第26話 卒業アルバムの空白
放課後、誰もいない教室。私は提出物の整理中、棚の奥に見覚えのない古い卒業アルバムがあるのを見つけた。
表紙には文字がなく、全体にうっすらと埃を被っている。
好奇心に駆られ、私はそれを手に取ってページをめくってみた。
何年も前の卒業生たちの集合写真。やはり、全体的に時代を感じるような見た目をしており、それが面白く思えた。
適当にパラパラとめくっていく中、私は思わず手を止めてしまった。
明らかに異様な箇所がある。
一見、普通のクラス写真の中で、後列の真ん中に立つ生徒一人だけ、まるでカッターナイフで切り抜かれたかのように、完全に四角い「空白」になっているのだ。
印刷のミスだろうか。
いや、さすがにこのようなミス、気が付いた時点で差し替えられるに決まっている。
顔だけがくりぬかれているなんて、妙に不気味だ。
私が何気なく他のページもめくっていくと、他のページでも同じように顔がくりぬかれているのを見つけた。
クラス写真だけではなく、運動会、修学旅行、部活動中の写真など、様々な写真で、顔がくり抜かれている人がいる。
これらはすべて同じ人物の顔が抜かれているのだろうか。
だとしたら、これの持ち主はよほどこの人物が嫌いだったのだろう。
思わぬところで人の悪意に触れ、心が重くなるのを感じながら、私は再びクラスの集合写真にページを戻した。
そこで、奇妙なことに気が付く。
集合写真に写る生徒たちが、全員笑っているのだ。
それもただ笑っているだけではない。耳まで裂けるような大きな口で、決して友好的ではなく、悪意に満ちた笑みだった。
先ほど見たときはこんな顔はしていなかった。
あまりの恐怖に、私はすぐにアルバムを閉じようとした。
だが、アルバムの紙面から延びてきた無数の青白い手が私を掴み、そのままアルバムの中へと引きずり込んだ。
あの四角く空白だった顔は、現在、私の顔になっている。




