第15話 深夜のコインランドリー
深夜2時、溜まった洗濯物を片付けるために、私は近所の無人コインランドリーへ向かった。
闇と静寂に包まれた街の中で、不釣り合いなほどに蛍光灯の白い光だけが明るく、無機質に照らす店内に、先客の姿はなかった。
大型の洗濯機に衣服を放り込み、小銭を入れてスイッチを押す。
ガタガタと重い音が響き、ドラムが勢いよく回転し始める。
私は備え付けのベンチに座り、スマホを見て時間を潰すことにした。
時折回る洗濯機に目をやり、様子を確認する。
水しぶきと共に、自分の服がぐるぐると回っている。
しかし、ふと、その様子に違和感を覚えた。
私の服に混ざって、何か「黒くて長い塊」が一緒に回っている。
そんなものを入れた覚えはない。
そもそも、あれはどう見ても衣類ではない。
私は洗濯機に近づき、じいっとガラス窓に目を凝らしてみる。
ドラムが回るたび、その黒い塊は内壁やガラスにバウンドする。
それは大量の黒く長い髪に見えた。
「うえっ、気持ち悪!」
気付かなかっただけで、元々入っていたのだろうか。
いや、そんなはずはない。入れるときにしっかり中を確認している。
すぐに止めて別の洗濯機で洗いなおすか、しかし、触れるのも気持ち悪い。
どうすべきか判断できず、恐怖で硬直しているうちに、 洗濯機はガコン、と一際大きな音を立てて止まった。
そして、止まってから気が付いた。
紛れ込んでいたのは黒い髪だけではなかったということに。
衣類にまぎれたそれは、青白い生首だったのだ。
「あなたも洗ってあげる」
直後、バチンと店内の蛍光灯が一斉に消えた。
翌日、私は乾燥機の中でぼろぼろの死体となって発見された。




