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現代怪談短編集 霊話百物語  作者: ナハ子
【3章 職場・学校の怪異】
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第22話 放課後の4階女子トイレ

夕方、部活が終わり、みんなは散り散りに帰路についていく。そんな中で、私は一人、忘れ物を思い出して校舎に戻っていた。

すっかり薄暗くなった廊下は厭に不気味で、普段は生徒でにぎわっているだけに、そのギャップが恐怖を煽った。


忘れ物を取り、教室から帰る途中、急にトイレに行きたくなった私は4階の女子トイレに入った。

個室を出て、洗面台で手を洗う。そして、視線を上げて大きな鏡に目を遣った、その時だった。


心臓が跳ね上がる。

鏡の中、私の後ろに、誰かが映り込んでいた。


見たことのない、どこか古びたセーラー服を着た女子生徒が、じいっと私を見つめ突っ立っている。

長く黒い髪がまるで幽霊のようで――いや、間違いなく、あれはこの世の存在ではない。


私は慌てて振り向いた。


やはり女子生徒はそこにいた。

だが、鏡越しに見るよりも幾分か怖い雰囲気はなくなっていた。


「夜の学校は危ないよ。案内するから、一緒に帰ろう」


女子生徒はそう言った。

もしかすると、悪い幽霊ではないのだろうか。

敵意や悪意といったものは感じない。どこか柔和な雰囲気さえ伝わってくる。


私は静かにその言葉に頷いた。


私はその子と手をつなぎ、玄関口へと向かった。

やはり、一緒に歩いている間も悪意は感じない。

彼女は明るく、様々なことを聞いてきた。


「部活してるの?」「好きな人はいる?」「親友は誰?」


私もそれに答えていった。


「うん。テニス部なんだ」「いないよ」「親友はA子っていう子」


そうして、話しながら玄関口へと着いた。短い間だったが、良い雰囲気で、楽しい時間だった。


「ねぇ、私、あなたのこと気に入っちゃった。友達になってくれる?」

「うん。またあのトイレに行ったら会える?」


「ううん。これからはずっと一緒だよ」



目の前の彼女が姿を消した。


だが、玄関口の大きな姿見には、私と彼女の姿がはっきりと映っている。


えっ、と思う間もなく、鏡の中の彼女がにっこりと笑った。


そのまま、私は鏡の中に取り込まれた。


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