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現代怪談短編集 霊話百物語  作者: ナハ子
【2章 物件・場所の怪異】
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Extra Track テストルーム

近年ネットでまことしやかに囁かれる都市伝説の一つに、「誰も知らない心霊スポット」というものがある。


その心霊スポットは、どのような場所なのか、何があったのか、どのような心霊現象が起きるのか、そして、どこにあるのかさえも、すべてが謎らしい。

ただ、どこかの工事途中で解体された駅ビルの地下エリアが放置され、そうなったという噂だけが存在した。


最初に聞いたときは、それで本当に「心霊スポット」と言っていいのだろうかと疑問だった。

だが、私は妙にこの噂に惹かれ、そこへ行ってみたくなった。


途中で解体された駅ビルを調べ、実際に現地へ足を運ぶなどして、私はついにそこを見つけ出した。

ある地方都市の駅。そこに、簡易的に封鎖されているだけの、地下へと続く階段があったのだ。


『立入禁止』の警告を無視し、私はそこを進んでいく。

降りた先にあったのは、やはり廃棄された商業街だった。


3Dモデルにテクスチャを張り付けたかのように、どこか不自然で、同じデザインの店が異様に建ち並んでいる。

それだけでも背筋が凍り付くほどの恐怖を感じたが、同時に好奇心もそれを上回るほどに湧いてきた。


ひたすら続くシャッター街と、ループする同じデザインの看板を抜けていくと、突然、開けた空間に出た。

そこは、真っ白で何もない「無」の空間だった。

不思議なことに、蛍光灯などの光源が存在しないはずなのに、妙に明るく、はるか遠くまで見渡せる。


人ともマネキンともつかない「何か」が、何体も歩いているのが見える。

それは、ローディングが完了していない3Dモデルのキャラクターのように粗く、私が瞬きをする度に、その描写がカチカチと鮮明になっていった。


ここはおかしい。すぐに逃げよう。


そう思った時には、すでに遅かった。

だが、来た道を戻っても、この白い空間から抜け出す出口はどこにも見当たらなかった。


絶望が、私の全身を覆った。


あれから、どれだけ経っただろうか。

いや、その疑問さえもここでは間違っているのかもしれない。


ここは「空間」だけが存在し、「時間」という概念の存在しない場所。

私は死ぬことも老いることもできず、ただプログラムされた通りに動くだけの、あの粗い3Dモデルと永遠を過ごすしかない。


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