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ジャン負け村人転生しようぜ  作者: リア
第三章・東方見聞録
30/78

水着を選ぶだけの話

〜数日後〜



 ロキ、シャルル、フランの三人は、いくつか依頼をこなし、少しだけ生活に余裕が出るくらいの稼ぎを得た。


 ロキの部屋でそんな数日間のまとめをしていると、ちょうどそこへアイリスが訪れた。



「また来ちゃったわ」


「あっ、お姉さん!」


「見計らったようなタイミングで来たな」


「いらっしゃい! 丁度暇しとってん! 皆で何かせえへん?」


「それなんだけれど、お礼の内容を決めたわ。三人とも、来てくれるかしら?」



 三人は揃って首を傾げた。



〜水着屋〜



「じゃじゃーん! 好きなものを選んで良いわよ」


「わぁ。ほんとに?!」


「ええの?!」


「お姉さん、こう見えて結構稼いでいるのよ。それに、この店はお姉さんと同じ商業同盟に加盟しているから、都合をつけることもできるわ」


「ちょうど欲しいと思っていたところだ。助かる」


「ここで水着を買って、一緒に遊びましょうね」


「シャルちゃんの、うちが選んでええ?」


「うん! じゃあ逆に、フランちゃんのは私が選んでみても良い?」


「うん、ええよ」



 少女二人が楽しそうにはしゃぐのを、ロキは遠目で見ていた。なぜならこの水着売り場は、女性物ばかりだからである。


 この二人に連れ回されすぎて、女性服店に入ることに抵抗が無くなっているロキであった。



〜数十分後〜



 シャルルとフランは、互いに商品を袋に入れて持ってきていた。試着してからのお楽しみということらしい。



「はい。シャルちゃんはこれとこれな。試着してみてどっちがええか決めよう」


「うん。フランちゃんはこれとこれね」


「じゃあ、まずはシャルちゃんから行ってみましょうか」



 シャルルが入った試着室の中から「え、これ着るの?」などという声が漏れてきた。フランは黒い笑みを浮かべている。



「もうええ?」


「う、うん。でも、もう少し心の準備を」


「てーい!」



 シャルルの言葉を無視して、フランがカーテンを開けた。



「ぴゃっ!」


「あらあら、大胆ね」


「むふ。ええやんええやん。眼福やわぁ」


「それっ、馬鹿にしてない?」



 シャルルが着ていたのは、いわゆるマイクロビキニ。局部に白い布地が少しあるだけで、他は紐だけ。


 シャルルの肌が白いこともあって、遠目から見ると、何も着ていないようにさえ見える。



「なぁシャル、それ、裸と変わらなくないか?」


「ロキは見ないで! もう! この水着の布面積少なすぎるって!」


「それがええんやんか。はぁ。そそるわぁ」


「色気があって良いと思うけれど、でもお姉さん、それを着て海水浴場に行くのはどうかと思うわ」


「そうだよね! やっぱりこれはおかしいよね! もう着替えるからっ! あー恥ずかしい!」



 シャルルは勢い良くカーテンを閉めた。


 フランが残念そうに眉尻を下げる。



「そう思うんやったら着んかったらよかったやんか」


「そうなんだけど、せっかくフランちゃんが選んでくれたから着ないとって思って」



 フランの眉が上がった。



「なぁシャルちゃん。そんな可愛いこと言われたらガチ恋してまうんやけど。カーテン開けて今すぐ飛び込んでええ?」


「えっ! ダメダメ! 今何も着てないから!」


「尚更飛び込みたいんやけど。もうええやんな。うち、我慢できひんで」


「いや、ダメだって!」


「大丈夫。今このお店には男の人おらんから」


「ロキがいるでしょ! フランちゃんの目は節穴か!」


「ロキ君やったら見いひんって。入るで」


「わ、ちょっと!」



 シャッとカーテンを開けた。そこには次の水着に着替える途中のシャルル。局部は何とか手で隠している。


 ロキはといえば、マイクロビキニを見るなと言われて以来、試着室の方に顔を向けていない。



「見ないでぇ! ってロキ、ほんとに見てないし!」


「見て欲しかったん? ぐへへ。うちが思う存分見たるからな」


「いやぁ! 変態がいるぅ! 助けてぇ!」



 フランが息を荒くしてシャルルに近づいていく。


 そのままシャルルと試着室の中に入って、カーテンを閉めた。



「おじさんが着替えさせてあげるねぇ」


「うわっ! キモい! フランちゃん、さすがにそれはキモすぎるよ!」


「ほーら、足開いて」


「ちょっ、フランちゃん力強くない?!」


「シャルちゃんが可愛いからあかんねんで」


「意味わかんない。ああんっ! そこはダメっ!」


「ここがええのんか?」


「はぁんっ! ダメだってばぁ!」


「そうは言うても体は正直やで?」



 百合の花が咲き乱れる試着室のカーテンを、アイリスが思い切り開けた。


