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【第4話】ぼーいずびーあんびばれんす⑫


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 一悶着あったが花ちゃんが気を取り直して説明を再開した。


「捜索班は城戸君を発見出来次第選挙会場である講堂へと連行。立候補自体が取り消しになっていたけどこちらも現生徒会の力で再登録は済んでるわよ」


「もし間に合わなかった場合はどうなるんだ?」

寧斗が不測の事態について聞く。


「その場合は当選すればあんちゃんが生徒会長になっちゃうわね」

それそれで一大事よ、と暗い表情で花ちゃんが俯く。


「いずれにせよ学園の崩壊は避けられないわけか…」

テーブルに腰かけて500万円あれば買えたものリストを黙々と書いている絵入さんを横目にヒソヒソと話す。


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 作戦会議が終了しそれぞれの教室に向かう。

戻る途中でインカムから音声が流れてきた。


「テステス…。皆さん聞こえますか?」

耳元から美多さんの声が聞こえる。


「聞こえるわよ。雑音もないしものすごい高性能ねこれ」

花ちゃんが感心しながら応答する。

他のみんなも問題なく応答できているようだ。


「指向性集音マイクも搭載されてるのでだいぶ小さい声でもばっちり拾いますから安心してくださいね!」

恐らく西園さんが単独で製作したのだと思われるが、美多さんが何故か得意げにふすっと鼻息を漏らす。


「まぁ500万近くの製作費は伊達じゃないってことだな」

西園さんの特定個人を刺激する発言に絵入さんがギクッとしたような反応を示す。


「周囲に他の人がいる場合は無理に応答しなくて大丈夫だからな」


「了解、なんかスパイみたいでちょっとワクワクするな」

西園さんに応答しつつどこか楽しそうな寧斗。

インカムの動作確認も終わったところで教室についた。


 朝のHRまで時間があったので立華さんの様子を伺う。

本人はいつもと変わらぬ様子でぺちゃくちゃと喋っている。

選挙での不戦勝を確信しているのか自分勝手な公約を思いついては取りまきの二人に話しているようだ。


 城戸君拉致の犯人は立華さんが黒で間違いはないのだろうが、それを直接本人に確かめたところで誤魔化されるだろうしまともに取り合ってくれるとは思えない。

ここはやはり最終的に城戸君を保護して彼から犯人の証言を得ないことには解決には持って行けなさそうだ。


 そして観察していて分かったことが一つある。


立華さんといつも一緒にいる二人の片方がなんだか挙動不審だ。

あの人は確か…鳥牧美歩(とりまきみほ)さんだったはず。

もう一人の下辺雛子(しもべひなこ)さんとあわせて立華ガールズ片割れである。

だいたいいつも3人一緒に行動するので話しかけるタイミングはほぼないが、立華さんよりは会話が成り立ちそうな印象を受ける。……あくまで印象だが。


万が一立華さんと別行動をしている機会があれば今回の城戸君の件に関して何か知っているかもしれないので念頭に置いておこうと思った。


 朝のHRのチャイムが鳴り藤崎がなんだか疲れた顔で教室に入ってきた。

花ちゃんの説明通り、緊急の職員会議が開かれるため午前中は自習時間となった。


自習時間の途中で、捜査に進展があったのかインカムが作動する。


「諸君、耳だけ傾けてくれ。大まかな城戸氏の所在が洗い出せたぞ」

西園さんの報告を傾聴する。


「失踪当日のカメラの映像は連続ではなく切り抜きになるが校庭、部活棟、体育館周辺で城戸氏らしき姿が確認できた。ただ…単独なんだ。周囲には誰もいなかったみたいだな」

ハッキングした防犯カメラの映像では犯人特定には至らなかった。

これに一緒に立華さんたちが映っていようものなら、映像をもとに言及もできたがどうもそううまくはいかないらしい。


少し長めの2時間目の休み時間になり、先ほど西園さんが特定した場所付近に城戸君の痕跡を探しに来てみた。


まずは校庭。

大きなグラウンドがあり周辺はフェンスと桜の木で囲われている。

主にサッカー部や野球部などの屋外スポーツの部活動の部室が連立している。

先ほどまで体育の授業があったのだろう。1年生と思われる集団がちらほらと校内に戻っていくのに遭遇した。


「どっかの部室に閉じ込められてるとかないかなあ」

いずれの部室も部の備品があるため部活動の時間以外は基本的に施錠されている。


「そうだったとしたらほんとに監禁ですよね…」

御手洗さんが怯えたような表情で言った。


「どの部室もプレハブみたいな感じだからだれか来たらバレそうなもんだけどな」

寧斗がサッカー部の部室の外壁をバンバンと叩きながら言う。

校庭ではこれといって城戸君の足跡を見つけられず、部活棟へと移動することに。


 部活棟のほうへ移動してきた。

こちらは校庭と比べ校舎に近く、弓道部や相撲部、剣道部などの部室兼道場が連立していた。


「今更だけどうちの学校ほんとに敷地広いよね。弓道場とかも敷地内にあるし」


「歩くの疲れてきた」

絵入さんが若干バテているのか弱弱しく返答する。

普通に歩けばいいのに時折思いついたように側転とか後ろ歩きとかしてたのがいけないとおもう。

こちらも校庭同様に放課後ほどの活気がなくひっそりと静まり返っていた。


 部活棟を通り過ぎて休み時間も折り返しに差し掛かっていたため体育館脇を通りながら校舎のほうへと向かう。

花壇を横目に砂利の道を進んでいると、絵入さんが何か発見した。


「お、おい! これを見ろ!」


「絵入さんどうかしたんですか?」

近くにいた御手洗さんが絵入さんのもとに駆け寄る。


「城戸の眼鏡だ…!」


「な、まじかよ!?」

寧斗と僕も急いで駆け寄る。


花壇の近くで絵入さんが拾い上げた眼鏡を見る、

…ボタンを押すと七色に光る2002という形の派手なサングラスを。


「世界線が狂ったとしても絶対城戸君のじゃないでしょこれ…」


「あれ? こんなのじゃなかったっけ」

冗談とは思えない真顔で首を傾げる絵入さん。


「結局手掛かりは見つかりませんでしたね…」

がっくりと肩を落とす御手洗さん。


「まぁ、あとは聞きこみ調査でやっていくしかねえな」

一応インカムで西園さん達に報告を入れておく。


「施錠されているんじゃ中を見ることもできないし仕方ないな。私と美多も別の時間帯で防犯カメラの映像を漁ってみようと思う」


なにか不審点があればまた連絡すると言って通信が切れた。

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