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現代怪談短編集 霊話百物語  作者: ナハ子
【1章 日常・SNSの罠】
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第3話 出前アプリの配達員

日付が変わるまで残業をしていた私は、疲れ果てて帰宅した。

お腹が鳴っているが夕食を作る気力もなく、スマホの出前アプリでカレーを注文することにした。


人と接することさえ億劫だったので、オプションに「玄関ドアの前に置く」を選択し、私はベッドにスマホを放り投げると同時に自分自身も倒れ込んだ。


しばらくすると、スマホから通知音が聞こえてきた。配達が完了したようだ。

のそのそと起き上がり、玄関へ向かおうとしたとき――


ピンポーン。


静寂の中に、インターホンの音が響く。

画面を確認すると、そこには配達員の男がじいっと玄関ドアを見つめ突っ立っていた。


確かに置き配を指定したはずなのだが。不審に思い、インターホン越しに声をかける。

「そこに置いておいてください」


男は少しも動かず、くぐもった声でぼそぼそと言った。

「こちら手渡しのみになります」

「いや、置き配を頼んだので」

「手渡し限定です。開けてください」


男の口調が強くなった。

よく見ると、男の目が異常に血走っている気がする。

気味が悪くなってきた私は、音を立てないように気を付けながらドアスコープを覗き込んだ。

じいっと見つめたまま動かない男。左手にカレーの袋を持っているが、カメラの死角になっていた右手には、包丁が握られていた。


「開けてください。開けてください。開けてください」


男が狂ったようにインターホンを連打しはじめる。

私は恐怖に震える指で、なんとか警察に電話をした。


ガチャガチャと回されるドアノブの音と、何かでドアを引っかくような不快な金属音が鳴り響く中、私は耳を押さえながら必死で耐えていた。


やがて、音が収まったかと思うと、スマホから通知の音が聞こえてきた。


『配達員への評価をお願いします』


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― 新着の感想 ―
 実際に自分の身に起きたら怖いと思います。ラストの機械的な一文が効いてますね。  ありがとうございました(`・ω・´)ゞ
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