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四幕~天誅~

 ストンッと竜史は夜天光の城の内部に降り立つ。

 竜史は一呼吸置き飛び上がると、サンライトスラッシュで門扉を砕いた。

 殺風景なエントランスには、チェスの駒の像が並んでいた。

 すると、竜史が切り裂いた門は再生した。


「……なるほどな。オレはお前の内部に閉じ込められたというわけか、夜天光?」


「ほぅ、よく気が付いたな。それはルナテイックの超直感の力か? 目障りな力だよ、サンライトとルナテイックの力は。私に対抗出来る力など存在する必要は無い。そう思わないか? 太陽竜史よ?」


「夜天光。お前、本当は何をしたいんだ」


「世界の浄化さ」


 薄暗く、何もなかった空間に、突如夜天光の姿が現れた。

 と、同時にエントランスの飾りのチェスの駒に偽装していた盤上騎士団が現れた。


「遊んでやれ、盤上騎士団。私は世界の悪である鬼瓦の浄化に忙しい」


「盤上騎士団……? こいつらと戦えば、またオレは強くなるぜ夜天光……?」


 唇をかみ締めつつ、竜史は構える

 チェスを模倣した夜天光が生み出した精鋭部隊。

 竜史の視界は霞んでいた。度重なる連戦の疲労とサンライト・ルナの爆発的なオーラが自分の寿命を縮め、自分の器はもう長くないと感じとっていた。

 それを悟っている夜天光は挑発には乗らず、嗤う。

 突如、辺りの空間を冷たく、悪意むき出しの殺気が覆った。

 バッ! と竜史は翼をはためかせ、飛んだ。

 一秒前まで竜史のいた床が、粉々になった。

 その技を放ったのは金髪の巻き髪の美しい女性クイーンだった。そのパワーは天空闘技場の時より上がっている。


「……フッ」


 クイーンが竜史の方を向くと、四人の騎士が力を解放した。

 ブオオオオオオッ!

 オーラによって生じた煙が上がり、クイーンを中心に騎士達は整列した。

 竜史の一閃により、サアァ……と煙が晴れる。

 そして、バッ! と女王は扇子を広げ、


「夜天光様の描く世界の繁栄と栄光の為、鬼瓦ファミリーの生き残りである太陽竜史、貴様を殺す」


 そして夜天光は、


「後は任せたぞ盤上騎士団。せいぜい最後の戦いを楽しむがいい、太陽竜史。私は私自身に集中させてもらう」


 そう言うと、陽炎のように姿を消した。


「待て! 夜天光っ!」


 その言葉と共に、ザラッとクイーンの顔つきが更に鋭利に変化した。

 ビクッ! とクイーンのオーラに反応し、構えた。

 クイーンはブンッ! と扇子を扇ぎ、激しい衝撃波を発生させた。

 間一髪上空に逃れた頭上に、クイーンの姿があった。


「――!?」


 驚きと同時に、クイーンの技が放たれた。


「ライトニングフラッシュ!」


 ピカッ! とクイーンの鎧が白く発光し、強力な熱光線を周囲に放った。


「ぐああっ!」


 ズザァ! と体から煙を上げ、竜史は落下し地面を転がった。

 他の盤上騎士団は、傍観している。

 フラフラッとすかさず立ち上がり、


「サンライト・ルナ・スラッシュ!」


 ブオオオッ! とサンライト・ルナ・スラッシュのオーラが飛ぶ。


「それがサンライトとルナティクが融合した技ね? いいわ、来なさい!」


 竜史とクイーンは激しく激突した。

 クイーンはサンライト・ルナ・スラッシュを防御しきれず、エネルギーを浴びた。


「ぐううっ……! 中々やるじゃない。そんな大技を使われたら、こちらも本気でいかなきゃね。さあ、覚悟なさい!」


 バッと扇子を広げ、一気にオーラを扇子に流し込んだ。

 すると、クイーンの扇子が白く巨大化した。

 上空に舞い上がる竜史も、幻無にオーラを注ぎ込む。


(もうこれが最後の力かもしれないけど、撃つしかない……!)


 二人の気力が充実し、目が合った瞬間――。


「ライトニングブレードッ!」


「サンライト・ルナ・スラッーーシュッ!」


 ブボオオッ! 二人の技が激突し、周囲に突風が吹いた。

 プシュゥゥゥゥ!

 竜巻のような衝撃派に、盤上騎士団も顔を手で覆っている。


(コイツ、連戦の疲れもあるはずなのに、大技の連発ときたか……! 流石だぜ、竜史。お前は必ず俺が倒す)


 ポーンはそう思いながら、戦う二人を見ていた。

 シュウゥゥ……。

 両者のオーラがシュワッと大気に消えると、竜史とクイーンは背中合わせで立っていた。

 そして、クイーンの鎧の上半身が弾けると、


「ぐふっ!」


 胸を押さえ、竜史は倒れる。

 クイーンは振り返り、竜史を見た。


「……さすがは稀代の力、サンライトの能力者ね。それに、今は月のルナティックの力も融合している。まさか今の私の生身に傷を付けるとは思わなかったわ。でも終わり……」


 クイーンは鎧が破損し、血が流れる脇腹を抑えつつ言った。

 そして、気を失った竜史を見つめ、


「夜天光様の計画を早める為に、おみあげをあげるわ」


 スッとたたんだ扇子を天に掲げたクイーンの上空に、白い球体がズズズッ……! と巨大化していく。

 クイッとクイーンの扇子の先端から、巨大な白球が放たれた。

 ブオオオオオオッ!

 白球は気絶する竜史に容赦なく迫る――。


「……」


 白球は、竜史を飲み込んだ。

 盤上騎士団はその光景を眺めた。

 そして、パチンッ! とクイーンが指を鳴らすと、騎士団は姿を消した。

 白球が抉り取った地面を見たポーンは、


「……お前は死んでいないはずだ。勝ちたければ死んでも這い上がって来い。こんなにワクワクしてる俺は初めてだぜ……!」


 打ち震える身体の興奮をそのままに、ポーンは姿を消した。

 白球が通った道には、床がえぐられて新しい一本道が出来ていた。

 その道筋に、竜史の姿は無かった。





 夜天光の下に戻った盤上騎士団は、白の玉座に座る夜天光の周りを囲み、世界中に向け意識を集中していた。その城、夜天城から放たれる白色の羽根は、世界中に舞い散り世界各地を破壊した。その人々の恐怖、怒り、混乱は全て夜天光のエネルギーとなり、還元される。

 地球は今、鬼瓦の創った秩序から夜天光の創る秩序に変わろうとしていた。

 大気の摩擦で赤く発光する夜天城は、宇宙を目指し上昇する。


「ここまで来れば、もう私を邪魔する者はいない。悪意ある人間共全てをこの宇宙から焼き払った後、地上に帰還し、私の新世界を創る。盤上騎士団よ、諸君等の活躍に期待する」


 敬礼をした盤上騎士団は、自身の力を夜天城に注ぎ込む。

 高らかに嗤う夜天光は、自分に酔いしれるように地上の世界を見下ろしていた。



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