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ジャン負け村人転生しようぜ  作者: リア
第三章・東方見聞録
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マリアブルク誘拐事件

〜マリアブルク〜



 報酬を受け取り、商人と別れたロキたちは、冒険者ギルドへ報告に向かっていた。



「すごいね。露店がいっぱいだよ」


「折角だ。何か買っていくか?」


「うち食べ物がええわ。パンと干し肉やったらお腹膨れへんかってん」


「おいシャル、あれはなんだ?」


「あれはお餅だね。あれの元になるお米は、東の特産品なんだよ。買ってみよっか」


「うち食べたことないわ。どんな味なん?」


「私も食べたことないよ。話で聞いただけ。すみませーん、串餅三つくださーい」


「はいよ。銀貨四枚ね。別嬪さんが二人もいるんだ。銅群五個はおまけだよ」


「ありがとうな、おっちゃん」


「まいどあり!」



 串餅片手に再び歩き出す三人。



「話で聞いてたのより伸びないね」


「伸びるものなのか」


「まあ食べ歩きで伸びられても困るしなぁ」


「お餅の醍醐味は無いけど美味しいよね」


「ああ。もう一本頼めば良かったな」


「こんな美味しいものがいっぱいあるんかな? 目移りしてまうわ」



 実際に、南方では珍しい食べ物、アクセサリーの数々に目を奪われていた。



「はっ。こんなことしてる場合じゃなかった。ギルドに行かないと」


「待てよシャル。まずは食べてからだ」


「シャルちゃん、こっちにシャルちゃんに似合いそうなネックレスあんで」


「なんてこった。二人が屋台の魔法に捕えられちゃった」


「無駄口はいい。さっさと食え」


「ネックレスの値段見たらめっちゃ高かったわ。屋台やからって安いわけちゃうねんな。ロキ君、うちもなんか食べさして」


「え、私が変だったの? 食べるのが正解?」



 何やかんや言いながらも、少しずつ冒険者ギルドへ進んでいった。



〜冒険者ギルド〜



 三人は、依頼の報告を終えるとすぐに魔物の素材買取へ。



「全部で金貨一枚です」


「ありがとうございます」



 道中で倒したエレキマウスは全て売り払った。電気を通さないあの毛皮は、何かと便利らしい。



「さて、次の依頼だが、どうする?」


「何かを探すんはもう勘弁やで。採取系は向いてへんわ」


「そうだね。やっぱり討伐依頼が楽だよ」


「とはいえ、Eランクの身分ではな。せいぜい小型の魔物くらいだぞ」


「それでもその方がええやん。動物やったらまだマシやわ」


「迷うくらいならやってみようよ! 行こう!」



〜マリアブルク周辺〜



 三人は、腰を曲げて、ひたすらに何かを探していた。



「もう、誰やこの依頼選んだんは!」


「シャルだな」


「いけると思ったんだよ!」



 三人が探しているのは、エレキマウス。草むらに擬態する小型の魔物である。



「というか、討伐だけならさっきの護衛でやったやんか!」


「死体を持っていかないといけないんだと」


「なんで売ったの! あれがあれば無償でクリア出来たじゃん」


「おい、俺のせいにするのか」


「あかんあかん! 仲間割れしとったら! 気分転換に、もっと画期的な方法でやろう!」


「例えば?」


「餌で釣るんや。ロキ君、ちょっとチーズ買ってきてくれる?」


「なるほどな。了解だ。すぐに戻る」



 ロキは全速力で戻った。


 ちなみに、アビスブルクにて身分証は作ってあるため、ゲートを通る際にお金はかからない。


 ものの数分で、ロキは戻ってきた。



「それを置いて待とか。商人の馬車から盗むくらいやし、置いといたら絶対来るって」


「本当かな?」



 半信半疑なシャルルであった。



〜夕方・冒険者ギルド〜



 突然だが、釣りは待ちが肝心である。


 しかし、ロキたちにそれは関係がない。いかにすばしっこい魔物であろうと、シャルルとロキに及ぶものはないのである。


 つまり、奴らが姿を現したが最後、ロキとシャルルの囲い込み猟が始まるということだ。



「はい、金貨一枚です。こんなにエレキマウスを狩る人は初めてですね」


「あはは」


「ありがとうございます」



 依頼報告と素材買取が済んだロキたちは、冒険者ギルドを出た。



〜マリアブルク・街頭〜



