第2話 中古のスマホ
ネット通販で、格安の中古スマホを買った。
簡単に動作確認を終えると、その日は枕元に置いて眠った。
深夜2時。
激しいバイブレーションの音で目が覚める。
スマホが、枕元で暴れていた。
画面を見ると、勝手に動画アプリが起動していた。
初期化されていたはずだが、一部消しきれなかったデータが残っていたようだ。
暗い画面に、ざらついた映像が映し出される。
どこかの部屋のようだ。
「やめろ! 助けてくれ!」
画面の中で、男が叫んでいる。
半裸で椅子に縛り付けられた男は、身体中に痣や傷を作っていた。
カメラを構えている誰かが男を激しく殴りつけた。
男が白い歯の混じった血を吐いた。
気持ち悪くなり、アプリを消そうとしたが、操作を受け付けない。音量を下げようとしても、電源を切ろうとしても、何も反応しない。
やがて、画面越しに見せつけるように大きなナイフが映された。
カメラを持つ人物は、それを男の喉に押し当てると、ゆっくりと、確実に刃を横に滑らせた。
喉からどくどくと赤い血が流れだし、男はこと切れた。
静寂が訪れる。
カメラがゆっくりと動き、返り血を浴びた「犯人」が映し出された。
その男はレンズ越しにこちらをじいっと見つめ、やがてにやりと笑った。
「次は、お前だ」
そこで、ようやく画面が暗転した。アプリが落ちたのだ。
直後、一通の新着メッセージを知らせる通知が画面に現れた。
同時に、玄関のドアを、ドンドンドンドンドンと叩く音。
私は動くことができなかった。




