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【エヴァに乗れ 乗らねば帰れ レイを呼べ】第10話 負けるな! ボクシング!

 寒いのに部屋をバァーンと開いて見覚えのある顔が声優同好会である。

 声優同好会は声優が好きだが声優にはなれず、さらに面白いことも出来ないため「『演劇サークル』との対決シリーズ」と銘打って様々な挑戦をしてくるがそれも大体面白くない。声優同好会は演劇サークルより人数は多いものの一人一人は初期設定の終わってないルンバより使えない。それだけつまらない声優同好会の紹介をここまで数百字読んだのも大変だったろう。さぁ、フォートナイトのレベル上げ作業に戻っていいぞ。


「ということで今回はボクシングだ!」


 そういうことらしい。そういうことでこっちの代表者は陣内さんである。181cm、体重は60㎏代後半。階級で言えばウエルター級だ。

 ボクサーの資格はないのでヘッドギアは丁重、慎重、ビッタリと装着して安全確保。陣内さんも一週間でしっかりと仕上げてきた。


「声優同好会~~~ッ! 代表! マッコウ鯨井!」


「マッコウ! マッコウ! マッコウ!」


 しかしシークレットにされてきた声優同好会の代表はヘビー級は確定の2m近い巨漢だったのである。30㎏近い体格差があるので? だが陣内さんはメチャクチャ強い。


「……選手変更!」


 突如声優同会サイドから選手変更宣言。さすがにこの体格差はマズイと察したか。代わりに出てきたのは、ゴリラ容姿の見た目だけど繊細なオタクということでゴリラ容姿をいじられることでサークルに収まるゴリラ、羽場くんである。高校時代は野球部の四番キャッチャーとして鳴らしたそうだがアニメの見過ぎで体がしぼみ、大体ミドル級くらいだろう。これならまぁいつも通り、陣内さんによる虐殺になるだろう。


 セコンドには側近中の側近小林さん、現役格闘家のマスカラスマン、格闘技好きの良崎がついた。そして今ゴング!


「行けェ陣内さん!」


「負けるな負けるな陣内さん!」


「馬鹿野郎! 逃げるな逃げるな馬鹿野郎! 陣内さんの方が強いんだ!」


「陣内さん! ワセリンの準備があります!」


「救急車もすぐ呼べば来ますよ!」


「安心しろ! やばいと思ったらすぐにタオルを投げてやる!」


「こう……顔面が急所ですから! 痛くても耐えてください!」


「ダウンしたら9秒までは休むんだぞ!」


「2回まではノックダウン出来ますからね!」


 カンカンカーン。

 第1ラウンド終了。無傷で陣内さんがコーナーに戻る。


「よくやった! よくやりましたよ陣内さん! 抱きしめてやりたいなぁ僕ァ!」


「……俺、優勢だったよな?」


「もちろんですよ!」


「なんていうか、お前らのアドバイスというか、激励が全部負けてる側にかけられるものなんだよなぁ。負けてる側の体調を慮ったりダウンしたらどうしたらいいかのアドバイスばっかりでなんか俺が劣勢になってる空気出してねぇか?」


「……」


「今のところ俺はかなり打ち込んでるし、それどころかまだ一発も食らってねぇから。忘れるな。俺が優勢だから」


 第2ラウンド!


「ぶっ飛ばせ陣内さん!」


「腎臓(キドニー)! キドニーは痛いですよ!」


「肝臓(レバー)も痛いですよ!」


「安心してください! 尻(ボンジリ)を打たれることはありませんしボンジリなら打たれても大したダメージになりません!」


「しかしうっかり痛打を食らうと心臓(ハツ)が止まります!」


「くそう……。ヤキトリが食いたくなってきたな。おい陣内! 残念会はとしまえんの一輝でいいか!? それとも大泉学園の竹串にするか? はたまた江古田の飛車角か!?」


「マスカラスマン、竹串は閉店しました」


「何ィ!? 竹串が閉店だと!?」


「二代目が後を継がなかったんで」


「しょうがない。陣内! 一輝でいいか!? 陣内? 陣内! お前のことだぞ!」


「でも一輝のバイトはみんないいやつらですよ。負けたとあっちゃあビールのいっぱいくらいは奢りにしてくれるかもしれませんね。……」


「お前、今最低なこと言おうとしたろう。案ずるなリーベルト! きっと一輝のバイトは勝ったら祝勝会で多少奢ってくれるだろう」


 カンカンカーン!

 第2ラウンド終了。


「お前ら、そんなに焼き鳥が食いたいか?」


「逆に聞きたいけど陣内さんは焼き鳥嫌いですか?」


「ボケがぁーッ! 嫌味だろうが! 焼き鳥の話するんじゃあねぇ! しかもやっぱり俺が負ける前提で話してるし! でも一輝で頼む!」


 第3ラウンド!


「負けるな負けるな陣内さん!」


「立て! 立てェー!」


「立ち上がったら今度は水原さんのお膝枕でおねんねですよ!」


「ちゃんと保険に入ってれば水原さんもガッポガッポですよ!」


「ヘッドギアはちゃんと試してます! オードリーでもなければ壊せません!」


「マスカラスマンくん! 水を汲んでくるんだ! リーベルトさんは気付け薬を!」


 ブチィッ! またもや劣勢っぽい応援に陣内さんの我慢が限界を超えた。


「クソッタレがァー! 俺は!」


 右フック!


「今のところ!」


 左ストレート!


「思いっきり勝ってるだろうがぁーッッッ!!!!!」


 右アッパー! 怒りを雄弁すぎるほどに語る三連撃だ!




 判定3-0

(30-27,30-27,27-30)

 勝者:陣内

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