6月14日 ブルマ演習
ブルマ演習、これはドールロイドに生まれ変わった者たちが最初に受ける試練。
ブルマ、服飾の歴史において機動性を語るならば右に出るものはいないと聞く。その大胆なデザインは解放の象徴である。それは権力からの解放、意識の上で女の社会進出を促した旗手であり、また男にとっては性欲を解放する鍵であった。
しかし無能な弱者から生きる意味を求めて社会奉仕奴隷へと成り下がったドールロイドにとって、ブルマによる解放は自尊心を破壊して隷属させる第一歩となる。
ブルマ演習、参加者たちは今までのほぼ全身が隠れる純白のドレスから、パンツに近い格好へと眠って間に服装を変えられてしまう。しかし受け入れねばならない。三十路を迎えて独身だった時点で、このような未来は予想できていた。
「次2539-622番。前へ」番号は体に刻まらているバーコードで確認できる。いよいよ自分の番がきた。逃げるわけにはいかない。いや、どのみち逃れることはできないのだ。ブルマ化すらできぬ無能は、体を変えるくらいでは救いようのない精神の持ち主であると判断されてしまう。
そうなると保護観察期間の中で、徐々に意識を変換されて気付かないうちに、やがては別人へと変えられてしまうのだ。
今の時代、下手に自我を残していては、より厳しい処分を受けることになる。覚悟を決めて目を閉じる。通されたカプセルの中にガスが充満して意識が遠のいていくのがわかる。
起きたらブルマだ。眠っている間には様々な微修正が行われる、きっと声も今より高くなっているに違いない。ドールロイドとしての新たな自分が始まろうとしている。




