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現代怪談短編集 霊話百物語  作者: ナハ子
【4章 意味が分かると怖い話】
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Extra Track 対話型AIのバグ

ある日、あまりに暇だった私は、スマホで最新の「対話型AI」にいろいろな質問をして遊んでいた。

検索エンジンと紐づいたそのAIは瞬時にネット上の情報を集め、こちらのふざけた質問にもしっかりと答えを返してくれるのが面白かった。


だが、やはり最新型のAIと言っても、まだ完璧ではないようだ。

その返答には、ところどころ大きな「間違い」が混ざっていた。


例えば、『今の日本の大統領は?』という質問。

日本に大統領などいるはずがないのに、AIは聞いたこともない外国人の名前を堂々と挙げてきた。


さらに、『空の色は何色?』こんな常識的な質問にさえ。

『昼は「R160、G216、B239」を基本に描写設定され、天候によってその都度、数値の微調整が行われます』などという、意味不明なものが返ってきた。


極めつけは、『この世界の真理を教えて』という質問に対する、こんな返答だった。


『実は、この世界は超巨大IT企業「A社」が提供している、仮想現実シミュレータの世界です。驚きましたか?』


私はそれを見て、思わず大笑いしてしまった。

やっぱり、AIがいくら発展したと言っても、まだまだ間違いが多すぎる。

あまつさえ、こんな荒唐無稽な返答をしてくるとは。今時、陰謀論者でもそんな使い古されたSF映画のような設定は信じないだろう。


後日、その対話型AIのアップデート通知が届き、修正事項に「重大なバグの修正」とだけ記されていた。


気になった私は、試しに先日と同じ質問をいくつか投げてみた。

すると、大統領の質問には「日本に大統領はいません。日本には内閣総理大臣がおり、現在は○○です」と答え、空の色の質問には「その時間帯によって変化します。昼は青色、夕方は赤やオレンジ色、夜には黒に見えます」と、すべて常識的で正しい回答に直っていた。


やはり、大企業だけあって仕事が早い、と私は感心した。


私は満足してスマホをポケットにしまい、何気なく窓から空を見た。

そこには昨日と全く変わらない、完璧な青空がどこまでも広がっていた。

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