第82話 入京Ⅲ
※ 現在執筆の時間を余り取れない為、投稿を優先して話が短くなっております。また、誤字脱字の確認も不十分です。以上、ご了承ください。
◎山城国・飯盛山城まで二里の地点 明智光秀
1563年 3月上旬
飯盛山城付近へ布陣して彼是一月近くの時が過ぎた。
この間に簡易的な砦を建設し、飯盛山城の三好を牽制しつつ、別動隊八千を石川数正殿、本多忠勝殿、蜂屋貞次殿に任せ、摂津国の芥川城方面へ侵攻し、一月で摂津国の殆どを支配下に収めた。流石は殿が自ら引き抜かれただけあって、優秀である事に間違いは無い。因みに芥川城の三好義興は軍勢が城を囲むよりも早く城を抜け、和泉国の岸和田城へ撤退しているらしい。因みに現在は我らに降った者らの兵を加え、一万五千にまで達していた。
更に、大和国の筒井順慶殿を従属させ、松永久秀が退避した事で大和国を併呑した滝川殿は大和方面より筒井勢と共に河内国の三好勢を牽制しつつ、河内国を徐々に侵食しているようだ。これで三好勢は大和方面にも兵を割かざるを得なくなり、軍勢の集結が思うように行っていない事にも繋がっているだろう。
「竹中殿、そろそろ三好勢へと仕掛けようかと思うのだが、何か案はあるか?」
「そうですね…余り軍勢の終結の邪魔をし過ぎて、飯盛山城へ籠られると厄介ですから、この辺りで仕掛ける事には賛成です。理想としては野戦にて完膚なきまでに叩き、兵の大半を離散させ、可能であれば三好長慶と実休を和泉国まで押し込めたいですね。恐らくそこまで出来れば長慶公も外交的手段に出て来るかと…。」
この竹中半兵衛と言う男、楠木家に加わってより最初の戦にて副将へと任じられただけあって、相当頭が切れる。
「よし、それでは陣立てであるが、一万五千の兵の内、本隊七千は私が率い、左翼に藤堂殿と加藤殿、右翼に酒井忠次殿と忠直殿に各々二千を率いて頂く。恐らく一里圏内に我らが踏み込むと彼方も臨戦態勢へと移行するだろう。そして彼方の方が我らより兵数の上では多い為、彼方から攻撃を仕掛けてくる可能性が高い。故に基本的には鉄砲隊を前面に押し立て、鶴翼にて迎え撃つ。そして徐々に包囲を狭め殲滅する…ただし、一部和泉方面への逃げ道は塞がないように。」
「なるほど…決死の戦にさせぬためですな。」
酒井忠次殿の言に皆は頷く。
「そうですね、窮鼠猫を噛むとも申すように、余り追い詰めすぎると手痛い竹箆返しを被る可能性があります。何事も程々が一番と言う事ですね。とは言え、兵数で言えば彼方の方が上ですから、油断など成されぬよう…。」
「それでは皆の衆、各々持ち場に戻り飯盛山城へ向け出立致そうか。」
「「「「「応!!」」」」」
気合の入った掛け声と共に、皆は持ち場へと戻って行く。この戦にて畿内の大半を手に入れ、殿へと献上させて頂くとしよう。
◎山城国・飯盛山城付近 三好実休
1563年 3月中旬
楠木勢が河内・摂津両国への侵攻を始めて一月が経過した。朽木勢は飯盛山城のおよそ二里の距離に陣取り、我らを牽制する行動を繰り返しつつ、同地に拠点となる砦を建築し、同時に摂津国への侵攻を行っている。
摂津国の芥川城は孫次郎(三好義興)が拠点としており、この動きを知った兄上が危険が伴うと考え、和泉国の岸和田城まで下がるよう指示をした。楠木の摂津攻略は調略を駆使して進められており、侵攻から二十日程度で播磨国境まで抑えられたようだ。また、摂津を降したその軍勢は滝山城へと入城し、西からの兵の侵入を警戒しているようだ。
