落ちる前に街を見つけないと野宿が確定してしまうのだが久しぶりのお風呂の誘惑に蒼士は逆らえない様子。
「さすがにゆったりしすぎたか」
お風呂もそこそこに蒼士は温風で身体を乾かしながら水魔術で余分な水分をとる。そして服を着て草原を抜ける。
「風魔術と疾風で一気に抜けるか!」
ギュン!
高速で駆け抜ける草原。道らしき場所にでた蒼士は一度立ち止まる。
「どっちに進もうかな……なんも見えないし適当に動くしかないか」
右に進む向かって歩いて行こうとすると向こうから馬車がやってくるのが見えた。
「あ、初めての異世界人だ。ワンチャン乗せてってくれないかな……さすがに言葉は通じるよな?」
一抹の不安を抱きながらも目の前で止まってくれた人と交渉して荷台に乗せてくれることに。
「いやー!俺が通ってよかったな!そのまま進んでたらあんちゃんは野宿確定だったぜ!」
「道に迷ってたのでありがたいです。女性だったら幸運の女神っていうところですね」
「がっはっは!おっちゃんで悪かったな!がっはっは!」
気安い性格のおじさん曰く今向かっているのはエレクトロ王国の辺境の街。念のために異世界人ということは隠しつつのわずかな会話から少ない情報を得られた。
「(人族っていう言葉が出てたところを見るに種族は複数いることは確定。そして異世界の定番の冒険者ギルドもあると。生きていくためにもやっぱり冒険者か)」
しばらくしてエレクトロ王国の辺境の街に到着した蒼士。衛兵などもいなく街には簡単に入れた。
「それじゃあな!頑張れよ!あんちゃん!」
「乗せてもらってありがとうございます!」
おじさんとも別れを告げた蒼士は街の入り口で放心状態。獣の耳と尻尾を付けた種族や美形で耳を尖らせている種族が見え、屋台が立ち並び活気がいいザ・異世界といった様子の街に興奮が隠し切れないでいた。
「……俺は本当に……異世界に来たんだな……」
ここから富士峰蒼士の異世界冒険は幕を開ける。
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