第13話 異次元エレベーター
深夜、残業を終えてマンションに帰宅した。
疲れ果てた身体でエレベーターに乗り、自分が住む「4階」のボタンを押した。
重い駆動音と共に、ゆっくりと上昇を始める。
早くベッドで横になりたい。疲れた身体ではこの僅かな移動さえも長く感じる。
壁に身を預けながら、階数の表示されているデジタルの液晶ディスプレイを睨んだ。
1、2、3、4……。
本来ならここで止まるはずだった。しかし、エレベーターは速度を落とさない。
5、6、7……。
最上階まで来た。だが、デジタル表示の数字は止まらない。
「えっ……?」
8、9、10……。
どんどん数字が刻まれていく。
エレベーターが止まっている気配はない。一体、今どこにいるのだろう。
パニックになり、「開」ボタンや、他の階のボタンを連打する。だが、やはりエレベーターは止まらない。
50、51、52……。
階数がさらに増える。
マンションを間違えた?
いや、そんなはずはない。そもそも、この辺りにこんな高層マンションはない。
動悸が激しくなり、呼吸が荒れる。
なおも増えていく階数表示は、いよいよ90階に達していた。
それに比例するかのように、恐怖心も膨らんでいく。
97、98、99……。
そして、ついに「00」が表示され、ガクンと大きな衝撃と共にエレベーターが停止した。
ピンポーン。
この状況にそぐわない、あまりにも間の抜けた到着音。
目の前の金属製のドアが、ゆっくりと開き始める。
僅かな隙間から見えるのは、無機質なコンクリートの壁。
そして、無数に蠢く、人間かそうでないか判断が曖昧な、青白い肌に目を爛々と輝かせる不気味な存在。
私は「閉」のボタンを連打する。
だが、扉が閉まるよりも早く、無数の手が私を「あちら側」へと連れて行った。




