ゆず
ある年の事。
「職場の人から柚もらったぞ~。」
父が柚を5・6個もらって来た。
「私も職場の人からもらった~。」
父の隣に、私も5・6個の柚をテーブルに乗せた。
「あら、お祖母ちゃんから庭の柚。沢山もらってきたわよ?」
そう言って母は、約20個は柚が入っているだろう袋をみせた。
「……。」
「……。」
「……。」
(…………詰んだ……!!!!!!)
*****
料理があまり得意でない家に『柚』が約30個。
案の定、母はお手上げ状態。「お祖母ちゃんが『Cなら色々出来るだろう』って言ってたからもらって来たのよ。」とか何とか他力本願。
始めは私も頑張った。
白菜の漬物に皮を刻んで「柚漬け」にしたり、鍋に入れて「柚鍋」にしたり、皮をすりおろして「生柚湯」。とりあえずオーソドックスなものは制覇した。皮を乾燥させて常備の「柚湯」作りはカビが生えたり、ハエが寄って来たのであえなく断念。やっと10個消費したと思っても、まだ使用した数の2倍も残っている。
(詰んだ……!!)
傷みも見えてきたので、ラップに包んで冷凍庫に突っ込む。
鍋を作るたびにカチコチの柚をすりおろして鍋に投入。(手が痛い)
そんな日々が続いた。
しかし、毎日鍋料理を食べるわけではないので、冬が終わっても柚は冷凍庫に10個残っていた。
「(おぅおぅ姉ちゃんよ~?俺らを次はどう料理する気だ~~??キャハハハハ!!)」
だんだん柚が『黄色い悪魔』に見えてきた。
家族は柚味が飽きてきたご様子で、私が「柚入れようか?!」と聞くと「「「NO~。」」」と言う日々が続いた。
そして、とうとうまた冬が近づいてきた――――。
*****
「職場の人から柚もらった。」
と兄が2個取り出した。
「お父さんも……。」
と言いながら、父はそっとテーブルに3個置き、
「私も……。」
静かに2個テーブルに置いた。
去年の事があったので、私と父はもらう数を少なくしたのだが、まさかの兄参戦。
(まさかの伏兵!!ぬかった!!!!)
と思いながら母を見る。
「去年のことが有ったから、お祖母ちゃんから柚もらわなかったわよ。」
「まじで??!!」
(((お母さんが空気を読んだ!!!)))
と皆が感極まった。その時、
「うん。でも、代わりにこれもらって来た。」
母は元コーヒーの瓶を2つ取り出した。
中には黄色と白の粉末が。
「柚湯。さすがお祖母ちゃん。上手よね~~。」
テーブルに置かれた柚達を見て、「よぉ!また会ったな!!」と幻聴が聞こえたのは言うまでもない。
*****
「お父さん。」
「ん?」
「去年の柚。コーンポスター(生ごみ入れ)にサヨナラして言い??」
「……ん。」
久しぶりに雪が降った寒い日。
私は冷凍庫に1年鎮座していたガチガチの柚をラップから取り出し、コーンポスターと言う亜空間に放り投げた。
我が家に来たのが運の尽き。
天の神様、食べ物を粗末にしてごめんなさい。
どうか、もったいないお化けやお婆さんがでませんように。
今年は全部、使いきれますように……。
お読み頂きありがとうございますm(__)m
今年はあと4個!! いける!!!(笑)




