8話
8話
ぴっぴ~っ!!!
中身は100億年生きているが
1988年生まれの天才児、
セラフィーナ・ハートシルトは、
オンラインゲームをしていた。
1991年で非課金プレイヤーの多い中、
ひとつのゲームに10億円以上課金していた。
ゲーム内で10億円課金していることを
自慢してみるのだが、
誰も信じない。
しかし、装備が異常に強く、
外見アバターも全種類持っているので、
同じギルドのメンバーは信じていた。
ギルメンの「めるしぃ」さんは、
収入が少なく、楽しみもないので、
基本無料のこのゲームをやっているらしい。
ゲーム内夫婦で一生懸命、ペットを育てている。
このゲーム、一定レベル以下でペットが死ぬと
リアルロストするので、必死だ。
ぴっぴはゲーム会社を買収することも可能だ。
と言うよりこの会社、系列会社の子会社な
気がしないでもない。
母親のアーニャは現実世界でマネポリーをしているので
あまりゲームはしない。
最近また財産が増えたらしく、
世界資産400兆ドルのうち270兆ドル
くらい持っているらしい。
セラピは、正直、母親のアーニャと
生まれた環境は同じコピーの存在だが、
その意図や思想は読めなくなってきている。
遺伝子の同じ双子でも、時間経過と共に
違いが生まれるように、
精神の双子である、アーニャの一家も
「天野 真一」であった頃を忘れ、
別の「個」として存在できている気がする。
セラピは 「天野 真一」が好きだ。
客観的に見れば ナルシシズムなのだが、
遺伝的に見れば、肉親愛なのだろうか。
父親としてでなく、異性として好きだ。
今回は娘として生まれているが、
次回の移転先はアーニャが1960年に転移して、
時空障壁を緩和する。
セラピたちは、「天野 真一」と同学年の、
1978年に生まれるはずだ。
遺伝的には、「赤の他人」になる。
そうすれば、恋愛してもいいのだろうかと、
思ってしまう。
ゲームの中でオフ会をしましょうと、
めるしぃさんが、ギルメンを誘っているので、
セラピも参加することにしました。
未成年者がいることも考えて、時間と場所は
昼間の一般的なファミリーレストランです。
皆さん、ほとんどが成人です。
学生は普通にお金がないので、
あまり参加していません。
ゲーム内での名前「ぴっぴ」を名乗る前に
セラピの外見を見て、店員に声をかけられました。
「お父さんかお母さんはいる?」
ゲームのオフ会に参加するのだと言うと、
ギルメンがセラピを見て、
「信じられねー。」という顔をしています。
めるしぃさんは、実家はお金持ちなのですが、
最近事業に失敗して、ギルメンであるアップルさん
との結婚話に暗雲が立ち込めているらしいです。
アップルさんは、いじめにあって小学校4年から
家に引きこもり、ゲームばかりしているらしいです。
とうぜん中卒です。
ヒキニートのアップルさんが事業をまともに
やっていける保証が無く、
別れるように両親、特に母親に言われたようです。
めるしぃさんは名門の一族で、
会社はアーニャと比べればゴミですが、
それなりの中堅企業で、年に100億程度の
売り上げがあるらしいです。
3歳児のセラピに向かって、めるしぃさんは、
急に土下座をして、お金を貸してくださいと
言い出しました。
バブル崩壊で、銀行が貸しはがしにかかり、
会社が危機的な状況らしいです。
この状況でも表情を変えないアップルさんは
ある意味すごいなと感じました。
セラピはこの時代あまり普及していない、
ケータイ電話を取り出すと、
アーニャに電話をしました。
「○○と言う会社に50億円の融資できませんか?」
アーニャと話す時は赤ちゃん言葉ではないです。
「だめだよ、セラピ。」
「お母さんが、背任になりかねないでしょ。
ちゃんと断りなさい。」
そう言うとニャーニャは、電話を切ってしまいました。
ニャーニャというのはアーニャの愛称です。
アップルさんは、ゲーム内では、タンク役で
頼りになる、ウォリアーなのですが、
現実世界では、ただのバカに見えます。
3歳児にしか見えないため、大人は油断しています。
「このままじゃ、ソープに売られちゃうよ。
どうしよう、林君。」
どうもアップルさん、林だから 林檎と
名乗っていたらしいです。
林檎の「檎」と言う字、猛禽の(木禽)と
掛けてるのかな、などと思いつつ、
林さんを観察していると、
3歳児を誘拐する算段をしているようです。
この時代、GPSの存在は一般には知られておらず、
セラピのケータイには当然、GPSがついています。
殺される可能性はまずないと思いましたが、
相手が馬鹿なので一応言っておきます。
「強盗殺人は、2回目で死刑だけど、
身代金目的の幼児誘拐殺人と
警察官から拳銃強奪目的の殺人は、
一発で死刑になるよ。」
めるしぃさんは涙目でセラピを見ると
「殺すわけないでしょ、ぴっぴちゃん。」
ある意味精神的に不安定な人ほど
信用してはいけない人はいない。
刺激を与えないようにおとなしくしていた。
しばらくして、場所を変えるべく、
自動車で移動しようとしたがそれはできなかった。
セラピの家は、皇族と同じで セキュリティーパーソンが
3人は、常についている。
別の車両に乗せられそうになったので
阻止したのだ。
にゃーにゃは忙しそうなので、
おとーちゃんに連絡すると、
中学校を早退して迎えに来てくれた。
「おとーちゃーん、セラピこわかったよ。」
泣きながらおとーちゃんに抱きつくと、
よしよしと頭を撫でてくれた。
ギルメンの皆さんは未遂と言うことで、
警察に留置されたあと、
不起訴になった。
ネットでの出会いは怖いものだと、
ネット黎明期に知ったセラピであった。