 外は暗くなり、屋台の喧騒はなりを潜め、代わりに宿屋の呼び込みが始まっていた。


 そこで、シャルルの袖を引っ張る少女がいた。身長は、ロキの腰あたりまでしかない。



「お兄さんとお姉さんたち、宿は決まってるの?」


「え、私たち?」


「決まってへんよ」


「私のうちの宿、来ない?」



 こてんと小首を倒す少女。


 シャルルとフランの心臓が撃ち抜かれる音がした。



「ロキ、この子の宿にしない?」


「こんな可愛ええ子がおるんやで?」


「別に安ければどこでも構わん」


「一泊一部屋で銀群が、えっと、これだけ!」


「四個?」


「やーん可愛い!」


「ふむ。少し高いが、三人で銀群八個なら安いものか」


「ロキ、良い?」


「構わん」


「やった! ほな行こか!」


「うんっ!」



 少女の笑顔にフランとシャルルは骨抜きになっていた。



〜宿屋〜



「ママぁ! お客さん!」


「いらっしゃい!」


「おぉ。でっかい」


「シャルちゃん、失礼やで」


「だが言いたくなるのもわかるな」



 恰幅のいい壮年の女性。この宿の女将らしい。



「二部屋で二泊だ」


「はいよ。金貨一枚と銀群六個ね。うちは先払いだよ」


「はい」


「まいど! 食事はどうする? おまけさせてもらうよ」


「ほな、ここで食べていこか。ええやろ、ロキ君?」


「ああ」



 シャルルとフランが少女の給仕に興奮していると、宿屋の扉が再び開いた。



「いらっしゃい!」


「一泊だ。食事もな」


「はいよ! 食事付きで銀群五個だね」


「ああ」



 ロキたちのテーブルの隣のテーブルについたその男は、いつぞやのスキンヘッドだった。


 ロキからすれば、冒険者ギルドで絡まれて以来。一年ぶりである。


 当然、ロキが覚えているはずがない。



「あ? お前は」



 スキンヘッドはロキを見て何かを言おうとしたが、ロキの方が興味を失って視線を外した。


 スキンヘッドはフランとシャルルの姿を見て、三人に見えぬようにどす黒い笑みを浮かべた。



〜深夜〜



 フランとシャルルの部屋で、カチャリと音がした。


 ひっそりと開けられた扉から入ってきたのは、スキンヘッド。


 ベッドですやすやと寝息を立てる美少女二人を見て、彼は舌なめずりをした。



「あの野郎、こんな美味そうな女を二人も捕まえやがって。あいつには勿体ねえよなぁ?」



 スキンヘッドは掛け布団に手をかけた。寝間着姿の二人が彼の目に飛び込む。


 スキンヘッドはさらに笑みを深め、二人の口元へ慎重にテープを貼った。そして、ロープを使って手足を縛り上げる。



「んんっ! んー!」


「起きちまったか。まあいいさ。その状態じゃあ何も出来ないだろう」



 縛り上げたところで、シャルルが目を覚ました。


 いくらロキと鍛えているとはいえ、シャルルはまだ少女。ロープを引きちぎるような腕力などない。


 スキンヘッドは眠ったままのフランを抱えた。



「じゃあな。こいつは貰っていく」


「んー!」


「なんだ? お前も俺のモノになりたいのか?」



 スキンヘッドはいやらしい笑みを浮かべた。途端にシャルルは青ざめる。



「心配するな。お前の貧相な体なんぞいらん。せいぜい、あの小僧に助けを求めることだな」



 そして、スキンヘッドはフランを袋に入れ、サンタの要領で窓から出て行った。



〜翌朝〜



「いつもならシャルが起こしに来るはずなんだが、まだ寝ているのか?」



 そんなこととは露知らず、ロキはゆっくりと目を覚ました。



「はぁ。たまには俺が起こしてやるか」



 ロキは着替えた後、欠伸をしながら隣の部屋をノックした。



「おいシャル、フラン。今日は訓練しないのか?」



 返事がない。既に日は昇っているというのに、起きていないということはないだろう。


 ロキは訝しんだ。そして、気がついた。鍵がかかっていないことに。



「入るぞ」



 ロキが入ったそこには、手足を縛られ、口をテープで塞がれたシャルルが、涙ながらに這いずっていた。


 暴れていたのか、寝間着のシャツのボタンが取れている。



「おいシャル! どうした! まさか、そんなものに目覚めたのか!」



 ロキは慌ててテープを外し、縄を解く。心配のベクトルがズレている。



「違うよ! フランちゃんが攫われたの! あのスキンヘッドに!」


「どのだよ」


「昨日いた人! 前に冒険者ギルドでも見かけた! ナイフ投げて来た人!」


