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白犬とハチワレ姫の学園日和~揺れる尻尾と君のとなり~  作者: アル治


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第9話  初詣と、まだ言えない願い

いつも読んでいただきありがとうございます。

冷たい空気。

静かな夜に、白い息が溶けていく。

「人多いですねぇ…」

エリザベス


「ひぃぃぃぃ…押されますぅぅ…!」

サシャ

すでに限界

「離れるなよ」

アルトアイゼンが手を引く。

神社の境内は、賑やかでありながらどこか落ち着いた空気に包まれていた。

「よし、並ぶか」

ブブ

「長いなぁ」

大将

「良先輩!」

キルキルが元気よく手を振る。

「今年もよろしくお願いします!」


「おう!よろしく」


「りょ〜♡」

メイがまた腕を絡める。

「一緒にお願いしよ?」


「近いって!」


「メイ〜」

「年始だから落ち着いて~」

たんたんが静かに引き離す。


「いつも邪魔しないでよ!」


少し離れた場所。

ちょぼは静かに空を見上げていた。

「……寒い」


「またそれか」

隣に、良。


「文句?」


「いや別に」

少しの沈黙。

でも、不思議と気まずくはない。

順番が来る。

「ちゃんとお願いしろよ」

「言われなくてもする」

2人並んで、手を合わせる。

(今年も、みんなと——)

良は目を閉じる。

(……あと)

少しだけ、言葉を止める。

(もう少し、あいつの隣にいられますように)

目を開ける。

隣のちょぼも、まだ目を閉じている。

(……)

やがて、ちょぼが目を開ける。


「何お願いしたの?」

良が軽く聞く。


「言わない」


「なんでだよ」


「言ったら叶わない」


「それ迷信だろ」


「……でも」

少しだけ間があって——

「叶えたいから」

その言葉に、良は少しだけ黙る。


「そっか」

それ以上は、聞かなかった。

その後——

おみくじコーナー。

「引きます!」

キルキル

「やめとけ、絶対騒ぐ」

大将


引く

「大吉です!!!」


大騒ぎ

「うるせぇ!」


「私は…小吉」

ラン


「……普通」

ちょぼ


「普通って吉?」


「……秘密」

隠す


「見せろよ」


「嫌」

即拒否

その様子を、ゆうちゃんが少し離れて見ていた。

「……いいねぇ」

小さく笑う。

帰り道。

少しずつ人が減っていく。

「今年もよろしくー!」

ラン

「また学校でな!」

ブブ

それぞれが別れていく。

気づけば——

良とちょぼ、2人だけ。

静かな道。

足音だけが響く。

「……さっき」

ちょぼがぽつり。


「ん?」


「なんで聞かなかったの?」


「なにが?」


「お願い」

少しの間。


「……言いたくなさそうだったし」


「……そう」

また、少し歩く。

「……あんたは?」


「俺?」


「何お願いしたの」

良は少しだけ考えて——

「秘密」


「なんで」


「言ったら叶わないんだろ?」


「……それ私の」

少しだけ、ちょぼが笑う。

「……ずるい」


「だろ?」

また少し、距離が近くなる。

言葉は少ない。

でも——

前よりも、ずっと自然だった。

冬の夜。

冷たい空気の中で、

少しだけあたたかい距離。

まだ言えない気持ち。

でも、確かにそこにあるもの。

それはきっと——

もうすぐ、形になる???

9話も読んでいただきありがとうございます。

ラストまでよろしくお願い致します。

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