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第1話 いいねの宛先
都内の大学に通うA子は、SNSのフォロワーを増やすことに熱中していた。
毎日のように自撮りや部屋の写真をアップし、それに「いいね」をもらうのが何よりの楽しみだった。
ある日の深夜、いつものようにタイムラインを追っているときのこと。
フォロワーの1人から、1枚の写真がDMで送られてきた。
「いつも見ています。これ、プレゼントです」
写真は、何の変哲もない部屋に見えた。けれど、どこか既視感があった。
A子が写真をタップして拡大した。
それは、A子が今まさにベッドの上でスマホを見ている、後ろ姿の写真だった。
一瞬、息が止まる。
鳥肌が立ち、勢いよく部屋を見回すが誰もいない。窓も鍵が閉まっている。
ベランダにも人影はない。窓の外も。
A子は恐怖で指を震わせながら『あなた誰? どこから撮ったの?』と返信した。
すぐに既読がつき、短い文章が返ってきた。
『今、目があいましたね』
A子の背後で、クローゼットの引き戸が動く音がする。
A子がゆっくり、少しずつ、機械のようにギ、ギ、ギ、と後ろを振り向いた。
隙間から、濁った人間の目がじいっと見つめている。
A子のスマホに、再び通知の音が響いた。
「目の前で見る君、すごく可愛いよ」




