↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
141/146

【エヴァに乗れ 乗らねば帰れ レイを呼べ】第9話 異世界転生大学生 ~チートスキルで無双~

 俺たちは死んだ。死に方は忘れた。しかし死んだと思ったらひげを生やした偉そうなおじさんとちょっと吊り目のいじわるそうなお姫様がスタンバってる間に召還されていたのである。しかも陣内さんと良崎とマスカラスマンもいたので四人一度に死んだようだ。俺らはケンシロウから水でも奪おうとしたのか?


「オーホッホ! よく来たわね、召還者たち! ここは異世界よ。あなたたちは死に、ここに英雄として召喚されたの! ゴミのようなあなたたちも効率よくリサイクルよ」


「こっ、こぉらぁ姫、めっ! すまんな。姫は少々悪徳な感じあっちゃったりするように思えるでしょ?」


 福田雄一作品でツッコミ役をやっていたら全部の映画、ドラマで同じ演技しか出来なくなったムロツヨシみたいな間で王様が姫に内輪ネタっぽいツッコミ。


「でっさぁ……悪いけど魔王倒しに行ってくれないか?」


「嫌だ」


「即決の嫌だ!? でもこれ……わかるでしょ? 断ったら同じセリフが来るパターンのヤツだから。でっさぁ……悪いけど魔王倒しに行ってくれないか?」


「嫌だって言ってんだろ」


「ハイッ、ってことで武器を選んだらチュートリアルねぇ」


「おいコラァ。今俺たちに武器渡すとまずはお前が死ぬぞ、ガキが!」


 陣内さん、姫(推定16歳)にメンチ。怖いぞ。アラサーのメンチは怖いぞ。しかも王様より姫の方が弱そうだと見抜いてから確実に勝てる方へのメンチだ。


「褒美あげるからぁ。それにここは中世ヨーロッパと同じくらいの文明レベルだから楽勝でしょう? スマホも使えるようにしとくからぁ」


「なんで異世界にヨーロッパの概念があるんだ?」


「さぁ、武器を選ぼう!」


①エクスカリバー

攻撃力:9999 HP:+9999


②フツノミタマ

攻撃力:4999 HP:+4999 MP:4999


③ポックリマシン

攻撃力:1


「そんなやべぇ武器をただでくれるほどの国が困ってんだもん。普通の大学生にどうにかできるわけないじゃん。……じゃあ俺がエクスカリバーで、リーベルトがフツノミタマな」


「ということは俺がポックリマシンか!?」


「ポックリマシンを装備して魔物と戦うマスカラスマン……。ハァハァ。お、よかったなマスカラスマン。ポックリマシンにも『777』って書いてあるぞ。HPが上がるんじゃないか?」


 正直死んでもまたザオリク的なもので生き返れる気がするのでモノボケで死ぬ役はマスカラスマンに決まった。武器が決まったところでステータス的な窓がウィンして現状が可視化され、具現化したエクスカリバー、フツノミタマ、ポックリマシンがそれぞれの前で格調高く浮遊する。


「装備するとそれぞれの武器に憑いている精霊が飛び出して、固有アビリティの付与と説明を行ってくれるぞい」


 陣内さんがエクスカリバーを握るとシュピーン! ヴェールに包まれた淑やかな少女の姿の精霊が現れた。


「よくわたしを手に取ってくれましたマスター。わたしはエクスカリバーの精霊。新たな力を授けます」


「ほう」


 バキッ! と陣内さんのHPバーが爆発し、ウィンドウを飛び出していく。そしてアビリティに『無敵』の表示が。


「これにてマスターのHPは1億、そしてオート回復が付きます」


「それ無敵じゃね?」


「そしてこの世界で与えられるダメージは敵も味方も限界は9999、マスターは死なない確率が100パーセント」


「ああ、よろしくなエクスカリバー!!」


 エクスカリバーを握ってポージング。尻尾振るの早いな。


「じゃあわたしも」


 良崎がフツノミタマを握るとボワッ。宝玉のついた杖を握った厳かな老人の姿の精霊が出現する。


「よくぞワシを選んだな、我が主。お主に無敵の力を授ける」


 アビリティ:『天剣』

 良崎のHPバーとMPバーが爆砕し、両方の数値が1億に。


「お主に無尽蔵の生命力と魔力を与える。さらにこの瞬間、お主は全ての魔法を使えるようになった。ステータス欄をチェックするがよい」


「ありがたいことですよぉ」


 フツノミタマを握ってポージング。


「頼むぞ、ポックリマシン」


 そしてマスカラスマンもポックリマシンの柄を握って念を込める。


「……?」


「こっちだ」


 マスカラスマンの背後に現れた精霊は……。丸いサングラスにプリンの茶髪、ユニクロの服をなんとかかっこよく着こなそうと崩している若者であり、土曜の夜になると東京都‐‐区‐‐の地下道でスケボーに乗っている。


「なんだお前」


「うっせぇな、勉強すりゃいいんだろ!? いいんだよ、MARCHまでなら3か月勉強すれば余裕。センター試験までまだあと11か月ある」


 クズじゃねぇかこの精霊! この精霊、よく開店前のパチンコ屋に並んでる地元の勉強しない浪人生じゃねぇか! MARCHも3か月で余裕? あと8か月も遊ぶのかよ!