「更に大和国を平らげた楠木の滝川勢と従属した筒井勢が河内国へ侵食して来ております。また…。」
「まだあるのか?!」
厳しい報告が続くため思わず口を吐いて出てしまった。
「はっ、実は楠木の動きに呼応するように、紀伊国より畠山高政が軍勢を率いて和泉国へ進軍して来ております。」
「はぁぁぁ…兄上。」
「高政め…仕方ない、高政へは大和より戻った霜台(松永久秀)を充てる事にしよう。戦力が下がるが仕方あるまい。」
「河内方面はどうする?」
「こちらは叔父上(三好長逸)にお願いしよう。それから播磨と丹波の所領についてだが、守りに徹する様に連絡せよ。最悪丹波は孤立しておる故、放棄しても構わん。」
「それではその様に蓬雲軒(内藤宗勝)と冬康(安宅冬康)へ伝えましょう。」
そうして楠木を迎え撃つ準備をして三日後、楠木勢がついに動き始める。楠木勢は摂津へ遠征している軍勢が戻っていないので総勢一万五千余、対する我が軍は各地へ防衛の為に兵を割いたとは言え、一万八千余りの兵数は残っておる。
「申し上げます。楠木の軍勢は瞬く間に岡山城を落とし、茶臼山の西半里の地点へ布陣しております。」
「兄上。」
「うむ、飯盛山城と茶臼山砦へ夫々兵千を残し、全軍で楠木勢へ対処する。全軍を魚鱗の陣形に編成し、進軍を開始せよ。」
それから我が軍勢と楠木の軍勢は十町の距離を開けて対峙し、楠木は予想通り鶴翼にて我らを迎え撃つ構えだ。
そこから我らが先陣を押し出し、楠木へと攻勢を仕掛ける。しかし、楠木は大量の鉄砲にて我らの先陣を迎え撃ち、弾丸を雨霰の如く浴びせて来る。我らも何も対策をしていない訳では無く、竹を束ねて盾のようにして玉を防いではいるが、楠木の連続して大量の弾丸を浴びせ掛けて来る物量の前では成す術もなく、徐々に被害が拡大して行った。
「このままでは被害が拡大するばかりで埒が明かんな。何か案はあるか?」
「そうですな、敵本陣後方に少数の兵を密かに送り、攻勢と離脱を繰り返して敵を混乱させる。」
「実休、頼まれてくれるか?」
「仕方ありませんな。それでは兄上、行って参ります。」
楠木の鉄砲隊に阻まれ、一向に取り付く事が出来ずにいる我が軍に痺れを切らした兄上は、儂に楠木勢の後方へ回り込んでの攪乱を命じて来た。儂は騎馬兵二千を率いて茶臼山方面から迂回する様に兵を進め、楠木の本隊の後方十町の距離まで静かに兵を進める。
「…皆の者、鋒矢の陣にて一気に突貫する。儂に続け!」
「「「「「応!!」」」」」
「行けぇいぃぃぃっ!!」
儂に続いて皆が鋒矢を組んで本隊目掛けて突貫する。不意を突かれた楠木の本陣は大騒ぎとなり、我らは敵陣で兵を屠りつつ攻勢と離脱を繰り返し、更に敵兵を血祭りに上げて行く。そして四度目の突貫を繰り出そうとした時、左側から大量の銃撃を浴びせ掛けられた。
「なにぃ?!」
その銃撃を浴びせられた方角を見やると、左翼の兵と思われる者らが次の銃撃を繰り出そうとしていた。
「まっ不味い?!」
その瞬間、次の銃撃が放たれ浮足立っていた我らの馬群に向けてさらに銃撃が放たれた。
「っくぅ!!」
その瞬間、乗っていた馬に銃弾が命中し、儂の身体は馬と共に前のめりに吹っ飛び、衝撃を感じた瞬間目の前が暗くなった。




