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【言ってみろ 俺か? 幹部か? 長州か?】第1話 再発見! 豊島園! その1

「じゃ、今年のサークルを始めるぞ」


 新年初サークル! メンバーはいつものメンバーに水原さんを加えたものだ。

 場所は久々! 元荒地テニスコート! 布を被ったホワイトボードがあったりと、どこか懐かしい感じの集合だ。


「なんなのここ?」


 入学前の先輩のブログは読まない星野さん、ビシッと勉強不足が露呈する。


「お前らは知らんだろうが、俺たちはかつて、人力のみでこの土地を開墾し、テニスコートを作った」


「嘘つけ。ここを? 草ボーボーじゃん」


「全部やったんだぞ! 誰も助けちゃくれなかった。お前らには楽をさせすぎた。お前らが入る前の俺たちは、リヤカーを牽いて長距離歩いたり、土地を開墾したりと結構ガテン系なことをやっていた。だが人数が増え、地元を離れずヌルいクイズやなんかばっかりやっていた。水原が抜けるってことでお前ら三人補強したのにパワーダウンしてるってどういうことだ? しかも水原は仕事を休んでまだサークルに参加してるんだぞ。そろそろ知れ! 『演劇サークル』の体力を! はいドーン!」


 ハイジさんがホワイトボードの布を引く! 南北に長い土地の白地図がボードに張り付けられている。


「福島県?」


「練馬区(ネリマク)ですよ」


「あぁ、そう」


 興味がない!?


「今回の旅の行き先はリーベルトの言う通り、練馬区(ネリマク)だ。悲しい知らせだが、練馬区の住民のオアシス、豊島園が閉園することになった」


 ハイジさん、練馬区民じゃないのに悲痛な面持ち。だが練馬区出身練馬区在住の俺とリーベルト、練馬区に隣接する西東京のマスカラスマンにはズッシリ来るニュースだ。


「豊島園とは! 東京都練馬区にある遊園地! 観覧車はないが、23区最大級のプールやウォータースライダー、海賊船やオバケ屋敷が持ち味のモヤモヤスポットだ! 春には桜が咲き乱れ、冬にはプールが釣り堀に! 時折大量のコスプレイヤーが出現するぞ! 映画のロケ地になることだって多い! 練馬区の若者はみんな、豊島園で成人式を行う。そんな豊島園が経営悪化を理由に閉園する」


「こんなに悲しいことはないですよ。成人式もここでやったのに」


「そうだなリーベルト……」


「こんなに悲しいことはないですよ……本当に……」


「そうだなリーベルト……。じゃあお前に聞こう。豊島園の思い出を言ってみろ」


「はぇ? そうですね、まずは成人式をやりました」


「いつだ?」


「そりゃハタチの時ですよ」


 ~豊島園の思い出~

 ①成人式-20歳


「他には?」


「う~ん、中学の時、プールに来ましたよ? 高校ではみんな別れちゃうかもしれないからって思い出作りに」


 ②プール-中3


「それから、小学校の時に学芸会の振り替え休日でみんなで来ましたねぇ。オバケ屋敷を何周もしましたよ」


 ③オバケ屋敷-小学校


「うんうん、それからそれから?」


「?」


「その他にはないのかリーベルト? いや、もっと核心に迫った聞き方をしよう。とてもシンプルな質問だ。……成人式以降、来たか?」


「!!!」


「……成人式以降、ここに来ようと思ったか? 来れるか!? どうせ花屋敷やディズニーランドに行っちまうんだろ!?」


「いや! 候補ではありますよ豊島園!? こう……子供が生まれたら、連れてきたいですよ……」


「よぉしわかったリーベルト。お前が将来、子供を豊島園に連れてくるとしよう。お前が早く結婚する、と仮定して、お前が30歳の時に5歳の息子、あるいは娘を連れてくるとして! お前は20歳の成人式から子供が豊島園に来れる30歳までの間に10年も豊島園を待たせてるだろうがッ!」


「ッでも! 10年待てば行くんですよ!? お母さんもここで楽しく遊んだんだよぉ、とか、ここで珍しいカブトムシを観たんだよぉって」


「残念ながら、遊園地は10年も待てない。10年経って、お前が豊島園に確実に来るとしても、豊島園に10年待てる体力はない。お前は10分後に必ず息を吸わせてやるから10分水に潜れって言われて潜れるか? お前ら練馬区民が、豊島園に客という空気を吸わせなかった。そして残念ながら、お前の子供も一回でもディズニーランドに連れて行けば、もう成人式以外で豊島園に行こうなんて言わないだろう」


 ここまで徹底的に理詰めで現実を突きつけるってむしろ豊島園嫌いだろう。


「豊島園を閉園させて何ができるか知ってるか!? ハリー・ポッターのテーマパークだぞ! もう小説も映画も10年近く前に終わった作品のテーマパークを今更……しかもUSJ、いやユニバに」


