第14話 2DK・家賃3万円の理由
都心で2DK、家賃3万円。破格の条件で見つけたアパートだった。
「古い建物だから」という不動産屋の言葉を信じ、私はすぐに契約した。
住み始めて数日。部屋の掃除をしていた私は、ある違和感に気が付いた。
和室の押し入れの奥と、隣の洋室の壁。外側から長さを測ってみると、設計上、どうしても「15センチほどの不自然な空白の隙間」が壁の中に存在しているのだ。
間取り図には存在していなかった空間。
コンコン、と軽く壁を叩いてみる。鈍い音が響く。
中は空洞というわけではなさそうだ。
リフォームの関係でこうなったのだろうか。
その空白を覆う壁だけが、後からベニヤ板で無理やり塞がれているようだった。 剥がして中を確認しようと思えばできる。
だが、確認するまでもないと思った。どうせ中は何かしらの建材で埋められているだけというのが関の山だろう。剥がしたところで、元に戻すのも大変だろう。
何度か壁を叩きながら、私は自分にそう言い聞かせ、気にしないことにした。
中から微かに聞こえてくる、カリカリ、と何かを引っかくような音は聞こえないふりをしながら。
1週間をこの部屋で過ごした。
私はいよいよ好奇心を抑えきれなくなっていた。
あの壁の中からは、やはり時折、カリカリ、カリカリと中から何かを引っかくような音が聞こえてくる。
これが中が空洞だったならネズミや虫の類だろうと納得できるが、叩いてみた感じでは、明らかに中に何かが詰まっている。
それも、石膏やコンクリートなどの建材ではない。
私は意を決してその壁を剥がした。
そのわずか15センチほどの隙間に、ぎゅうぎゅうに詰め込まれていたのは、「裸の男」だった。
男の顔がぐるりと私のほうへ向く。
そして、ニタリとその口元を歪めた。




