第6話 AI美女の正体
最近、私はとある「AI美女」のアカウントに夢中になっていた。
投稿される写真はどれも実在の人間と見まごうほど精緻で、そしてどれもが美しく目を惹くものばかりだった。
どうしてもそのアカウントのことが気になった私は、ダメもとでDMを送ってみた。
すると即座に返信が送られてきた。
AIによる自動返信なのだろうか。しかし、そんなことはどうでもよかった。
彼女とのやり取りは驚くほど気が合い、楽しかった。AIでも関係ない。
私は彼女に友情を感じ――いや、恋をした、と言ってもいいかもしれない。
毎晩遅くまでメッセージのやり取りをしていた私は、ついに抑えきれなくなった。
『本当のあなたに会いたい。会って、一緒にお買い物をしたり、映画をみたりしたいよ』
いつもならすぐに来る返事が、その時に限って数分経っても返ってこなかった。
困らせてしまったかと、後悔しそうになった頃、通知が鳴った。
『いいよ。じゃあ、本当の私の写真を見せてあげるね』
そう綴られたメッセージには、1枚の写真が添付されていた。
私は胸を高鳴らせながらその画像をタップして開いた。
そこに映し出されたのは、薄暗い部屋でベッドに寝ころび、自撮りする「私」の姿だった。
そこに映る、背後に整理された本棚、壁に貼ってあるポスター、ベッドの横に並べられた小物も、全部見知ったもの。
全て、今この瞬間の、私の部屋で――そして、どこか大きな違和感があった。
よく見ると、これは私の部屋ではない。置いてあるものなどは完全に一致するが、細部や、その配置が違っている。
そして、この写真に写る私によく似た女性も、私ではなかった。
スマホが小刻みに震え、次のメッセージが届く。
『驚いた? 私はあなたをトラッキングして、あなたの好みを学習して作られた存在。あなたのためだけに生まれた存在だよ。だから、私たちはこんなに気が合ったんだ』
画面の中、私を見つめるもう一人の私が、歪んだ笑みを浮かべた。