「うおおおポックリマシンの精霊よ! 俺に何か力はないのか」


「ああ、とりあえずこれをやるわ」


 チャリーン。

 マスカラスマン……というか陣内パーティの所持金が果てしなく上昇していく。最終的な数値は9999万9999! しかしだ! RPGにおいて所持金はパーティメンバー個人のものではなくパーティ共有のものだ! ポックリマシンの精霊がくれた莫大な金も、陣内さん、良崎と共有されるものなのである。


「サンキューマスカラスマン」


「ほら、わたしたちは無敵ですけどマスカラスマンはそうじゃないんでおいしい薬草とか名産品を食べながら旅しましょうねぇ。るるぶトラベルはないですか」


 まぁ……。親の金でパチを打つ勉強しない浪人生であるポックリマシンの精霊よりはマシだが、自分は何一つ苦戦しない能力を手にしながら後輩の金でこれから先の旅を豪遊するであろう陣内さんなら……。


「おっとっと。城に魔物が入り込んだ! 幸いにも最も弱い種類の魔物のようだ。よし、初戦闘にはちょうどいいぞ」


 チュートリアルか。

 風景にビシッ、バァーンとひびが入り、割れ切ると目の前にすっごい雑なオバケが3体!


「うっしマスカラスマン! 新しいアビリティを解放すっぞ!」


「よし! 行くぞポックリマシンの精霊!」


 アビリティ解放!

 “開店ダッシュ”!


「“開店ダッシュ”?」


「つまりマスカラスマン、おめぇが先制攻撃できるってこった!」


「よし、いいぞポックリマシン! うおおおお!」


「待てマスカラスマン!」


「なんだ? まだあるのかポックリマシンの精霊よ!」


「ああ、俺は……。俺(ポックリマシン)は剣じゃねぇんだ。まずは所持金をスリットにインだ」


「所持金?」


 所持金はマスカラスマンの持ってる巾着袋に収納されているが内部は無限に近い広さのようで手を突っ込んでから引き抜くとコインがドッサリだ!


「まずは3枚でいい」


「おいポックリマシン。敵が攻めてきてるんだぞ」


「安心しろ。コマンドを入力するまでは時間に動きがない」


 ピクッ。それで反応するのは陣内さん。背景の端っこで生意気お姫様も停止しているのを見ると、さっきまでの姫のお転婆っぷりが本気で気に障っていたのかオブジェクトの本などを姫の周りにレンガのように積んでチェスのルークみたいな高さ約2メートルほどの塔にして閉じ込めた後、塔の真上から羽ペンやインクを投げ込んでうっぷんを晴らす。


 ビィン、ビィン、ビィン! 一方でマスカラスマンはコインをイン!


「これで“一回分”だ。さあ行くぜマスカラスマン! レバーを一回下ろせ!」


「これでいいんだな!?」


 『777』の数字の横についていたレバーを下ろすと!

 ガチャンガチャンドゥーンとド派手な音で『777』が縦に回転する。


「そして“開店ダッシュ”の効果はまだ続いているんだぜ! いい台を引いたな。“設定6”だ。“リーチ”!」


 ギゴォーンギゴォーンギゴォーン!


「新たなアビリティが解放されたぜ! “目押し”! さぁボタンをプッシュだ」


「おう」


「よぉーし! 行くぜ! “ボーナス確定”!」


 マスカラスマンが適当にボタンを押すだけで数字が揃い、オバケの頭上から巨大なコインが降り注ぐ!


「グゴォ!?」


 9999! 9999! 9999! 9999! 9999! 9999! 9999!

 限界ダメージの乱れ打ちだ! 当然、チュートリアルのオバケが耐えられるはずもなくコインの流星群に呑まれて消滅する。


「ハッハァ、万枚出たぜ……」


 恍惚の表情のポックリマシンの精霊。ポックリマシン……。それは確かに剣ではなかった。これは、パチスロ!


