第2話 恐怖
なぜか異世界転移をした富士峰蒼士(26歳)は自身にスキルツリーが存在することを突き止める。
/////
「とりあえず分かったことをまとめると。1.異世界転移をしたということ。2.魔物がおり危険であるということ。3.魔物を倒せばSPが手に入りスキルツリーのスキルを使用可能状態にできるということ」
ちなみに戦士をアンロックにした後にほかのスキルを触っていると魔法使い・暗殺者・治療師のほかに戦士から延びる剛力・疾風・身体操作は〈SPが足りません〉と出るだけで触れはした。しかし神闘気や自然魔法に関しては触ってもなにも反応が返ってくることはなかった。
「順番にアンロックにしていく必要があると。そして戦士の次の剛力などに必要なSPは5」
ほかに気になることで言えばやはり魔物について。
「SP5を稼ぐのにスライム5体分か。そう考えると簡単だけど……当然下級ということは中級とか上級とかもあるんだろうな~。 さっさと強くならないと命がいくつあっても足らなそうだ」
蒼士はスライムより上位の中級や上級らしき魔物に出くわさないように警戒しながら森を歩く。スキルツリーがあるからこそ気力を手にいれ地球人でいえば超人的な動きをできるようになったところで浮かれることはない。
そんな警戒しながら進んでいたのがさっそく功を奏した結果になる。
「っ!?」
蒼士は視界の先に3mはありそうな豚の顔をした魔物を発見。心は慌てながらも慎重に鬱蒼と生い茂った草木の中に隠れ観察する。
「あれってオークか?絶対にスライムと同ランクではないな」
オークは木になっている果実を手に取り食す。片手にはでかい棍棒を持っているオークは見るからに下級相当ではなかった。そのため蒼士は引き返そうと踵を返したその時・・・
パキッ!
「っ!?」
足元に落ちていた木の枝を踏んでしまい音が鳴ってしまった。叫びそうになる自身の口を押さえながらゆっくりとオークを見てみると蒼士から離れようとしていた足を止め振り返っていた。
(どうする!?どうする!?逃げるか!?あの巨体であの腹なら逃げきれそうだけど!?それともやり過ごせるのか!?)
脳内にて急激な速度で思考が巡る。悩んでいる暇はないのだが決めかねていたところに別の存在がオークへと飛び掛かっていく。
「「「グギャア!!」」」
それは緑色をした子供のような身長。まさしくゴブリンのそれだった。3体のゴブリンは片手に剣を所持してそれでオークに戦いを挑む。
「い、今のうちに」
ゴブリンの登場でなんとかオークから逃げることができた蒼士。
「ふう……とりあえず無事に逃げれてよかった……」
安堵の蒼士。しかしあのような魔物がほかにもいるのかもしれないと考えて恐怖する。
「一刻も早く強くならないと……」
蒼士はないよりマシと判断したそこそこの硬さの木の破片を手に森を歩く。するとほどなくして先ほど見たゴブリンを発見する。
「ゴブリンが1体……こっちに気づいてないし今なら奇襲ができる……」
1体のゴブリンが地面に座り果実を食べている。今ならば背後にまわり殺すことが可能なのだが踏ん切りがつかないのは二足歩行の人型というところ。
「やらなければ死ぬのはこっちだ……異世界で生きていくのに必要なことなんだ……」
自身にそう言い聞かせるも日本にて狩りなどしたことのない蒼士。頭では必要でやらなければいけないこととわかっていながらも足が動かないでいた。しかし人間というものは危機が迫ればその限りではない。
「グギャ?」
蒼士がグズグズしている間に食事を終えたゴブリンが立ち上がろうとしたときに蒼士を発見した。
「やばい!?」
「グギャア!」
目が合った蒼士は背を向けて逃げ出そうとする。しかしそんな蒼士を獲物と捕らえたゴブリンは落ちていた石を拾い投石。
「グギャ!」
ビュン!
「がっ!?」
その投石がゴブリンに背を向けていた蒼士の後頭部に当たった。
「グギャギャギャギャ!」
笑い声をあげるゴブリン。獲物を仕留めたことへの喜びなのか嘲りなのか。しかしその投石にそこまでの威力はなく地面に倒れこんだ蒼士はその一撃によってやっと腹が決まった。
「やらないとやられる……殺さないと殺される……ここはそんな世界なんだ……」
頭では魔物の恐怖を理解しているつもりでいた蒼士。しかしそれを真に本能から理解したのはこの瞬間からだったのかもしれない。
「グギャ?ギャギャ!」
立ち上がった蒼士を見て獲物が生きていると理解したゴブリンは持っている剣を振り上げながら蒼士に向かってやってくる。
「ふう……。大丈夫……冷静になれてる……」
腹が決まったからか剣を手に向かってくるゴブリンに対して冷静な気持ちで観察ができている蒼士。そんな蒼士は先ほど手に入れた気力を身体だけでなく木の破片にもまとわせて一直線にゴブリンへ駆ける。
ダン!
「はあ!」
「グギャア!」
勝負は一瞬。すれ違う両者。最初に膝をついたのは蒼士。
「うっ!?……はあはあ……。やっぱりちょっと来るな……」
そう口にする蒼士。しかし膝をついたのは傷を負ったからではない。倒れたのはゴブリンのほうだった。
バタン
〈下級:ゴブリンの討伐を確認。SP:1を獲得いたしました〉
こうして蒼士はゴブリンの討伐に成功した。蒼士が膝をついたのはスライムを除けば初めて命を奪った行為に心にダメージを負ったため。
「とりあえずスキルをアンロックしよう。できるのは魔法使いと暗殺者と治療師か」
獲得したSP:1を3つのどれに使用するかで悩む蒼士。
「魔法使いも捨てがたいけど……傷を治せるのも魅力だけど……」
オークへの恐怖やゴブリンと相対して先に発見することの大切さと気配を消して忍ぶことへの大切さを実感した蒼士が選んだのは・・・
「見つかる前に見つけたい。できれば気づかれる前に殺せたら安全だしな」
というわけで蒼士は暗殺者をアンロックした。これにより気配を読むことに長け気配を消すことが可能となった。
読んでくださりありがとうございます!
もし少しでも面白いと思ったら評価・ブックマーク・感想をしてくれるとそれが作者の描き続ける原動力となります!よろしくお願いします!




