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レシピと姉

姉が、甥っ子を連れて泊まりに来た。



*****



結婚してから料理に目覚めた(?)姉。

得意料理はマカロニサラダ。

マヨネーズを惜しみなく使い、今日もマヨマヨ絶好調!


「上手いもんだね~。」

「人間1つでも得意料理があると良いもんだよ~。」


と、会話をしながら姉妹仲良く夜ご飯づくり。

母は居間で甥っ子の面倒を見ている。

あとは、私が『野菜のあんかけ』を作り、姉が『きゅうりの酢の物』を作れば、今日の晩御飯の準備はお終いだ。


(姉と一緒に台所に立てる日が来るなんて……。なんて感慨深いんだ……。)


そう思いながらふと、スライサーできゅうりを薄切りにし終わった姉の手元を見るとスマートフォンが……。


「料理中にスマフォを見るなんて!!」


まさかの「ながらスマフォ」に憤慨する私。

危険!火から目を離してはいけません!!(まだ使ってないけれど)

そう思ったのだが――――


「違うよ!レシピ見てたの!!」

「……レシピ??」


手元を見てみると『きゅうりの酢の物』の作り方が載っていた。

私は困惑した。


(……見る必要があるのか?)


そうこうしている内に、姉は計量スプーンを持ってきて、


「今、このレシピの2倍の量できゅうりを用意したから……酢は大匙10杯、砂糖大匙6、塩小さじ1/2……。1・2・3・4・5……。」

「あの…。」

「今話しかけないで!」

「……。」


姉の凄みのある声にビビル私。


「小さじ1/2って何グラムなの……。C! 電子計量器あったわよね?!」

「はい~!!」


言われるがまま電子計量器を取りに行く私。

そして、塩小さじ1/2を正確に計ろうとする姉。


え? 酢のものですよね?

ナニ? この荒野の戦場の如き緊張感は??! 

え??? 台所は戦場だったのか??!!?


困惑している私をよそに、姉は一寸の狂いもなく調味料を計っていく。


え!? 酢のものですよね???

マヨネーズは惜しみなく使うのに、この状況はいったい……??!


「あの…。」

「静かに!!」


……お手上げだ。

私の心が白旗を振り始めたころ、姉は計った調味料をよく混ぜ、味見をした。


「……良かった。ちゃんとできた……。」


ホッとする姉の横顔を見ながら、私もようやく一息ひといきいた。

そして、呆れながら問う。


「何なの。毎回そんなんじゃ疲れるでしょ。」


調味料を計るだけなのに、目をギラつかせて一心不乱な様子なのは、いろんな意味で心配だ。子育て疲れ? え? 神経質になってる感じ??


ともかく「アレ」は無い。


しかし、姉には姉の理由があったようで、


「酢は失敗できないのよ!!?」

「いや、味見すればいいじゃん。」

「味がよく分からないからレシピを見てるのよ!!」

「え。それって育児ストレスでプチ味覚障害起こしてるんじゃない??」

「分からないけど、真剣なのよ!!」

「お~~い。落ち着け~~~。」


……なにこの強迫観念!!

怖い!! すごく怖いわお姉様!!!??


その後、私は「基本を知っていれば良いのだから、分量通りでなくてもいい。」「砂糖多めの酢にしてもいい。」「自分好みにして良いんだよ?」と言うのを伝えると。姉は幾分か落ち着いた。


だからと言って、強迫的計量癖がすぐに改善されるはずもなく。

味付けに自信のない姉が、レシピサイトを見ながら計量スプーンを駆使する姿は数年続いたのだった―――。



*****



~おでんづくりの時~


姉「3倍の量だから、醤油大匙6、みりんが―――」


私、めんつゆを鍋にドバっと入れる。


姉「何してんC!? 今分量―――!!」


姉が何かを言っているが、気にせず料理酒・みりん・かつお節・昆布だしを適当にぶっこむ。


私「大丈夫だって。濃かったら水入れれば良いんだから。」

姉「あんた、お玉も使わないでよくも入れたわね…。」

私「料理は経験と勘だよ!……って祖母ちゃんが言ってた(言ってたかな…?)」

姉「お祖母ちゃんが??」

私「うん。いいんだよ~。そんな神経質にならなくっても~。」

姉「いやいやいや。あんたはもうちょっと神経使いなさい??!!?」

私「お、おほほほほ。受ける~~。」


(兄弟って、上手く分かれるもんなんだな~。)


と、しみじみ思ったのだった。

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