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現代怪談短編集 霊話百物語  作者: ナハ子
【1章 日常・SNSの罠】
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第7話 位置情報共有のバグ

私と彼氏は、お互いにスマホの位置情報共有アプリを入れている。

相手が今どこにいるかがリアルタイムで地図上に表示されるというもので、便利なアプリだ。

安心のためと、あまり心配はしていないが、一応、浮気防止のため。


ある日の深夜、私は自分の部屋のベッドに寝ころび、彼と通話していた。


「久しぶりの実家はどうだった?」

「うーん。不味かったかな」


私の問いに、彼は少し不満そうに答えた。


「え、ご飯が? お母さんのご飯、美味しくなかったの?」

「やっぱり、お前の方が美味しそうだ」

「え~、そうなの? じゃあ、次にこっち戻ってきたら、腕によりをかけてお料理しちゃうね」

「楽しみだなぁ」


実の母親の味と比較されるのは何とも恐れ多いが、それでも、こう楽しみにされると悪い気はしない。次に彼が遊びに来る日が楽しみだ。

そんなことを思っていると、あくびが出た。


「ごめん。明日も早いから、そろそろ寝るね」

「わかった。おやすみ」


通話を切り、私は何気なく位置情報アプリを開いた。

彼のピンは数百キロも離れた彼の実家を差している。


だが、バグだろうか。ピンが大きく動き出した。

すごい速度でピンが動き、地図が激しくスクロールする。速度にすると100キロは超えているだろう。

「なに、これ……」


見たこともない現象に呆然と画面を見つめていると、彼のピンはついに私のマンションの敷地内に入ってきた。

そして、1階、2階、3階と、私が住む階に少しずつ近づいてくる。


恐怖が身を包む。これは、ただのバグではない気がする。

実は実家に帰ったというのは嘘で、サプライズで私を驚かそうとしているのだろうか。


それなら、どれだけいいだろう。


ピンはついに、私の部屋の前でピタリと止まった。

心臓が、耳の奥でうるさいほど早鐘を打ち始める。


スマホに通知が来た。彼からのメッセージだった。

『やっぱり我慢できなくなっちゃった。今から食べるね』



ガチャリ。


静まり返った部屋に、鍵の開く音が響いた。


彼はこの部屋の、合い鍵を持っている。


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― 新着の感想 ―
 こういう具体的な説明(〇〇が✕✕なので◎◎になったんです)が一切ないのも不思議で怪談らしいですね。  ありがとうございました(`・ω・´)ゞ
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