ホットバナナ
虫が苦手な方は回れ右でお願いします。
読んでバナナが食べられなくなったとかは無しでお願いしますm(__)m
バナナ、おいしいですよね。
「あ。」
私は見つけてしまった。
「このバナナ……死にかけてる…!!」
*****
母にバナナの茎の先がカビはじめていることを報告した翌日、家に帰ると母がバナナを焼いていた。どうやら中身は大丈夫だったらしい(加熱すれば大丈夫だろうと言う理屈)。フライパンの中でいい具合にバナナが焼けている。飴色の焦げ目もいい感じだ。
「食後のデザートよ。」
と、母が言うので、血糖値の事を考えると食前の方が良いのだが、食後に食べることにする。
今日の夜ご飯の鍋をつついて食べていると、兄が帰ってきた。
兄がご飯を食べ始めるころに、私はご飯を食べ終わった。
(さて、ホットバナナでも食べるか…。)
ガスコンロに「余熱調理」と称して置かれたフライパンに近づき、フタを開けると――――。
(……あれ?)
『つ』の形をしたバナナが4本。
さっきまで黄色く甘そうな色をしていたのだが、今目の前にあるのは、軽く黒に変色し始めていた。と言うか、両先端部分は黒くなっていた。焼き目が付いている辺りはまだ黄色い。
私はそれが、あるものに似ていると感じた。
しかし、何も言わずに1つ取り、それを食した。
想像してはいけない。
これはバナナ。これはバナナ。
でも目をつぶると、何となく『ぐにゃ』っとするところや、焼き目のパリパリ部分が絶妙に『それ』ぽい……。
なんとか食べ終わり、一息つく。
次に、食べるのが早い兄が、バナナの入ったフライパンに近づきフタを開けた。すると、
「な?!」
驚く兄の声が聞こえた。
そして次の瞬間。
「バナナが……『芋虫』になってる!!!」
(キャ――――!!!???言っちゃたよ――――――???!!!)
比較的小さいバナナだったのがいけなかったのだろう。
ごめんなさいバナナさん。
今のあなたは『芋虫』にしか見えません……。
兄が目線を私に寄こした。
私はゆっくり頷いた後、
「さすが兄弟。思うことは一緒ですな。」
と答えた。
「食べたことないけど、焦げ目が皮を連想させる。」
「私も思った。」
「頭も色が変わってるし…。」
「私も思った思った。」
「食感もなかなか……。」
「同感同感。」
芋虫を食べたことがないのに熱く語り始める2人。
母は「あんた達…。」とあきれ顔。
「本物は糞が入ってると吐くほどまずいらしい。」
「まさに『糞まずい』!!」
「あと寄生虫の心配があるから、虫下しの薬を飲まないとな。」
「虫下し!いつの時代(笑)」
ある程度揶揄した後、
「でもこれバナナだからな。」
「バナナだね~……虫下し、飲む?」
「飲まん(笑)」
こうして今日の珍劇場は終わったのだった。
「う゛……。腹が痛い……。」




