結果報告
「では…私の両親はどうなったんですか?」
雪乃さんからここ数日、現世で起こった出来事の説明を受け、混乱する頭で初めに尋ねた質問はそれだった。
「聞かないほうがいいな。今まで散々他人を踏みつけてきた奴らだ。その報いを受けたんだよ」
「そう…ですか…」
両親の事は好きではなかったし、殴られる等ひどい扱いを受けてはきたけど、そう聞いてしまうとどう思ったらいいのか。感情の行き場に困る…。
東雲という大きな会社内からも相当数の逮捕者が出たらしい。
そのせいで業種の縮小や、潰れたり手放した子会社も少なくないそう。
そういった大改革をやってのけ、東雲の跡を継いだのが兄様だと教えてもらった。
風通しの良くなった優良企業としてやり直していくんだとか。
さすが兄様です…。きっとすぐにまた大企業にしてしまう気がします。
「ここからが瑠璃に関わる大切な話だからよくきけよ」
「は、はい!」
「瑠璃、お前は正式に九城瑠璃として九城家当主になる」
「はい…」
「東雲家とは完全に縁を切る形になるが…」
「兄様と縁を切るんですか…?」
「形としてはな。 しばらくは難しいが、落ち着けば会いたかったら会えるし、血を分けた兄なのは変わらんだろう?」
よかった…。家族で唯一優しかった兄様と二度と会えないのだけは悲しいから…。
あ…。完全に忘れてた。
「姉はどうなりましたか?」
「依理か…。あいつからもひどい扱いを受けたんだろう?」
「そうですけど…」
「…あいつも逮捕されたぞ。兄も罪状を聞いて保釈金を払うつもりがなくなったようだから、当分は出てこれんだろうな…」
「そう…ですか」
兄様が決めたのなら口を出すつもりはないし、姉には会いたくもないけど…。それでもやっぱり複雑…。
「話を続けるぞ」
「おねがいします…」
「早乙女との縁談は形の上では残るからそこは諦めろ。家のしがらみというやつだ。どちらの家としても今は手を取り合うのが得策だからな。瑠璃に婚姻を無理強いするような事はないからそこは安心していい」
「大丈夫なんですか…それ…」
「まぁ、紗千が口説きに来るくらいのもんだろ」
一番困るのですが…。
話をまとめると…。
東雲の方は悪さをしていた人達が両親を含め一掃されて、海外から戻った兄様が跡を継いだ。
私は東雲とは縁を切り、正式に九城瑠璃となって十六の誕生日には九城家当主となる。
当主として今後特にやる事が決められている訳ではないそうだけど、宗家継承の儀式だけはしっかりと出なくてはいけない。
この儀式は格式のある人が沢山集まるそうだけど、私自身は御簾の奥に隠されてて姿が晒されることはないんだって。本名も伏せられるんだとか。
理由としては、顔が知れると私を利用しようと近づくものが少なからず現れるからだそう。
わかりやすい権力の象徴になるんだもんね…。実際に東雲は”九城の名前”を利用するためにお母様に近づいたんだから。
早乙女家とは友好関係を維持するために縁談という表向きのものは残ったまま…私が結婚できる年齢になるまでに両家がいい感じに纏めると。
別に私が無理矢理結婚させられるとか、そういうわけではないから安心していいらしい。
「ここまでで何かわからないことはないか?」
「むしろ何もわかりませんよ…。私はこちらに数カ月ほどいましたけど、現世では数日なんですよね?短期間にとんでもない事が起き過ぎです」
「元々裏では話が進んでたんだ。それが一気に表沙汰になったつーだけだ」
誰がどうやって?とか、何がどうしてそうなった?とか一切何もわからないけど、そこは聞いても絶対に話してくれなかった。
「もう数日は後始末でごたつくから、瑠璃はこっちでおとなしくしてろよ」
「何か私にもできることはありませんか…」
「じゃあ一つだけオレから頼みがある」
「言ってください! 私にできる事なら何でもしますから」
「その…な…?オレも子供がほしいんだ」
「私という娘がありながら…?」
「めんどくさい女みたいな言い方するな! 瑠璃の弟か妹が欲しいんだよ…」
「わかりました。次こちらへ来る時にお酒を持ってきてください。効果のあるものにしてお返ししますから」
「ほんとか! ありがとう瑠璃!」
弟か妹か…。それも楽しみだな。きっと雪乃さんに似た………。
想像するのはやめよう。ヤンキーな子供しか想像できなかった。そして私が泣かされてる未来しか見えない…。
雪乃さんは”また顔を出すからな“といって奈子さんの家へ向かった。
お二人の関係性はわからないけど、仲はいいんだろうなと思う。言いたいことを言い合えるようなね。
ちょっと羨ましい。私って友達も少ないからなぁ…。
優子と麻衣以外だと……奈子さんはお姉さんだし、源さんはおっきなおじさんで、雪乃さんはお母さんでしょ。
じゃあオーナー?オーナーって私から見てどんな人だろう。絶対に友達ではないし、雪乃さんの恋人だけどお父さん…ではない! これも絶対に違う。
オーナーはオーナーだね。カフェにいるちょっと変なおじさん。
子狐丸は恋人だから友達ではないし…。街の人も友達っていうのとは違うし…。
「瑠璃は何を難しい顔してるの?」
「私って友達少ないなーと思ってへこんでただけ」
「急に何を言ってるの?」
「気にしなくていいから…」
頭の中で色々と飛躍してしまって、元は何を考えてたのかもわかんなくなってきた。