 せっかく着かけた水着を擽ってでも脱がそうとするフランと、局部を隠しつつも抵抗するシャルルの姿が晒された。


 ロキは変わらずそっぽを向いているが。



「こぉら。そういうことは家でしなさい。ここはお店よ」


「はぁい。家でするわ」


「家でもしないで! それよりお姉さんは早くカーテン閉めて!」


「あら、ごめんなさい」



 フランは渋々試着室から出てきた。一瞬のうちにシャルルがカーテンを閉める。


 スキルが発動しているくらいの速度であったが、フランはしっかりと、防御が無くなったシャルルの局部を凝視していた。


 試着室の中から、シャルルの荒い息遣いを聞くことしばし。



「はい、いいよ」


「御開帳ー。わぁっ。可愛ええやんか!」


「これでも結構恥ずかしいんだけど。布面積少ないし」


「恥ずかしがることないで。めっちゃ可愛いもん」


「お姉さんも可愛いと思うわ」



 シャルルが着ている水着は、赤いビキニタイプ。その胸部と腰周りには白のフリルがついている。



「そう、かな。ロキはどう思う? って見てないし」


「ああ、見てよかったのか?」


「今は良いよ。感想、聞かせて?」


「ふむ」



 ロキはシャルルの全身を舐め回すように見た。シャルルは恥ずかしそうに身を捩る。



「良いじゃないか。よく似合っている」


「そうかな。えへへ」


「デレデレしちゃって。羨ましいわ」


「フランちゃん、焼きもち? 可愛いね」



 余裕の笑みを浮かべるシャルル。


 フランはカチンと来たらしい。



「そうやな。胸元のフリルはおっぱいを大きく見せるらしいし、シャルちゃんにはピッタリな水着やわ。それにしたら?」



 シャルルにも青筋が浮かんだ。



「あらあら、喧嘩はダメよ? 次はフランちゃんの番ね。手早く進めましょう?」


「はぁい」



 アイリスの仲裁で、二人の溜飲は下がったようだ。



「はい、じゃあフランちゃん、交代ね」


「はーい。どんなんか楽しみやわ」


「私はまともなのしか選んでないから、安心してね」


「暗にうちがまともやないって言っとるんやけど、喧嘩売ってるってことでええの?」


「喧嘩はダメよ」



 ほんの些細なところで喧嘩が再発しそうだったところを、アイリスが止めた。何かと世話焼きな人である。



「じゃーん。どう?」


「おー。可愛い」


「似合っているわ」



 フランが着ているのは、ピンクと白のボーダー柄ビキニ。小ぶりではあれど、女らしさを象徴する二つの丘がしっかりと強調されている。



「ロキ君、どう?」


「良いと思うぞ。やはりフランには桃色だな」


「んふふ。ありがとう」


「はい、じゃあフランちゃん、次お願いね」


「えー。もうちょっとロキ君に見せつけたいんやけど」


「それは海に行ったときにして」


「はーい」



 フランは次の水着を試着し始めた。着にくいらしく、格闘する声が漏れ出てくる。



「はい、ええで」


「じゃあ開けるね?」



 カーテンが開いて現れたフランは、全体が白い水着を纏っていた。率直に言えば、白いスクール水着である。



「んふふ。可愛いよ」


「あんまり装飾がなくて落ち着かへんねんけど」


「少しサイズが合っていないのかしら? 少し食いこんでいるわ」


「いやいやお姉さん、それが良いんだよ」


「そうなの? ああ、なるほどね」



 アイリスは少し疑問に思っていたようだが、しばらくフランを見つめると、何か納得したように頷いた。



「ロキ君、どう? 可愛ええかな?」


「いや、可愛い云々より、少し透けていないか?」


「へ?」


「あ、気づいた?」


「ちょっ、ちょちょちょ! シャルちゃん! なんてもの着せとるん!」



 フランは慌ててカーテンを閉めた。



「私も最初に見たときに、へぇそんなのあるんだって思ったよ」


「やからってそんなん友達に着せる?!」


「お姉さんも発想に驚いたわ。なかなかお洒落なことをするのね」


「いや、お姉さんも何言うとるん! 乳首とか透けとるんやろ?! お洒落も何もないやんか!」


「いやいや、ちゃんと見てよフランちゃん。そこは透けてないから」


「え?」



 フランは姿見鏡を見る。


 すると、その白いスク水が、水玉模様のように透けていることがわかった。ギリギリ局部は隠れているが、そのチラリズムは男共を誘惑すること間違いない。



「なんやこれ。無駄に凄い技術やな」


「でしょ? 面白いよね」


「だが、可愛いかと言われると微妙なところだな」


「それはそうね。さっきの水着の方が良いと思うわ」


「そうやね。はぁ、ビックリした」


「えっへへ。ドッキリ大成功だね」


「もう、シャルちゃん心臓に悪いわ」



 結局、シャルルはフリルの水着、フランはボーダーの水着を購入してもらった。


