第43話 新訳・トイレの花子さん
私の通う学校に、ある変わった噂が流れていた。
それは、「『@hanaco_3』という、トイレの花子さんのSNSアカウントが存在する」という噂だった。
そのアカウントは、検索バーにユーザーIDを直接入力しても『該当するアカウントはありません』と表示され、タイムラインをスクロールしている時に、「偶然おすすめに流れてくる」以外、決して見つかることがないらしい。
そして、もしそのアカウントを見つけることができたなら、DMで同じ願い事を3通送ることで、どんな願いも叶えてくれると言われていた。
ある日の深夜、自室のベッドで私がタイムラインを眺めていると、それが目に入った。
おかっぱヘアが特徴的な、白い肌をした女の子の可愛い自撮り写真がアイコンの――『@hanaco_3』というアカウント。
ついに見つけた。都市伝説はやっぱり実在したんだ。
私はすぐにそのアカウントのホーム画面へ飛んだ。
プロフィール欄には「お仕事の依頼はDMまで」と書かれ、これまでの投稿には、人名らしき単語だけが、ただ短く何件もされていた。
非常に怪しい雰囲気を感じたが、私は意を決して、噂の通りに「ある願い事」を3通送った。
3通目を送ると、即座に「承りました」とスタンプが送られてきた。
それから、数日後のことだった。
クラスメイトの一人が、変わり果てた姿で亡くなった。
校舎の3階にある女子トイレの、奥から3番目の個室で、首を刃物で綺麗に切断された状態で見つかったらしい。
当然、学校中は大騒ぎとなり、しばらく休校措置が取られることになった。
だが、警察の懸命な捜査も虚しく、犯人の目処はおろか、凶器や遺留品すら未だに何一つ見つかっていない。
だけど、私は知っている。
犯人はおそらく、あの「トイレの花子さん」だ。
あの時、私が送ったDMの願い事は――「いじめっ子の○○を殺してください」というものだった。
亡くなったクラスメイトは、ひどいいじめによって、先月私の大切な親友を自殺に追い込んだ最低のクズだったのだ。
私は晴れやかな気持ちで、画面の向こうの花子さんに心から感謝した。




