表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
84/88

黒豆

父は休日、畑で色々作っている。じゃがいも、タマネギ、かぼちゃ、とまと、ブルーベリー、じゃがいも(2期)、さつまいも。毎年バラバラ。


その中でも、毎年そこそこに作っているものがある。


『黒豆』だ。


黒豆はスーパーで買うと結構なお値段がする。畑で作れば簡単…てことはないのだが(天日干しと殻から実を取るのが大変)とにかく毎年作っている。


感の言い方ならお気づきだろう?


今まで黒豆料理なんて出て無くない……?




***




ある日のことだった。居間でくつろぐ家族に父が言った。


「お母さん。お父さんが作った黒豆って、どこにあるの?」

「……」

「え?! 黒豆?? 鳥の餌にしてるのかと思ってた!!」

「C、やめろ。……お父さんが可哀想だろ」


そんなこんなで出てきた黒豆。まるでへそくりの如く隠されていたそれは、大量にあった。


「……ちょっと、これはヤバくない?」

「新しいのは親戚に配るか……」

「え? 豆って生鮮食品じゃないの?(古いのうちらが食うの?)」

「大丈夫だ。腐ってないから、煮れば食える」

「ほほぅ……」


ジップロックに小分けして、黒豆にっている従兄弟のお姉さんに多めにあげて、とにかく配った。そして残った、古い黒豆達。


(今まで料理しなかったのだから、これは私がするしかないのだろうな)


ゲンナリしながらも、調理を開始した。




***




古い豆は固くなっているので、前日の夜から水を張ったボールの中に2合分くらい浸す。


次の日。


(あんまり変わって無くない?)


と思いながらも、ご飯と一緒に炊き込む。豆ご飯である。初めは家族全員何も言わずに食べていた。1日目、2日目、3日目、4日目、5日目、6日目……と続いたある日、父が言った。


「豆ご飯……飽きた。白いご飯が食べたい…」


もの凄く長いため息を吐きながら、黒豆ご飯を美味しくなさそうに食べる父。


「さすが農家の子。白飯大好きすぎる的な」

「いや、ちょっと続けすぎだろ。体には良いと思うけど」

「えええぇぇぇぇ??」


兄の言葉に私は納得いかなかった。だって黒豆作ったの父じゃん。だったらどうやって消費しろと?


「甘く煮れば良いんじゃね?」

「えええぇぇぇぇ??」


私は思った。うちの家族、おせち料理(買ったやつ)で最後に残るのはいつも黒豆の煮付けである。


(絶対こいつら作っても食べないと思う)


しかしながら言われたので作ってみる。


毎年あずきしか煮ない鍋(石油ストーブ用)に1日水に浸した黒豆を投入。水も入れてコトコト煮込む。2回ほど水を交換する。コトコト煮込む。煮汁が少なくなったら水を足し、柔らかくなるまで煮込む。柔らかくなったら、お好みで砂糖を入れる。数日おくと思ったので結構甘く作る。焦げないように木べらで混ぜる。ちょっと塩を入れる。


(出来た……!!)


後は粗熱が取れたらタッパーに移し、冷蔵庫に保管するのみ。


(そして食すのみ)


そう、思ったのだが……。


1日目、母と私が食べる。

2日目、母が食べる。

3日目、母と私が食べる。

4日目、母が食べる。


「……食べないのかよ!!!???」

「え~~??」

「食べるって言ったじゃん!!」

「言ってない言ってない。作ったら? って言っただけ」

「それって(イコール)食べるってことだろ!!??」

「イコール付いてない付いてない」

「付いとるわ!!!!」


私は強硬手段に出た。

夕飯時、黒豆を小皿に分けて出した。1人1日あたりのノルマを課したのだ。


父、何も言わず食べる(出せば食べるのかよ?!)

母、毎日食べているので特に何も無し。

兄、1回で口の中に全部かき込んで食べる。

私、普通に食べる。


私は思った。


(お父さん どうして黒豆 作ったの)


C、心の俳句が生まれたのだった。

※現在も黒豆とは格闘中。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