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現代怪談短編集 霊話百物語  作者: ナハ子
【1章 日常・SNSの罠】
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第4話 裏アカウントの鏡

Y美には、とてもではないが人に言えない趣味があった。

それは、匿名の秘密のアカウントを使い、周囲の人間の愚痴や悪口を忌憚なく書きなぐるというものだった。

時にはむかついた人物を隠し撮りし、晒し上げることさえしていた。


本人も性格が悪いとはわかっているが、それでも匿名という安全地帯から吐く毒は心地がよく、やればやるだけストレスが解消され、いつしかやめられなくなっていた。


ある日の夜、Y美はその日も裏アカウントに写真を上げた。

その日、出かけたときに乗ったバスの運転手の態度が悪く、それが癪に障った彼女はすぐにその運転手を隠し撮りしたのだった。

Y美は多数の汚い言葉と共にその写真をアップロードした。


すぐに通知が鳴った。返信が付いたようだった。このようなアカウントなので、普段は滅多に返信はされないのだが。

見知らぬアカウントからの書き込みをY美は何気なくタップした。


『それよりもガラスに映る男が怖すぎる』


Y美は、自分が投稿した写真を見返す。彼女は事前に自分が写り込んでいないかを入念に確認していたが、その時はそのような男の存在に気が付かなかった。

何かの見間違いか錯覚だろうか、と思い、画像のガラスの部分を拡大すると、確かにそこには男が写っていた。


Y美の心臓がドクンと跳ねる。


確かに、男が映っていた。ガラスの反射越しに、狂気じみた笑みを浮かべながら、カメラ目線――つまり、Y美を凝視しながら。気付かなかったのが不思議なほどにハッキリと映っている。


Y美は思わず窓を見た。

そして、そこに何も映っていないことに安堵した。


再びスマホに目を落とすと、新しい返信があった。



『あ、窓じゃなくて、今はあなたのスマホの画面に映ってる』


えっ、と思うや否や、スマホの画面が暗くなった。そして真っ暗になったディスプレイに反射するY美の顔のすぐ横で、青白い顔がニタリと笑っていた。


その日からY美は行方不明になったが、不思議なことにその裏アカウントは未だに更新され続けている。


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― 新着の感想 ―
 ガラスからスマホの画面に移動するとこが怖くて面白かったです。  このアカウントを今も更新しているものの正体が恐ろしいですよね。  ありがとうございました(`・ω・´)ゞ
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