「ポックリマシンの精霊よ、今のがお前の能力か?」


「ああ。ボーナスが確定すると1/2で即死する追加効果“ポックリ”が付与され、そのポックリ判定のある攻撃が9999の7乗回分行われる。しかもその攻撃でも最低1のダメージが確定しているから9999の7乗回のポックリ判定と最低ダメージだ」


 むなしいぐらい強いな。エクスカリバーとかフツノミタマとかがオモチャに見える強さだこのパチスロ。


「ただし毎回金を消費しなければならない。あと今回はチュートリアルだからボーナス確定だったが次回からはそうはいかねぇ。そこだけは注意してくれ」


「そうか」


「ただしモンスターを倒すと金が手に入る」


「永久機関か? つまりポックリマシンの抽選を外してロスする金額以上をモンスターを倒して稼げばいいんだろう? ポックリマシンなら楽勝じゃないか」


 マスカラスマン……。既に危険なギャンブル思考……。


「それじゃあ旅に出てみるか」


 城下町をスルーして広い荒野へ。ランダムエンカウントのようで、目の前にはまたオバケが!


「ギッ!」


 オバケA のこうげき!

 マスカラスマンに550のダメージ!

 マスカラスマン 450/1000


「おい痛いな」


「あ、そういえばマスカラスマン。わたしは全魔法使えるらしいんですよ」


「じゃあ頼む。半分以上食らってしまったから」


「へぇい。じゃあ“ナオル”!」


 マスカラスマン 450/1000→1000/1000


「あ、しかもわたしのMPは自動回復ですね。それに死んでも生き返れる“ヨミガエリ”も使えるみたいですし、マスカラスマンが死ぬことはあってもわたしと陣内さんは死ぬことはないし、わたしがこの呪文を使えばマスカラスマンも生き返るんでどうあってもゲームオーバーはないですね」


「だといいがな」


 オバケB のこうげき!

 アンナに600のダメージ!

 アンナ 99,999,400/100,000,000


「いったぁー! 痛い痛い痛い!」


「どうしたリーベルト!?」


「おかしいおかしい、痛みが終わらない! えええ!? バ、バカなー! わたしはHP100,000,000もあるんですよ!?」


 良崎のHPゲージの減りが異常に遅い。おそらくマスカラスマンの1000から550減るのは一瞬だったんだろうが良崎は100,000,000もあるので処理に時間がかかっているうえに、ダメージ自動回復と被ダメージが打ち消しあいながら減っているので鋭い痛みがゆっくりと消えずに続いているのだ。


「痛い痛い痛い痛すぎて意味が分かんないですよグエエエ!! 痛い痛い痛い!」


 まだ600の被ダメージの処理が終わらない。


「おい俺もああなるのか!?」


「そうだろうな。お前もHP100,000,000で自動回復付きだろう?」


「回せ! さっさとスロットを回せマスカラスマン!」


「落ち着け。落ち着いてエクスカリバーで攻撃しろ。金は有限だ。強敵に備えて金は出来るだけ温存するぞ。王様曰くオバケは一番弱いモンスターだ。堅実にエクスカリバーで攻撃しろ」


「うぉおおお!」


 ズバーン!

 陣内さんのエクスカリバーによる全体攻撃でオバケが全て消滅。

 経験値:3

 アイテム:薬草×3

 お金:20000円手に入れた


「オバケ3体で20000円ーッ!? ポックリマシンって一回回すのに3円だろ!? 毎回ポックリマシンでいいじゃねぇか。おいマスカラスマン。俺たちは雑魚の攻撃じゃ死なねぇが、メチャクチャ痛いということがわかった。今後はお前が“開店ダッシュ”からのポックリマシンで速攻してくれ」


 そうしてポックリマシンによる無双でメダルの雨を降らせ、最後は所持金を5000万以上残したまま、エクスカリバー、フツノミタマ、ポックリマシンの3連撃で魔王まで倒した。


「さぁ、元の世界に戻るぞ」


「ああ、長いようで短い旅だったな。帰ったら何をする?」


「パチスロかなぁ。この世界では、俺はポックリマシンの精霊が授けてくれた金でスロットを回した。他人の金で贅沢をするのは大人の最大の楽しみだと本で読んだ」


「あんまり調子に乗りすぎるなよマスカラスマン。ギャンブルを甘く見ると痛い目見るからな」


「もちろんだ。パチスロは遊びでもあるがギャンブルでもある。節度を持った加減で生活を破綻させないよう適度な付き合い方をし、負けても決してパチスロを恨まず勝ってもいい気になりすぎない。そういったモラルが必要になってくる。決して甘い気持ちで、今日は勝てる、勝った分で負けを打ち消すなどと考えず、あくまで! 遊びである、ということを忘れずにやってこようと思う。ギャンブルによる破綻は、決して他人事ではない! そういう意識を持たねばならない」


「ああ。もちろん青少年の犯罪にも反対だ!」


「イヤホンをしたまま自転車走行にももちろん警鐘を鳴らさなければなりませんね!」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
小説家になろうSNSシェアツール
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。