表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7/91

【第1話】ふぁーすとみーつ 余談

------------------------------余談----------------------------------


学校から家に着くまでの途中に商店街がある。

若干寂れてはいるがどこか温かみのあるその「きやとり商店街」は学校の一部の生徒のちょっとした憩いの場になっている。

「あ、へびいちご」

商店街の道端に生えていた赤い実のそばに絵入さんは駆け寄りしゃがんだ。

「いただきます」

「待て待て」

両手を合わせて摘み取ろうとした絵入さんにストップをかける。

「へびいちごは毒があるから食べちゃダメだろ」

小さいころに道端で見つけて食べようとしたときに両親に止められた記憶がある。

ナチュラルに捕食をしようとした彼女はおそらく毒があることを知らないのだろう。今まで食べてきた感じだけどよく無事だったなと思う。

「へびいちごに毒はないよ?」

「いやいや、食べれないってよく言うじゃん」

絵入さんが言うには植物図鑑とかで見ると無毒って書いてあるらしい。

「え?そうなの?」

こくりとうなずいて続ける。

「実際に食べてはみたけどおいしくはない」

「おいしくないんだ・・・」

絵入さん曰くスポンジにめちゃくちゃうっすいイチゴシロップをかけたような味がするとのこと。

そんななのによくもう一度食べようと思ったなこの子は。

「見た目はおいしそうなのにね」

そういうと絵入さんは残念そうに立ち上がってスカートのほこりを手で払った。

「味の詳細を聞くとちょっと確かめてみたいような気がしないでもないけど・・・」

否定はしたものの特徴を言われると実際に確かめてみたくなるのは人間の性だと僕は思う。

「洗えばばっちくないよ」

絵入さんがそう言ったか否かのタイミングで僕たちの横を通った散歩中の犬がへびいちごによたよたと接近。

少しくんくんとにおいを嗅いだのちに・・・んじょっ、とおしっこをかけてその場を去って行った。

「・・・・」

「大丈夫、洗えばばっちくないよ」

絵入さんが冗談だか本気だかわからない表情で繰り返し言った。

「いや、絶対食わない」

水分補給の終わったへびいちごのもとを去り再び商店街の中を歩きだす。

「いままでどのくらい食ったの?へびいちご・・・」

ふと疑問に思ったことを絵入さんに聞いてみたが返事がなく振り返る。

少し離れた駄菓子屋さんの前で立ち止まっている絵入さんを見つけた。

近づいて行ってみると店頭に置いてあるガチャガチャが気になって足を止めていたようだ。

「急に消えたからへびいちご食べに行ったのかと思ったよ」

「ん」といって指さす先にはヘンテコUMAシリーズと書かれたキーホルダーのガチャポンがあった。

ラインナップには魚にすね毛だらけの足が生えたスネゲアシマスやドヤ顔で弓を引き絞る茄子の与一クンなどが描かれていた。

「うわあ・・・」

サブカルチャー寄りの攻めたデザインにへんな声が漏れ出た。

「細かいのないや。楽、百円貸して」と絵入さんにガチャガチャ代の一部を要請される。

お菓子をねだる子供のように物欲しそうな目で訴えかけてくる絵入さん。

無言で百円玉を渡すと待ちきれなかったかのような表情を浮かべてその非力そうな腕をまくってガチャポンを回す。

ガチャコガチャコ・・・コトン

出てきたカプセルを開けると中からDJ風の見た目だが青ざめた表情で嘔吐してる蛇のキャラクターが出てきた。

「あ、もってないやつだ」

「すでに何回かやったことある・・・だと・・・?」

無表情のヘビーカスタマーに耐えきれず突っ込みを入れてしまう。

「うん。あとシークレットでコンプリート」

「全7種か・・・。ちなみに今のは?」

「これか?これはヒップホップ下痢嘔吐つちのこ君だ」

「ぶっ、見た目そのまんまじゃねーか」

よく見ればやたら前傾姿勢だ。造形設定が細かいところは少し評価したい。

「奇跡的に今のところ被ってない」

若干のドヤ顔にも見える表情で答える絵入さん。

「シークレットはなんなんだ?」

「わからない、ネットでも調べてみたけど当てたことある人がいないらしい」

「そもそもこのシリーズ自体があんまり需要ない気がするんだけど」

「そう?私は好きだけど・・・」

物好きもいるんだな、と内心思ったが言葉には出さずにへぇ、と適当な相槌を打った。

寄り道をしすぎたかな。商店街を抜けるころに有線放送でカラスが流れていた。午後5時を告げるおなじみのメロディだ。

また明日。そう言って僕たちは再び帰路に着いた。


ここまで読んでくださった方、ありがとうございます。

1話目はこれにて完結です。

2話目の構想はできているので近日また更新します。

不定期更新が多くてすみません。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