第38話 親友からのSOS
深夜2時、静まり返った自室で寝ていた私は、スマホが激しく震える音で目を覚ました。
画面を見ると、親友から電話がかかってきていた。
「助けてくれ! 宇宙人に拉致されて、宇宙に連れ去られてしまった! このままだと、生きたまま解剖されちまう!」
受話器の向こうで、親友は泣き叫ぶように言った。
「おいおい、冗談だろ? そんな映画みたいな話……」
私は笑いながらそう返した。だが、受話器の向こうから聞こえてくる声はあまりにも必死で、本物の恐怖にガタガタと震えている様子が厭というほど伝わってきた。
「……本当に、本当なのか?」
私は声のトーンを落として訊ねた。
「ああ、本当だ! もうお前しか頼れないんだ!」
「わかった。今すぐ警察に連絡する!」
私が叫ぶと、親友はすぐにそれを遮るように言った。
「待て! 警察はだめだ、公的機関は絶対にだめだ! 奴らはすでに宇宙人の存在を把握していて、情報を隠蔽している。連絡したら、俺たちの存在ごと消されてしまう」
助けようにも、どうすればいいのか分からない。相手が宇宙空間にいるのでは、こちらから助けに行くことなど不可能なのだ。
「どうすればいいんだよ!」
私は絶望に暮れて叫んだ。
「落ち着け。いろいろ伝えたいが、今、船内の電波が不安定なんだ。とりあえず、今から伝える場所に行って、そこで俺のスマホと『位置情報を共有』してくれ! そうすれば、お前の端末を経由して、こちらの通信を安定させられると思う!」
「わかった! 今すぐに行く!」
私はすぐさまタクシーを呼び、親友に指示された千代田区の「永田町」へと急いだ。
そして、地図アプリで親友のアカウントと位置共有を有効にしたまま、指定された重厚な建物の前に立った。
しばらく待っていると、再び親友から電話がかかってきた。
私が慌てて通話ボタンを押すと、受話器の向こうから聞こえてきたのは、先ほどまでのパニックが嘘のように、低く、冷たく平坦な声だった。
「ありがとう。これで、正確な座標がロックできた」
プツリと切れる通話。
直後、聞いたこともないような重低音が響き、地面が激しく揺れ始めた。




