【第5話】しんぎゅらりてぃですとらくしょん②
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「以上が帝麗技術開発部の判断となります」
開発部責任者である御子柴雫が冷たい視線でこちらを見据えてそう宣告した。
「……」
有無を言わせないほどの重い空気が私にまとわりつく。
が、その判断に納得できるはずもなく私は反論する。
「待ってくれ…専門家がいくら可能性を述べたってあくまでそれは可能性の話だろ? …現に彼女にそういった言動や不具合は見られてないじゃないか…!」
必死に抵抗をしてみるも彼女の意思は変わらなかった。
「私はリスクマネジメントの観点からもそうすべきだと考えます。可能性とはいえ、その危惧すべき事態に陥ってしまった場合、あなたが対応できるのですか? 西園風美さん」
委員会の言ってることは間違いではないのだが、下されようとしている判断はあまりにも残酷で無慈悲なものだった。
次第に私自身も冷静さを欠いていく。
「それを言ってしまえば運用版であるギデオンのほうがシンギュラリティの可能性はあるだろ!?」
思わず声を荒げる。
「いいえ、ありえません。あなたのもとで稼働していたプロトタイプとは異なり、正式運用版であるギデオンには自我という不純物がありませんので」
私たちが危惧しているのはその「自我」という機械にはあってはならない不安定な性質のことなのですから、と。
御子柴雫は吐き捨てるように言った。
「別にいいじゃないですか。何もアレを破壊しなさいと言ってるわけではないんですよ?」
いつか今日という日が来ることは薄々分かっていた。
なぜならそれを条件に今日までミタの処遇を先延ばししてもらっていたのだから。
「ギデオンの完成までという条件のもと今日という日まで自由にさせてあげたんです。むしろ我々に感謝してほしいくらいなんですが」
開発部の絶対的な決断にどうすることもできない自分が酷くみじめでただただ俯く。
怒りもあってか思考がまとまらずにやるせなさだけが次々と浮かんでは消えていく。
何を言おうとも無下にされる。もう私にはどうすることもできない。
「では再度通達しますが、くれぐれも早めに実行に移してくださるようお願いいたしますね」
「試用ロット、MIT-Δ(デルタ)改め仮称 西園美多のデータフォーマットおよび活動停止処分を命じます」
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