 さて、次はロキの番。と思いきや。



「お姉さんも新しい水着を買おうかしら」


「アイリスお姉さん! 是非うちに選ばして欲しいわ!」


「私も選びたい!」


「お願いできる? 可愛いのをお願いね」


「おい、俺の水着は」


「やった! いつかスタイルええ人の服を選んでみたかってん!」


「なに? また喧嘩売ってるの?」


「いや、そういうことちゃうって」



 一瞬だけ険悪な雰囲気を出しながらも、和気あいあいと水着選びにはしゃぐ少女二人。ロキは完全に置いてけぼりである。



「ロキ君、今のうちに、ロキ君の水着、選びに行きましょうか」


「助かる」



 アイリスの優しさが身に染みたロキであった。



〜数十分後〜



「アイリスお姉さん!」


「どっちの水着がより似合うか選んで! うちとシャルちゃんの勝負やねん!」


「またやっているのかお前ら」


「うふふ。良いわ。試着して決めましょうか」



 ロキは自分の買い物袋を片手に、肩を竦めた。まだまだ付き合わされそうだと、ため息を吐きながら。



「まずはうちが選んだのから。どうぞ!」



 フランがシャッとカーテンを開けた。


 フランが選んだのは、黒の紐ビキニ。少女二人とは格が違う双球が零れ落ちはしないかと不安になる。



「どうかしら? 少し恥ずかしいわ」



 身を捩る度にブルンと揺れる主張の激しい胸部。経験のない男子共が見れば卒倒するような光景である。



「ふぉぉ。迫力があるおっぱいやわ」


「ぐむう。羨ましい」


「ロキ君、どうかしら?」


「良いんじゃないか?」


「うふふ。余裕綽々ね。ならこれでどうかしら」



 何故かアイリスはそのままの格好でロキの腕に絡みついた。当然、ロキには双球の感触が伝わってくるわけで。



「ちょっ! お姉さん何してるの!」


「せっかくだから、ロキ君を悩殺してみようと思って」


「無駄だ。そんなことより、シャルがうるさいから離れてくれ」


「あら、釣れないわね」



 アイリスはぱっと離れた。試着室に戻り、カーテンを閉めてシャルルの水着に着替える。



「ロキ君、気持ちよかった? あれが女性の感覚やで。うちで良ければもう少し触らせてあげるけど」


「もう! フランちゃんまで!」


「いらんと言っているだろう。押し売りはお断りだ」


「じゃあ引き売りやったらええの? じゃあロキ君、お手を拝借。えいっ」



 フランはロキの手を引き、自分の胸に押し当てた。



「どうや? アイリスお姉さんほどちゃうけど、ちゃんとあるやろ?」


「はぁ。余計なことをするな。またシャルが」


「えいっ!」



 シャルルは、ロキの反対側の手を、自分の胸元へ押し付けた。



「ど、どう? 無くはないでしょ?」


「はぁ。お前らなぁ。俺で遊ぶんじゃない」


「あらあら。着替えている間にロキ君が破廉恥になっているわ」


「なったんじゃない。されたんだ」


「うふふ。対抗心を燃やして、可愛い娘たちね」



 今一瞬だけ、アイリスの目が開いた。


 ロキとシャルルは見ていなかったが、フランは見ていたようだ。ロキの右手に、ブルリと震える感触が伝わってきた。


 フランの恍惚とした表情にロキはある種の恐怖を覚え、両手にかかる少女の力を振り払った。



「どうかしら? お姉さん的にはこっちの方が良いと思うのだけれど」


「んー、でも、せっかくのスタイルが見えへんしなぁ」


「そうだよね。さっきのを見たらこっちのが地味に見えるよ」



 次にアイリスが着たのは、南国風のパレオ水着。色にせよ柄にせよ、水着としてはこちらの方が派手なのだが、先程の凶悪な水着を見た後では霞んでしまう。



「お姉さん、やっぱりうちが選んだやつの方がええって」


「お姉さんはこれの方が気に入っているのだけど」


「悔しいけど、フランちゃんの言う通りだよ。今回はフランちゃんの勝ちだね」


「あの、お姉さんはこっちの方が」


「諦めろ。あいつらは一度決めると言うことを聞かない」



 自身の意見はほぼ無視され、アイリスは結局フランが選んだ水着を購入したのだった。



「いやー、ええ買い物やったなぁ」


「ほんとにね」


「はぁ。俺のことはすっかり忘れているみたいだがな」


「あっ! ロキの水着も見なきゃ!」


「ほんまや! すっかり忘れとった!」


「大丈夫よ。ロキ君はお姉さんと一緒に買いに行ったから」


「え、どんなの買ったの?」


「忘れるような奴には見せん」


「ごめんやんか」


「海水浴に行くまでのお楽しみということよ」



 意見を無視された二人は、仲良さげに微笑み合ったのだった。

お読みいただきありがとうございます。

アドバイスなどいただけると幸いです。

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