「ユニバ? よぉし陣内さん、面貸しなさい。ユニバーサルスタジオジャパンのことをユニバって略す都民を見かけたらボッコボコにすると決めてたんです」


「USJは大阪だから東京のハリー・ポッターは豊島園ってか? 下位互換にしかならねぇだろう。駅名どうする? 豊島園駅はホグワーツ駅に改名か? 西武池袋線は、池袋から池袋→椎名町→東長崎→江古田→新桜台→練馬→ホグワーツか?」


「みんな小学校の卒業アルバムに書いたんですけどねぇ。夢が一つ叶うならホグワーツに行きたいって」


「ん? 今、なんつった?」


 なんだこの要領を得ない問答……。アントニオ猪木と藤波辰爾ぐらい噛み合ってあないぞ。


「ホグワーツ……」


「よし、もう一つ質問だリーベルト。ハリー・ポッターのあらすじを言え。『賢者の石』だけでいいぞ」


「……」


 リーベルトさん沈黙。


「答えがわかるヤツは!? 『ハリー・ポッターと賢者の石』のあらすじを説明できるヤツいねぇか?」


 だぁから『ハリー・ポッターと賢者の石』って……一作目だろ? ハリーが虐待を受けてたけど実はヒーローだったり、あとスネイプ? ダンブルドア? ロン? ハーマイオニー? で賢者の石を探すワクワク魔法ライフだろ。


「よぉし、連れて行ってやる。ということで今回の旅は、『再発見! 豊島園』×『思い出せ!ハリー・ポッターと賢者の石』×『フリマリヤカー』だ!」


 ゴクリ。


「おおっと悪い予感がしますよ。『フリマリヤカー』?」


「新要素『フリマリヤカー』、説明しよう。お前らには、近いうちにサークルでフリマをやるから売ってもいいものやいらないものリストを作ってもらったな。フリマをやることはウソじゃない。ただし、そのフリマをやるのは今日だ。今日、大学から豊島園まで徒歩(トホ)の道中で売っていく! 今回の旅の予算は0! 予算は全て、売りながら調達する」


「アバー!」


 良崎が膝を着いて天を仰いだ。


「本当に売れそうにもないものだけなんですけど? あぁ、でもわたしの『ゼルダの伝説 時のオカリナ』の3DS版はいい値段が付くかな? スタルチュラとハート全部集めてますし」


「しかも売れれば売れるほど、荷物が軽くなってリヤカーを牽くマスカラスマンの負担が減る。よかったな、マスカラスマン。他にも、『ハリー・ポッターと賢者の石』の内容を思い出して再現度を上げる、刺客や対戦で勝利するなどで金銭や旅に役立つグッズが増える可能性がある」


 マスカラスマンはカッチカチの上腕二頭筋を叩いてマッスルアピール。もうリヤカーを牽くことに何の疑問も持っていない。


「俺のプロレス関連番組録画VHSは売れてほしいけどな。もっとプロレスの魅力を広げたい」


「よぉし準備はいいな? 全員ローブに着替えろ! まずはダイアゴン横丁で買い出しだ!」




【帰ってきたうぉくのふぉそみつ】

【帰ってきたうぉくのふぉそみつ】




 @東京都練馬区 大泉学園


「イッチ年生はこっちだ! イッチ年生!」


 大泉学園に到着。大泉学園駅北口アニメゲートで迎えてくれたのは権藤教授とハリポタでもないコスプレ集団だ。特撮やアニメのスタジオがある大泉学園は、北口のアニメゲートにアニメレジェンズの銅像があるが、ラムちゃんの銅像とかもう胸触られすぎて模様消滅してるだろ。つい触っちゃうぞ。


「イッチ年生はダイアゴン横丁で杖を買え!」


「権藤教授……親しみやすいのはいいけどアンタがウチの学長(ダンブルドア)にならなくてマジでよかったわ」


「俺は学長など狙ってはおらん。俺は生涯研究者だ。ほらイッチ年生!」


 馬鹿の一つ覚えが学長にならなくてよかった。


「ゆめーてる商店街へGOだ! コイツらも連れて行け」


 権藤教授が従えていたコスプレ集団が一歩前に出る。一人は学ランを改造してテントウムシのブローチをつけ金髪のヅラを被り、もう一人は全身に金箔を塗ってヘルメットをかぶっている。


「この静脈(ジョウミャク)・ジョバァンナには夢がある。大学のスターになる正しいと信じる夢が!」


「俺はそのスタンドバイミー、コールドエクスペンシブレクリエーションだ!」


 バァーン!


「なんもないんですけどねぇゆめーてる商店街。ミスドもなくなりましたし」


 リーベルトさんはスルー! 確かにこいつらを拾っても『賢者の石』の補完度は上がらない。


 ☆大泉学園 ゆめーてる商店街

 豊島園駅から16分!


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