「そんなやついたか?」


「いたよ! それよりフランちゃんを探し出さないと!」



 ロキは室内を見渡した。


 フランは確かにいない。いるのは、ボタンが取れた寝間着の胸元を隠しているシャルルだけ。



「なんの恨みがあるか知らんが、大それたことをしてくれたものだな」


「早く探そうよ!」


「ならさっさと着替えろ」


「それを言うなら出てけ!」



 追い出されて数分後、着替えて荷物を持ったシャルルが出てきた。



「ロキ、一回部屋の中を探したんだけど、何も痕跡はなかったよ。フランちゃん、無事だといいけど」


「さて、どうだろうな。昨日の深夜だろう? 今頃どこかへ逃げ去っている可能性もある」


「もしフランちゃんに何かあったらって思うと」


「話していても仕方がない。探すぞ。全速力でな」


「うん!」



 その日、疾風のような速度で屋根を走る物体が現れたと、街は騒然となったという。



〜路地裏〜



「んー! んー!」


「元気の良い小娘だ。こいつは犯しがいがありそうだな」



 フランが目覚めたときには、この場所に連れてこられていた。


 手足を縛られ、口を塞がれたフランに抵抗の術はない。


 目が覚めるたとき、突然スキンヘッドの大男が眼前にいれば、誰しも恐怖を覚えるだろう。



「まずはどこから食べてやろうか」


「んー!」


「くひひ。そう焦るなよ」



 これから何をされるのか、なまじ想像が出来てしまうだけに、フランの恐怖は相当である。



「まずは上から剥ぐか」


「んー! んー!」


「あの小娘よりも食べ応えがありそうだしな」



 スキンヘッドは舌なめずり。フランの顔はさらに恐怖で歪む。


 スキンヘッドは、フランの寝間着のボタンを下から一つずつ外し始めた。


 一つ外す毎に手を止め、フランの表情を楽しんでいるらしい。趣味が悪い男である。


 下から三つ、ボタンが外れた。フランの真っ白な腹部と、小さな臍が顕になる。



「思った通り。細くて美味そうだなぁ。やっぱりあいつには勿体ねえ」


「んー! ん!」



 フランは必死で抵抗する。身を捩り、スキンヘッドの手から逃れようと。


 しかしスキンヘッドはそれさえも楽しんでいるようで、一層笑みを深めた。



「さぁて。お楽しみはこれからだぜぇ」



 四つめのボタン。肋骨の下部が姿を表した。


 あとボタン一つで、フランの大切な部位が顕になる。


 嫌悪感と羞恥心で、フランの顔は真っ赤に染まった。



「良い反応だなぁ。安心しろ。可愛がってやるからよぉ」


「んー!」



 スキンヘッドが五つ目のボタンに手をかけたとき、水音がスキンヘッドとフランの耳に入った。


 スキンヘッドが、音源、フランの下腹部に目をやる。


 寝間着のズボンからは、黄色がかった液体が滴っていた。


 フランは恐怖のあまり、失禁してしまったのである。



「くっはは! 本当にいい反応だな! こっちにも手をつけて欲しいのか? ん?」



 フランは涙を流しながら首を横に振った。


 ぴちょん、ぴちょんと寝間着から尿が滴る。


 スキンヘッドはそれが大層気に入ったようだった。



「ご要望通り、先に手をかけてやるよ」


「んー!」



 スキンヘッドがフランの寝間着のズボンに手をかけた。


 そして彼は、フランの絶望に染まった表情を見ようと顔を上げる。



「は?」



 耳が生えていた。円形の、モフモフとした耳。


 動物で言うならば、コアラの耳である。



「獣人なのか?」



 スキンヘッドは耳の感触を確かめた。



「ん! んんっ!」


「本物だ」



 そこで落胆するかと思いきや、彼は口角を上げたのだ。



「ふははは! お前は最高だ! お前を犯す理由まで自ら作るだなんてな!」



 この国の中で、獣人は奴隷。


 奴隷が主人にどんな扱いを受けていようと、気にとめる者はいない。



「お前は最高の女だ。さぞ、綺麗な体なんだろうな」


「んー!」



 スキンヘッドは再びズボンに手をかけた。


 あわや、フランの恥部が顕になるかというその瞬間。



「やっと見つけたぞ」



 屋根の上から、路地裏にいるスキンヘッドとフランを見下ろすロキの姿があった。

お読みいただきありがとうございます。

アドバイスなどいただけると幸いです。

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